過去レース分析

過去レース分析 【天皇賞秋2025】

さあ天皇賞秋。アーモンドアイの時代は得意なレースだったんだが最近は当てられていない。久々に気持ちの良い秋といこう。

レース概要・分析結論

【概要】
例年4回東京8日 or 9日に行われ、馬場はBコース替わり初週。
フルゲートは18頭で斤量は定量3歳56kg、4歳以上58kg、牝馬2kg減。

【結論】
■2020-2022年及び2024年の計4年のように、道中に12.0以上のラップが複数入るスローペースでレース上がりが33秒台になる展開では(2022年は2番手以下の後続のペースを参照)、以下の該当馬のように上がり3F33.2以下の高速上がりを使った馬が多く好走しており、スローペースでは明確に高速上がりを使える能力及び適性が要求される
(該当好走馬)
・2020年:1人気1着:アーモンドアイ:上がり33.1
・2020年:5人気2着:フィエールマン:上がり32.7
・2020年:2人気3着:クロノジェネシス:上がり32.8
・2021年:3人気1着:エフフォーリア:上がり33.2
・2021年:1人気2着:コントレイル:上がり33.0
・2022年:1人気1着:イクイノックス:上がり32.7
・2022年:4人気3着:ダノンベルーガ:上がり32.8
・2024年:2人気1着:ドウデュース:上がり32.5
■また、上記の4年のうち特にペースが緩んだ2020年及び2021年には、上がり最速を使った馬が2着止まりで、共に4角で6番手以内から上がり3位を使った馬が優勝しており、道中のペースが緩みすぎると後方から最速の脚を使う馬が中団から好位のポジションが取れて直線でも上がりをまとめられる馬を差し損ねる可能性が高まる
■また、上記のようなスローペースでは勝負所から4角で馬群が凝縮し、先行馬も簡単には止まらないことから、内目の馬は詰まったり直線での進路確保にワンテンポ必要になっていることが多く、スムーズに加速できるという意味で内の枠よりは外の枠の方がリスクが少なく評価しやすい、下記に例示する馬たちも圏内には好走しているため、基本的には小さなリスクとして評価し、スローペースでは隊列予想の重要度が増す点を意識したい
(進路取りでワンテンポ必要だった馬の例)
2020年2着:5枠6番:フィエールマン:直線では残り400m付近までは前が壁になっていたが開いて追われると上がり最速で追い込んで2着
2021年2着:1枠1番:コントレイル:直線で進路を求めて外へ誘導され、上がり最速で伸ばして2着
2022年3着:3枠5番:ダノンベルーガ:勝負所で外から締められ、直線では進路を内へ切り返し上がり2位で伸びて3着
■一方で、分析対象の過去5年からは外れてしまうものの、道中に11.8以下が続く持続的ラップになりレース上がりが34.3以上かかる展開となった2018年及び2019年には、以下のように①持続的なペースの逃げ馬、②持続的な展開で末脚を伸ばせる馬、③転じてマイル実績のあった馬が好走しており、反対にマイルへの適性が高くないと考えられる馬が凡走人気馬となっていた、道中のペースがある程度流れる場合には、①〜③に該当する馬を評価し、反対に2000mより長い距離への適性が高い馬の評価を下げる方針とされたい
(該当好走馬)
2018年:2人気1着:レイデオロ:瞬発力勝負より持続的な展開で末を伸ばせるタイプ
2018年:4人気2着:サングレーザー:マイル実績(マイラーズC1着)
2018年:6人気3着:キセキ:持続的なペースの逃げ馬
2019年:1人気1着:アーモンドアイ:マイル実績(安田記念3着)
2019年:3人気2着:ダノンプレミアム:マイル実績(マイラーズC1着)
2019年:6人気3着:アエロリット:持続的なペースの逃げ馬、マイル実績(安田記念2着×2)
※マイル実績は能力が適性を凌駕する3歳春までの成績を除く
(該当凡走人気馬)
2018年:3人気7着:マカヒキ:マイル以下出走経験なし
2019年:2人気6着:サートゥルナーリア:新馬戦を除いてマイル以下出走経験なし
■上記のうち、持続的なペースの逃げ馬については、キセキ, アエロリットとともにGⅠ馬だったように、そもそも長い直線が待ち受けている東京2000mのGⅠで自信を持って持続的なペースを作りにいける馬は少なく、実力の伴った該当馬がいる場合には積極的に評価したい
■上記のようにペースによって評価すべき馬が変化するため、ペースを読むことができれば指針をもって各馬を評価できる、この点が簡単ではないことは理解しつつ、メンバー構成や並びから展開には仮説を持って勝負したい

過去レース分析

【入り3F5F、上がり3Fの平均】
過去5年:35.6 – 59.2 – 34.5 (後傾1.1)
– 過去5年に道悪はなし

2020年

36.5 – 60.5 – 33.6 (後傾2.9):1:57.8 (良):12頭

【所見】
■過去5年での比較
 頭数:4番目に多い
 入りの3F:最も遅い
 入りの5F:同率で最も遅い
 上がりの3F:同率で最も速い
 勝ち時計:4番目に速い
■レースは道中をスローペースで進めると、ラストは残り3Fから0.8加速して10.9 – 11.1 – 11.6と伸びる高速上がり戦で、上位の上がりを使った馬が圏内を独占する高速上がり決着、Bコース替わり初週ながら馬場は内目が白く禿げており、道中は1頭を除いて各馬内をあけて追走していた
■過去5年で2番目に少ない12頭立てで明確な逃げ馬もいなかったことで過去5年で最もスローペースになり、ラストは高速上がりを使った馬が圏内を独占する形になった、4角でも馬群は凝縮気味で前との差が開いておらず、この展開で問われるのは実力と高速上がりを使えるか否か
■頭数が少なく追走の負荷も少ないスローペースだったことで、枠や道中の内外での有利不利はなかった印象、この流れであれば枠よりも全体的な隊列を重視で

【好走馬】
■1人気1着:7枠9番:牝5歳:アーモンドアイ:ロードカナロア×SS:前走安田記念(稍重)1人気2着
・東京では数多くの好走歴があり、前年の覇者でもあった
・外目の枠からスタートすると馬なりで中団前目の外を追走した、そのままスムーズに勝負所まで進めると前から3列目内から4頭目付近で直線へ、直線に入っても馬なりで進めて残り300m付近から追い出されると上がり3位33.1の脚で抜け出して優勝
・前年には道中のペースが締まったマイル質の天皇賞を優勝していたが、上がり勝負になってもハイレベルな馬であることは明白で、ある程度ポジションも取れるとなれば自然と評価はできる馬だった
■5人気2着:5枠6番:牡5歳:フィエールマン:ディープ×欧州型:前走天皇賞春1人気1着
・東京は新馬でしか走っていなかったが、国内では9戦中6戦で上がり最速を使っており、戦績から長距離のイメージがあったが菊花賞での末脚などを見れば中距離でも速い末が使えそうなタイプであった
・中枠からスタートすると両サイドから挟まれるような形になりポジションを下げて中団の後方を追走した、その後は大きくはポジション変えずに直線へ進入すると、直線では残り400m付近まで前が壁になっていたが開いて追われると上がり最速で追い込んでの2着
・長距離のイメージで人気を落としていた形で、東京2000mのスローで高速上がりが使えるタイプであることを見抜けていればしっかり評価できた
■2人気3着:6枠7番:牝4歳:クロノジェネシス:バゴ×クロフネ:前走宝塚記念(稍重)2人気1着
・東京では2歳時にアイビーS(OP)1着、3歳時にクイーンC1着、オークス3着と好走歴があったが、道悪で秋華賞、宝塚記念を優勝しており高速上がりのレースが最も向くタイプではなかった
・中枠からスタートすると内のフィエールマンと一緒に挟まれてポジション下げて中団後方の外目を追走した、直線は後方の大外から進入すると上がり2位で伸びて勝ち馬を追いかけたが並びかけられず、ラストは上がり最速の2着馬に差されての3着
・イメージからは高速東京よりタフな阪神や中山の方が向くタイプだったが、能力である程度速い末も使えたタイプで、この辺りの塩梅を評価して相手には持っておきたかった

【凡走人気馬】
■3人気12着:4枠4番:牡4歳:ダノンキングリー:ディープ×StormCat:前走安田記念(稍重)5人気7着
・東京では3歳時にダービー2着や毎日王冠1着があり、血統からも高速東京は向きそうなタイプだった
・内枠からスタートすると馬なりで中団前目のインを追走した、向正面では手綱を嫌って頭を上げるような素振りを見せていた、勝負所で少しペースが上がるとポジションを下げてしまい中団の馬群から直線へ、直線では前に勝ち馬を見る位置から追い出されたが伸びられず、ラストは大きく失速して11着から7馬身差の最下位12着
・前々走の大阪杯で逃げの競馬をしてから若干気性的に難しい面を見せており、この点で本命に指名したくなかった

2021年

36.2 – 60.5 – 33.6 (後傾2.6):1:57.9 (良):16頭

【所見】
■過去5年での比較
 頭数:最も多い
 入りの3F:4番目に速い
 入りの5F:同率で最も遅い
 上がりの3F:同率で最も速い
 勝ち時計:最も遅い
■レースは当日の昼に雨が降りやや水分を含んだ良馬場の中道中をスローペースで進めると、ラストは残り3Fから0.7加速して11.1 – 11.1 – 11.4と伸びる高速上がり戦で、前年に続いて上がり3位の馬が1着, 上がり最速の馬が2着で、前年と比較すると雨の影響でやや末脚のキレは削がれる印象だった
■2着だったコントレイルは最内枠から序盤に控えたことで勝ち馬に対しては追い出しなどで少し後手を踏む展開になっており、本年のようなスローペースの展開ではある程度ポジションを取って競馬ができることも評価したい要素となる
■また、コントレイルは最内枠だったのも4角から直線で踏み遅れた要因として上げられ、スローペースからの瞬発力勝負では、勝負所で自分のタイミングで踏んでいけるという理由で、隊列予想にも依るが、枠は内過ぎない方がベターか
■東京2000mは他コースと比較して全馬が実力を出しやすいコースで、本年も抜けた人気だった3頭が圏内を独占した、メンバーレベルによっては本年のようなガチガチ決着になることも見据えて単や馬連など強気に点を絞る馬券の構成も検討したい(上位3頭はGⅠを複数勝ちするような名馬で、3人気が3.4倍, 4人気が19.6倍とオッズが離れており、実際に3-4着が1.3/4馬身離れたように実力的に抜けていた)

【好走馬】
■3人気1着:3枠5番:牡3歳:エフフォーリア:エピファネイア×ハーツクライ:前走ダービー1人気2着
・東京では共同通信杯勝ち、ダービー2着など好走歴があった
・内目の枠からスタートするとほとんど馬なりで出て行って中団前目の外を追走した、ジョッキーの動きからは内にこだわらず外目を意識された追走だった、勝負所では中団前目の外のまま馬群の加速に付き合うとポジションを変えずに直線へ、直線ではキレるような脚ではなかったものの大きなストライドでゴールまで脚を伸ばすと、先に抜け出したグランアレグリアを交わして優勝
・スローペースからの高速上がり戦ではあったものの、昼間の雨の影響でややキレは削がれる馬場になっていた印象で、この点に対する適正でも他馬と比較して優れていたイメージ
■1人気2着:1枠1番:牡4歳:コントレイル:ディープ×米国型:前走大阪杯(重)1人気2着
・ご存じ無敗の3冠馬で、東京では東スポ杯1着, ダービー1着, ジャパンC2着などの実績があった、また、重馬場だった大阪杯を除けば、後にも先にも全戦で上がり2位以内を使っていた
・最内枠からスタートすると、促さず中団のインで勝ち馬をマークするように追走した、道中は少し行きたがってはいたものの折り合いの中で追走できており、自身の内目は開いていたが、外にいる勝ち馬をマークすることを優先されていた、勝負所では変わらず勝ち馬の後ろで馬なりのまま馬群の加速に付き合うと、中団馬群の外目から直線へ、直線では進路を求めて勝ち馬の外に出されると、伸びて上がり最速33.0の脚を使ったが、自身より前から伸びた勝ち馬には迫り切れず2着まで
・実力と高速上がりを使って複数のレースを好走した実績を考えれば当然評価できた存在で、展開と決着を考えると道中はもう少しポジションを取りたかったか
■2人気3着:5枠9番:牝5歳:グランアレグリア:ディープ×米国型:前走安田記念1人気2着
・東京ではマイルで多くの実績があったが、2000mは経験自体が重馬場の大阪杯4着のみだった
・中枠外目からスタートすると出て行って逃げ馬の外の2番手を追走した、マイルからの距離延長だったが道中は折り合って追走できていた、勝負所では少しポジションを上げて逃げ馬に並びかけていくと1列目の内から2頭目になって外へ出されるように直線へ、直線では残り400mで先頭に立ったが2頭に交わされて3着まで
・2000mという舞台を考えると、もう少しポジションを取れる利が出るミドルペースの方が合っていた印象で、雨の影響があって少し末のキレが削がれる馬場もマイナス影響だった

【凡走人気馬】
■該当馬なし

2022年

34.7 – 57.4 – 36.7 (前傾2.0):1:57.5(良):15頭

【所見】
■過去5年での比較
 頭数:同率で2番目に多い
 入りの3F:最も速い
 入りの5F:最も速い
 上がりの3F:最も遅い
 勝ち時計:3番目に速い
■レースはパンサラッサが1頭で飛ばして逃げる展開で、前半の5Fを11.4以下が続くラップで飛ばすと、後半5Fは11.6 – 11.8 – 11.6 – 12.4 – 12.7とラスト2Fを大きく落とすラップだったが、2番手以降は離れており、目測で35.0 – 59.0 – 33.8程度のラップだった(600-1400mは平均的に分割して12.0 – 12.0 – 12.4 – 12.3)
■逃げ馬から離れた2番手以下でも35.0 – 59.0と本レースとしては流れた展開だったが、パンサラッサを追いかけた入りの3Fが早くなった影響で上記の通過タイムになっている形で、600-1400mは例年以上にラップが緩んでいた、これにより4角で馬群が凝縮した差しやすい形になり、高速上がりを使った3歳馬が差し込む形で1, 3着した
■パンサラッサに加えてジャックドールもいるメンバー構成では道中のラップが緩む流れを想定するのは簡単ではなかったものの、この点さえ読めていれば2020年, 2021年に続いて道中のペースが緩んでの高速上がり戦で、適正から各馬を評価することができた、一度パンサラッサを馬群が追いかけるか否かについて検討できると良かったか

【好走馬】
■1人気1着:4枠7番:牡3歳:イクイノックス:キタサンブラック×欧州型:前走日本ダービー2人気2着
・ここまでキャリア4戦で、引っ掛かり気味にポジションを上げた皐月賞を除く3戦では上がり最速を使っていた
・中枠からスタートすると控えて中団の馬群を追走した、道中には残り1200m手前で外が開いたのをみてポジションを外にスイッチされていた、勝負所では馬群を外目をまわったまま残り700m付近から促されると中団の大外から直線へ、直線では鋭い脚で猛然と前を追うと、ゴール前で大逃げの2着馬を捉えて優勝、上がりは最速の32.7
・引っかかり気味だった皐月賞を除いた3戦で上がり最速を使っていた高速上がり適性や3歳のトップホース()であることを評価し、2.6倍の1人気でも上位で評価しておきたかった
■7人気2着:2枠3番:牡5歳:パンサラッサ:ロードカナロア×欧州型:前走札幌記念2人気2着
・高速逃げを確立した福島記念以降は1800-2000mではここまで4戦連続で連対していた、東京ではオクトーバーS(L)(2000m)を2年連続連対した実績があった
・内枠からスタートすると出脚こそ早くなかったが、道中は持ち味の高速持続逃げを打ち、前半は11.4以下が続くラップで飛ばした、そのまま大きくリードを保って直線に進入すると、ラストまで脚を伸ばし、上がり最速の勝ち馬に交わされたものの2着を確保した
・直線の長い2000mで大逃げだったが、本馬としてはマイペースで逃げられた形で強さを最大限発揮できた印象で、近走の成績と今回の人気を考えれば明確に狙いたい存在だった
■4人気3着:3枠5番:牡3歳:ダノンベルーガ:ハーツクライ×米国型:前走日本ダービー1人気4着
・歩様から左回り>右回りの馬で、2400mは若干長い印象からも東京2000mはベストと言える舞台だった、東京では共同通信杯を上がり最速で勝った実績があった
・内目の枠からスタートすると控えて中団後方で勝ち馬をマークする位置を追走した、勝負所でも前の勝ち馬をマークしていたが外からユーバーレーベンに締められる形で中団後方の馬群から直線へ、直線では馬群を突くような進路取りで残り400mから最内へ切り替えられると、鋭い脚を使ってラストは上がり2位の32.8で伸びたが逃げ馬を捉えられずの3着
・道中は展開を考えれば理想的な形で進められていたが、勝負所で締められたのが痛かった印象で、スムーズに外に出せていれば2着はあったか、ダービー1人気だった3歳馬でここでも一定程度人気していた形だが、適正の高い舞台と展開になることを考慮すれば少なくとも相手には持っておきたかった

【凡走人気馬】
■3人気4着:5枠9番:牡4歳:ジャックドール:モーリス×米国型:前走札幌記念3人気1着
・中距離としてはややラップを締めた逃げから直線でもう一脚使って逃げ切るスタイルの馬で、ここまで2000mのみを使われ、東京でも3勝クラス勝ち, リステッド勝ちの実績があった
・中枠外目から好スタートを切ったが、鞍上はハナをうかがう様子はなく、本馬としては控え気味に4番手の外を追走した、道中は緩んだペースの中で折り合って追走できていた、勝負所でも特段早く仕掛ける様子はなく2番手の馬に並びかけていくと好位から直線へ、直線では残り300m付近で馬群から抜け出しラストまで脚を伸ばしたが、鋭い末脚を伸ばした3歳馬2頭に交わされ、逃げ馬を交わせずの4着まで
・この舞台で瞬発力勝負に持ち込んだ時点で自身より適性のある馬が数頭いた印象で、せめて勝負所でもう少し早めに踏んでいれば圏内ならあったか
・東京2000mでの実績もあり、ある程度淡々としたペースを刻んで直線でもう少し上位争いになることも想像できたが、鞍上が瞬発力勝負の展開に付き合ってしまった形、それでも3着から0.1秒差の4着では凡走とも言えない結果
■2人気5着:5枠8番:牡4歳:シャフリヤール:ディープ×米国型:前走プリンスオブウェールズS(イギリスアスコット1990m)2人気4着
・3歳のダービーまでは全戦で上がり2位以内を使っていたが、その後2200m以上のレースを使われるようになってからは好位から脚を伸ばすような中長距離的なスタイルとなっていた
・中枠からスタートすると出て行って枠なりに中団前目の外を追走した、道中は4着だったジャックドールを前に見る位置を追走していた、勝負所では残り3F手前から外目に進路を取られ好位の外目から直線へ、直線ではキレる様子ではないものの本馬なりに脚を伸ばしていたが、より瞬発力に秀でたタイプには抗えず5着まで
・高速上がり戦での瞬発力勝負に対する適正という意味では他馬と比較して一段評価を下げたかった印象で、同年のドバイSCを優勝し、次走のジャパンCで報奨金が狙える立場だったことを含め、ここは多少叩きの意味合いがあったか、人気との兼ね合いで重たい印は打ちたくなかった

2023年

34.9 – 57.7 – 34.7 (後傾0.2):1:55.2(良):11頭

【所見】
■過去5年での比較
 頭数:最も少ない
 入りの3F:2番目に速い
 入りの5F:2番目に速い
 上がりの3F:4番目に速い
 勝ち時計:最も速い
■過去5年で最も頭数が少なかったものの、逃げたジャックドールが玉砕逃げとも言えるハイペースで進め、道中は11.4付近が続く展開で、600-1400mでは4F連続で11.4が刻まれるハイペースの持続ラップとなった、ラスト3Fは11.6 – 11.4 – 11.7と勝ち馬が抜け出して失速しきらない展開で、上位の上がりを使った3頭が圏内を独占する末脚決着、2, 3着には道中で後方待機していた2頭が差し込んだ
■逃げ馬が作るハイペースを馬群が追いかける格好となった影響で1着馬は例外として2, 3着は道中後方に控え、ラストで長く脚を使える2頭が差し込んだ形で、逃げたジャックドールが大敗していることからも先行負荷はかなり高く、展開は明確に差し追い込みに向いていた
■ハイペースになり、ハイペースが向きそうな馬が好走した順当な形ではあるが、「少頭数でジャックドールの単騎逃げ」からこのペースを予想するのは難しかった印象で、大外枠×藤岡兄×逃げ馬ではこのパターンが過去にあったということを学びとしたい

【好走馬】
■1人気1着:6枠7番:牡4歳:イクイノックス:キタサンブラック×欧州型:前走宝塚記念 1人気1着
・レース前時点で昨年の天皇賞秋からGⅠを4連勝していた世界最強馬で、引っ掛かり気味にポジションを上げた皐月賞を除けば全戦で上がり2位以内を使っていた
・中枠からスタートすると出て行って折り合って3番手を単独で追走した、道中は最内を1つ開けて進められていた、勝負所では残り4F付近から少しずつ促されると前との差を詰めて逃げ馬から3馬身差ほどの3番手から直線へ、直線では軽く促された状態で先頭に並びかけると残り300mから追い出されて抜け出した、ラストは上がり3位の脚で2.1/2馬身差で優勝、GⅠに入っても力が違った
・紛れも無い世界最強馬で状態等を加味しても負けるとしたら前走の宝塚記念だった印象で、ここではどうやっても一定以上の評価はできた
■6人気2着:6枠6番:牡4歳:ジャスティンパレス:ディープ×米国型:前走宝塚記念2人気3着
・東京ではダービー9着があったのみで好走歴はなかった
・中枠からあおるように出遅れると多少促されながら後方2番手を追走した、道中はスムーズに進めると、勝負所では残り4Fから最後方にいた馬が外から進出してきた影響でこちらが最後方の位置取りとなって直線へ、直線では外へ外へと誘導されて大外から追われると長くゴールまで脚を伸ばし、ラストは上がり最速33.7の脚で伸びると先に抜け出しにかかった3着馬を差しての2着、3着とは1.1/4馬身差をつけていた
・ダービーから一貫して2000mより長い距離を使われており、瞬発力というよりは長く力強い脚を使うタイプだったが、かなりのハイペースとなったことで道中最後方にいた本馬に展開が向いた形で、スローの展開ではおそらく前を飲み込む脚は使えなかったタイプ
・ここまでのハイペースになることを読めていれば、というたらればではあるが、2000mより長い距離に適性がある面などを評価して相手に持っておきたかった
■3人気3着:7枠9番:牡5歳:プログノーシス:ディープ×欧州型:前走札幌記念(稍重)2人気1着
・関東圏では出走歴自体がなく初の東京競馬場だった、国内ではここまで9戦のうち8戦で上がり最速、残り1回も上がり2位だった上がり上位の常連
・外枠からスタートすると出脚が鈍く控えて最後方を追走した、勝負所では残り5F手前と早めから手綱を動かされると、前との差を詰めて1つ前にいた2着馬を外から締めるような形で交わしてインアウトで後方の外から直線へ、直線では鋭く伸びるというよりは失速せずに踏ん張るような伸びを見せ、ラストは上がり2位33.9の脚で3着
・2着馬同様道中は後方で構えていた形で、各馬が失速するようなタフな展開が向いての好走
・こちらもハイペースの消耗戦になることが読めていれば評価できたタイプ

【凡走人気馬】
■2人気7着:3枠3番:牡4歳:ドウデュース:ハーツクライ×米国型:前走ドバイターフ(ドバイメイダン1800m)取り消し
・東京ではアイビーS(L)1着、ダービー1着と2戦2勝で、ここまでの国内で走った7戦では全てで上がり2位以内だった
・内枠からスタートすると出て行って前に勝ち馬を見る位置で中団馬群を追走した、道中は少し行きたがっている様子だった、勝負所では残り3F手前から促されるとポジションは大きく変えずに中団の内から2頭目付近から外には馬がいない状態で直線へ、直線では伸ばせず外から伸びた組には交わされ、2番手追走していた馬も交わせずの7着まで
・この後に引退までのおおよそ1年間でGⅠを3勝したように能力的な衰えはなかったが、明確に序盤は控えた方が自身の脚を伸ばせるタイプで、アクシデントによる乗り替わりで前を追いかけるような競馬をしたのが力を出せなかった要因か

Gregory

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