毎日王冠の各馬分析7頭目はレーベンスティール。
結論に買い・消しなどの大方の見解とその根拠などを記載しているため、簡単には結論を見ていただければ十分かと思います。
毎日王冠の過去レース分析とそれから得られた分析結論(レース傾向など)についてはこちらから。
基本情報(馬名:馬齢:血統(父×母父):前走:鞍上)
レーベンスティール:牡5歳:リアルスティール×トウカイテイオー:前走しらさぎS2人気7着:57kg:◯◯
結論
■スタートが上手く緩い流れでは好位〜中団前目で競馬ができるタイプで、展開と馬場が揃えば33秒台前半の上がりを出せる末脚性能を活かして抜け出す形で重賞を3勝しており、能力単体で見ればGⅠに入っても上位のクラスと考える
■一方で、精神的に脆い面とタフな馬場では末が伸ばせない点が弱みで、初の海外遠征でテンションが高かった香港Vや馬場がタフだった新潟大賞典、AJCCでは比較的大きく敗れており、テンションの方は判断が難しいものの、少なくともタフで時計がかかるような馬場状態の際には割り引いて考えたい
■エプソムCでは前半1000mがいずれも11.5以下となる比較的持続的な展開でも中団より前のポジションで追走して直線でも脚を伸ばせており追走力もある、また、前々走のAJCCの後には鞍上から「以前より体がムキムキになっていて、今は普通のペースだと、2200mは長いと思います」と距離適性への言及があったように、これまでには2200mでも2つ重賞勝ちがあるものの、現状は中長距離のレンジに入らない2000m以下に一番の適性があると考える
■毎日王冠に向けては距離延長かつ休み明けとテンションの高い馬には難しい条件にも見えるが、過去には距離延長かつ休み明けでもオールカマーで結果を出しているように実績はある、近3走は結果が出ていないものの、天皇賞秋は外枠/スタートの出負け/2角での不利、AJCCは距離/苦手なタフな馬場、しらさぎSは59kgとそれなりに言い訳できる要素はある、今回は東京の開幕週の良好な馬場/1800m/斤量57kgと条件は好転する、精神的に脆い面がある分ピンパーな印象はあるが、近走の結果で人気になりすぎないなら買い時では、本命級
全レース分析
2歳
【1】東京1800m新馬:2着:マーカンド
・陣営は「気性的に大人になってほしいし芯も入っていない」とコメントしていた、追い切りはWと坂路の併用で当週には80.8 – 64.5 – 11.6が馬なりで出され併せ併入していた
・レースは39.5 – 65.0 – 33.5の後傾4.0で、道中は新馬でもそう見ないほどのスローペースで進めるとラストは残り3Fから0.8加速して11.5 – 11.0 – 11.0と伸び切る高速上がりの展開で、上位の上がりを使った2頭が3着以下を千切っての決着
・中枠からあおるようなスタートで出遅れると控えて好位の馬群を追走した、道中はポジション動かず進めるとそのまま前から2列目の内から2頭目から直線へ、直線では狭い進路を割って伸びてくると上がり最速33.2を使ったが叩き合いになったソールオリエンスにクビ差届かずの2着
・直線では内へささるのを矯正されながら伸びていた
【2】中山1800m未勝利:1着:1ヶ月:マーカンド
・陣営は「本当に良くなるのは来年」とコメントしていた、追い切りはWオンリーで最終のみ併せ馬が行われていた
・レースは開幕2週目の馬場の中35.7 – 60.0 – 35.8の前傾0.1で、道中をスローペースで進めるとラスト3Fは12.4 – 11.6 – 11.8と残り2Fからの加速が大きいラップ
・内枠からスタートするとやや行きたがりながら出て行って好位のインを追走した、道中はしっかり折り合って追走できていた、勝負所では馬なりで進めて残り500m付近から促されると好位のインから直線へ、直線ではキレる感じではないもののしっかり伸びて抜け出して上がり最速35.6で優勝
・ここでも直線では外へヨレるのを修正されながら伸びていた
3歳
【3】中山1800m1勝クラス(不良):2着:3ヶ月半:戸崎
・陣営は「少し乗り難しいけど能力は通用する」とコメントしていた、追い切りはWオンリーで前走同様最終のみ併せ馬で行われ、前2走よりは遅い時計(5F67.6)だった
・レースはAコース9日目で雨の降る不良馬場の中39.9 – 66.2 – 35.7の後傾4.2で、道中をドスローで進めるとラストは残り3Fから0.4加速して12.3 – 11.6 – 11.8と残り2Fからの加速も大きな展開で、道中1, 2番手だった馬がそのままワンツーで3着を7馬身離す決着
・外枠からスタートすると出て行って逃げ馬と並ぶような2番手外を追走した、ペースが遅かった影響か多少行きたがってはいたが引っかかってはいなかった、勝負所ではほとんど馬なりのまま逃げ馬に並びかけて直線へ、直線では良く伸びて上がり最速35.7を使ったが最内を走っていた逃げ馬を交わしきれずに2着まで
・直線の馬場は最内だけ色が映えており道悪の影響が少ない進路になっていたか
【4】東京1800m1勝クラス:1着:1ヶ月半:レーン
・追い切りはW主体で当週の火曜日に1本だけ坂路でも乗られていた、1週前の時計が最も速く(5F66.8)唯一の併せ馬だった
・レースはBコース替わり初週の馬場の中35.9 – 61.4 – 33.3の後傾2.6で、道中をスローペースで進めるとラストは残り3Fから1.1加速して11.6 – 10.8 – 10.9と伸びる高速上がり戦で4角6番手以内の馬が1-5着を占め、勝ち馬が5馬身抜けての決着
・内枠からスタートするとやや手綱を抑えられながら出て行って好位のインを追走した、道中はスムーズに進めると 4角から直線では逃げ馬が外目へ行ったためその内を突くようにして直線へ、直線ではこれまでと反対方向の外へヨレながら伸びるとムチは2発のみで上がり最速33.0で抜けて優勝
・直線ではラストはまともに追われずゴール前でも流しており、かなり余力ありながらの圧勝で、ここでは力が違った
【5】ラジオNIKKEI賞:3着:1ヶ月半:戸崎
・陣営は「大きくは変わっていないけど、左右のバランスが良くなり力を抜いて走れるようになりました」とコメントしており、直線でヨレながら伸びる所も徐々に解消されていく過程にある、追い切りはWオンリーで速い時計は1週前に出され(5F66.0)、当週は終い重点だった、ハンデ56kg
・レースは開幕週の馬場の中35.5 – 59.7 – 35.2の後傾0.3で、道中はややスローで進めるとラストは残り3Fから0.4加速して11.6 – 11.5 – 12.1と伸びる展開で1-6着のうち5頭が4角5番手以内の先行有利
・外枠からスタートすると枠なりに控えて中団後方の外を追走した、道中はポジションを変えずにスムーズに追走すると勝負所では外に馬がおり動けない位置となって後方の馬群になって直線へ、直線では外へは出さず内目を突くと伸びてラストは進路を確保するため外へ出されたが差し届かずの3着、上がりは2位より0.5秒速い最速で34.4だった
・レース後鞍上は「結果的にもう少しポジションを取るべきでしたね」とコメントしていたが、道中速く外へ出せば良かった、脚を余しての敗戦
【6】セントライト記念:1着:2ヶ月半:モレイラ
・陣営は「追うごとに動きの質が上がり想像以上の上昇曲線を描いている。オン、オフの区別ができて精神的にも成長」とコメントしていた、追い切りはWオンリーで1週前と当週に5Fで64秒台のベストに迫る時計が出されていた、当週追いは金曜日に行われジョッキーが騎乗していた
・レースは開催5日目(Bコース5日目)の馬場で直線が追い風で、その日の芝レースの勝ち馬は全て上がり最速だった中35.2 – 60.1 – 34.4の後傾0.8で、序盤をミドルからややスローのペースで進めるとラスト5Fは12.3 – 12.1 – 11.7 – 11.7 – 11.0と徐々に加速してラスト1Fが最速となる展開で上がり1, 2位の馬でのワンツー決着
・内枠からスタートすると折り合いをつけながら内へ寄せて中団前目のインを追走した、道中はスムーズに進めると勝負所では馬なりで馬群の加速に付き合い、残り3Fから徐々に促されるとコーナーで外へ持ち出されて中団の外になって直線へ、直線では加速してラストまで力強い足取りで伸びると上がり最速33.9の脚で抜け出して優勝
【7】香港ヴァーズ(香港シャティン2400m):8着:2ヶ月半:モレイラ
・外枠からスタートするとスローに見える展開を控えて中団の馬群を追走した、序盤はかなり手綱と喧嘩するような仕草を見せており、道中も鞍上は手綱をしっかり引いている様子だった、勝負所では残り4F付近から進出していくと前から2列目の内から3頭目付近になって直線へ、直線では後退する一方で最下位敗戦
・レース後鞍上は「能力を全く出していません」とコメントしており、スタート後の様子から見るに精神的な問題も大きかったか
4歳
【8】新潟大賞典:11着:5ヶ月:津村
・陣営は「良馬場でやれそうなのは何よりです。力む面が出てきたので折り合いが鍵になるけど、鞍上とはいいコンタクトを取れています」と馬場とメンタルについて言及していた、追い切りはWと坂路の併用で、休み明けの分息を作るためか66秒中盤の時計で本数が多く乗られていた、ハンデ58kg
・レースは36.9 – 61.6 – 34.4の後傾2.5で、道中をスローペースで進めるとラストは残り4Fから0.7加速して11.7 – 11.3 – 11.0 – 12.0と伸びて逃げ馬が逃げ切っての決着
・外枠からやや躓き加減のスタートを切ると枠なりに内へ寄せて行って中団の外を追走した、道中は外から押し上げる馬もおり3角では中団の馬群になっていた、勝負所では馬群の加速に合わせていくとそのまま中団の馬群から直線へ、直線では伸ばせずの11着敗戦
・レース後鞍上は「入れ込んでいて、レース前からテンションが高かったです。一歩目からトモを落とすなどチグハグな競馬になってしまいました。3、4コーナーでも後ろの馬に乗っかかられて、かわいそうな競馬でした」とコメントしており、精神状態によっては自身の力を出せないタイプ
【9】エプソムC:1着:1ヶ月:ルメール
・陣営は前走について「海外遠征のダメージが大きく今思えばいくらか元気がなかった」とコメントしていた、追い切りは併用で1週前には6F自己ベストの79.7 – 64.8 – 11.1が出されていた、斤量は59kg
・レースは連続開催16日目(Cコース6日目)の馬場の中35.2 – 58.3 – 34.6の後傾0.6で、前半5Fを11.5以下が続く持続的なラップで進めると1000-1200mを11.8とやや緩めた、ラストは残り3Fから0.3加速して11.5 – 11.5 – 11.6とほとんど減速せず伸びる展開
・内目の枠から外へヨレるように速めのスタートを切ると、ほとんど馬なりで出て行って中団前目の馬群を追走した、道中は鞍上に外へ外へと誘導されながら折り合って追走し3角では中団の外の位置取りとなった、勝負所では残り700m付近から徐々に促されて進出を開始すると中団の外から直線へ、直線では一瞬でキレる様子ではなかったもののラストまでしっかりとした足取りで伸びて上がり最速33.7を使うと2馬身抜け出して優勝
・レース後鞍上は「前走はあまり伸びがありませんでしたが、田中調教師から、状態はバッチリだと聞いていたので、自信を持って乗りました」とコメントしており、状態の良し悪しを陣営は把握できていると考えられる
・ある程度持続的なペースを追走した上で直線でも伸ばせている所を見るに、調整の仕方や使い方次第ではマイルも走れるタイプと見る
【10】オールカマー:1着:3ヶ月半:ルメール
・追い切りはWオンリーで、5F65秒台程度の時計が毎週のように出されていた
・レースは開催7日目(Cコース2日目)の馬場の中36.6 – 61.0 – 34.7の後傾1.9で、道中をスローペースで進めるとラストは残り5Fから0.5加速して11.9 – 11.8 – 11.6 – 11.3 – 11.8と伸びる高速5F戦で、4角4番手以内の馬で1-4着を独占の先行決着
・内枠からスタートすると出て行って好位の馬群を追走した、序盤は手綱と喧嘩をして頭を上げるような所があり、道中もやや行きたがるのを抑えられていた、勝負所では残り500m付近から促されると前から3列目の内から2頭目から直線へ、直線では内を突いて狭いところを縫うように伸びるとラストは上がり2位34.1の脚で抜け出して優勝
・レース後鞍上は「スタートが上手ですから、すぐに良いポジションを取れました(後略)、もう少し落ち着いた方が良いと思いますが、今日は休み明けの2200mで少し引っかかりました」とコメントしていた
【11】天皇賞秋:8着:1ヶ月:ルメール
・陣営は「大人になって気性的な成長と体質も強くなり、調整がしやすくなりました。強力なメンバーでチャレンジャーの立場ですが、東京の二千は走らせたかった条件なので楽しみです」とコメントしていた、追い切りはW主体で1週前当週と鞍上が関西からかけつけて騎乗していた、当週は自己ベストを大きく更新する77.5 – 62.8 – 11.4が出されていた
・レースは開催8日目(Bコース2日目)の馬場の中35.9 – 59.9 – 33.7の後傾2.2で、道中は12.0付近が続く持続寄りのスローペースで進めると、ラストは残り3Fから0.7加速して11.1 – 11.1 – 11.5と伸びる展開
・外枠からあおって出負け気味のスタートを切ると控えて枠なりに中団の外を追走した、2角では内から引っかかった馬に張られてこちらも手綱を噛むような形になり中団後方の外にポジションを下げた、勝負所でも手綱を抱えて馬群の外で進めると中団後方の大外になって直線へ、直線ではキレる様子ではなかったものの自身の脚を使ったが、相対的に伸ばし切れるほどではなく上がり3位33.0で、2着から0.3秒差の8着まで
・レース後鞍上は「外枠は厳しかったです。我慢はできましたが、このペースで後ろからでは、勝った馬以外は大変です。精一杯走ってくれました。またトライしたいです」と枠順と展開について言及していた
・外枠からスタートで出負けした上に不利もあっては自身の力を出し切れなかった形
5歳
【12】AJCC:12着:3ヶ月:ルメール
・陣営は「背中に厚みが出て、より牡馬らしい体つきに。しっかり負荷をかけて上向いてきたし、良績のあるコースなので好レースを期待」とコメントしていた、追い切りは併用で、自己ベストほどではないものの相変わらずWで速い時計が出されていた、3ヶ月の休み明けで馬体は+12kgして過去最高馬体重の492kgだった、別定で斤量は+1kgの58kg
・レースは開催18日目(Cコース7日目)の馬場の中36.5 – 60.6 – 36.6の前傾0.1で、道中を緩まり切らないラップで進めると、残り6Fから11.9 – 11.7 – 11.3 – 11.8 – 12.2 – 12.6と早めから速いラップになってラストはゴールへ失速する展開
・内枠から少しあおり気味のスタートを切ると出て行って中団のインを追走した、道中は外にいた勝ち馬をマークするような形で向正面では中団の馬群を折り合って追走していた、勝負所では残り4F過ぎから徐々に促されて中団の馬群から直線へ、直線では伸ばせず12着敗戦
・レース後鞍上は「以前より体がムキムキになっていて、今は普通のペースだと、2200mは長いと思います。勝ち馬が隣にいましたが、坂を上ってバテてしまいました」とコメントしており、距離適性の変化について言及していた
・距離適性が短くなっていると仮定すると、馬場も展開もタフで、2200mの中でもかなり向かない方のレース質だったか
【13】しらさぎS:7着:5ヶ月:川田
・陣営は「入厩した日から落ち着きがあり、最近のなかでは一番思うような調整ができた。以前からマイルは面白いと思っていた条件です」とコメントしていた、追い切りは変わらずW主体で自己ベスト並の時計は出されていなかった、初の関西遠征だったが2週前くらいから栗東に滞在して調整されていた、別定で斤量は+2kgの59kg
・レースは開催6日目(Bコース2日目)の馬場の中35.1 – 59.1 – 33.9の後傾1.2で、道中をスローペースで進めると、ラストは残り3Fから0.7加速して11.2 – 11.1 – 11.6と伸びる展開
・中枠からスタートすると手綱と少し喧嘩しながら出て行って中団前目の馬群を追走した、勝負所では馬群のペースが緩んで前との差を詰めると前から2列目の内から2頭目になって直線へ、直線では序盤こそ進路がなかったものの残り400m付近から開いて追われると、脚を使っている様子ではあったが相対的には伸ばし切れず、ラストは勝ち馬に少し前をカットされるような形になって7着まで
・レース後鞍上は「4角までとてもいい内容でした。1600メートルも合っていると思います。ただ、動きが出ませんでした」とコメントしていた
結論(再掲)
■スタートが上手く緩い流れでは好位〜中団前目で競馬ができるタイプで、展開と馬場が揃えば33秒台前半の上がりを出せる末脚性能を活かして抜け出す形で重賞を3勝しており、能力単体で見ればGⅠに入っても上位のクラスと考える
■一方で、精神的に脆い面とタフな馬場では末が伸ばせない点が弱みで、初の海外遠征でテンションが高かった香港Vや馬場がタフだった新潟大賞典、AJCCでは比較的大きく敗れており、テンションの方は判断が難しいものの、少なくともタフで時計がかかるような馬場状態の際には割り引いて考えたい
■エプソムCでは前半1000mがいずれも11.5以下となる比較的持続的な展開でも中団より前のポジションで追走して直線でも脚を伸ばせており追走力もある、また、前々走のAJCCの後には鞍上から「以前より体がムキムキになっていて、今は普通のペースだと、2200mは長いと思います」と距離適性への言及があったように、これまでには2200mでも2つ重賞勝ちがあるものの、現状は中長距離のレンジに入らない2000m以下に一番の適性があると考える
■毎日王冠に向けては距離延長かつ休み明けとテンションの高い馬には難しい条件にも見えるが、過去には距離延長かつ休み明けでもオールカマーで結果を出しているように実績はある、近3走は結果が出ていないものの、天皇賞秋は外枠/スタートの出負け/2角での不利、AJCCは距離/苦手なタフな馬場、しらさぎSは59kgとそれなりに言い訳できる要素はある、今回は東京の開幕週の良好な馬場/1800m/斤量57kgと条件は好転する、精神的に脆い面がある分ピンパーな印象はあるが、近走の結果で人気になりすぎないなら買い時では、本命級
Gregory