有馬記念の各馬分析10頭目はスタニングローズ。
結論に買い・消しなどの大方の見解とその根拠などを記載しているため、簡単には結論を見ていただければ十分かと思います。
有馬記念の過去レース分析とそれから得られた分析結論(レース傾向など)についてはこちらから。
基本情報(馬名:馬齢:血統(父×母父):前走:鞍上)
スタニングローズ:牝5歳:キンカメ×クロフネ:前走エリ女3人気1着:ムーア
結論
■スタート後に押して出していかなくても好位が取れる脚質と比較的長く使える末脚が強みで、好走したオークス、紫苑S、秋華賞、エリ女2024がいずれも残り4Fから加速してラストまで減速しきらないような高速4F戦だったことから、この展開が最も得意
■上記の強みから、テンから流れるラップになることのある1800mまでの距離よりは、前半はゆったりと進めて後半の長く使える脚を活かせる2000m以上の距離が向いている
■紫苑S前には陣営から「本番は次なので目いっぱいの仕上げではないが(後略)」とコメントがあり、また、長期休養明け2戦目だったヴィクトリアマイル2024前には「使ってからの上積みがすごくて心身ともに充実した出来」とコメントされていたように、本質的に休み明けよりも一叩きされて状態を上げられるタイプ
■抜群のテンを考えると逃げ馬不在のここではハナでの競馬までありそうな存在で、スローペースで進めて残り4Fから加速する展開になれば本馬の好走パターンとなる、やや間隔が空いた前走を使っての2戦目である点も良く、展開さえ向けば好走率は高い、しかし、前走はハイレベルとは言い切れないメンバー構成の中で2馬身抜け出した派手な勝ち方をしており、逃げ馬不在のここでは展開も向くと見られるだろう、そうなると妙味は出ない可能性が高く、評価の仕方はオッズと相談か、基本的には高評価
全レース分析
2歳
【1】中京1400m新馬:2着:吉田隼
・追い切りは坂路オンリーで1週前には4F52.7 – 12.3で併せ先着と新馬にしては速めの時計で追い切られていた、最終追い切りは単走
・レースは35.0 – 35.9の前傾0.9でラスト3Fは12.1 – 11.6 – 12.2と残り2Fからの加速が大きな展開
・外枠から出負け気味のスタートを切ると、3角までは前進気勢強めで、ハミと喧嘩しながら好位の外目を追走した、そのまま好位から直線へ入ると外を向きながらも上がり最速で伸びたが逃げ馬を捕まえられず2着、幾分口向きの悪さがある
【2】阪神1600m未勝利:1着:中2週:川田
・追い切りは坂路で単走オンリーで、初戦高めだったテンションを考慮してか、併せ馬をなくしてきた
・レースは35.6 – 59.6 – 35.6の前後傾フラットで、残り3Fから0.3加速して11.8 – 11.3 – 12.5という、残り2Fからの加速が大きい展開
・外枠9番からスタートすると好位を追走したが、ここでも引っ掛かり気味で手綱を引かれていた、3角を過ぎて残り5Fからは折り合いがついて好位馬群を追走した、直線では外目に出された逃げ馬の一つ内側から抜け出すと上がり最速を使って優勝したが、抜け出してからは脚色が鈍くなり遊んでいるようだった
【3】新潟2歳S:5着:2ヶ月:松山
・追い切りは坂路オンリーで、最終追い切りでは自己ベスト4F51.3 – 12.1が出されていた、休養明けで馬体は+10kg
・レースは36.2 – 60.2 – 33.6の後傾2.6で残り4Fから0.6加速すると11.7 – 10.8 – 11.0 – 11.8と末脚求められる展開
・中枠内目からスタートすると直後躓いてしまい、この影響があって最後方を追走、3角までの折り合いは前2走と比較すれば改善されていた、直線は大外から進入するとゴールまで脚を使って上がり2位だったが5着まで、大きな後傾ラップとなった展開を考えればもう少し前目の位置が欲しかった
・直線では外へヨレる面を見せており、鞍上も内へ内へと矯正していた
【4】サウジアラビアRC:3着:1ヶ月:戸崎
・追い切りはここも坂路オンリーで、毎週併せ馬が行われていた、初の関東遠征で馬体は-8kg
・レースは37.7 – 62.6 – 33.8の後傾3.9で、残り3Fから1.2加速して11.4 – 10.9 – 11.5と高速上がりが求められる展開
・最内枠からスタートすると控えて中団後方のインを追走した、道中多少ハミを噛んでいたが前走程度であった、4角から直線で外目に出されるもさらに外の馬に締められて7頭立てにも関わらず詰まっていた、直線では上がり最速で前に迫ったが先に抜け出した2頭を交わせず3着
・内枠から控えたことで位置取りが後ろになったことに加え直線でも詰まっており、力負けではない
【5】デイリー杯2歳S(阪神1600m):5着:1ヶ月:吉田隼
・追い切りはいつもと同様坂路オンリーでの調整、1ヶ月間隔での叩き3走目で馬体は-6kg
・レースは多少時計かかり気味の良馬場の中35.9 – 61.3 – 33.8の後傾2.1で、残り3Fから1.2加速して11.4 – 10.5 – 11.9という展開
・内枠から好スタートを切ると馬なりでハナへいったが、3角で外からポジション上げる馬がおり譲って2番手のインを追走した、直線では逃げ馬の外に出されたが相対的に伸びられず5着敗戦、レース後鞍上からは「ずっと使われてきたので疲れがあるのか、いつもの良さが出ませんでした」とコメントあり、2戦連続馬体減していたところに状態が悪いことのサインがあったか
3歳
【6】阪神1600m1勝クラス(稍重):1着:3ヶ月:坂井
・追い切りは普段同様坂路のみ、戦前陣営は「前走は状態が少し下降気味だったみたい」とコメント
・レースは6頭立ての少頭数で雨の降る稍重の中、38.0 – 63.3 – 33.6の後傾4.4で、残り3Fから0.8加速して11.7 – 10.4 – 11.5と上がり3F勝負の展開
・外目5番枠からスタートすると一団の馬群の中団外を追走、直線は1列目内から3頭目で進入すると上がり最速で優勝、残り200mまで馬群は一段で、まさに末脚比べのレース展開だった
・休み明けでペースもかなり遅かったが、今までで一番と言っていいほど落ち着きがあり、折り合いに進展が見られた
【7】フラワーC:1着:1ヶ月:川田
・追い切りは同様に坂路オンリーで、最終追い切りでは併せ先着していた
・レースは36.9 – 61.3 – 35.4の後傾1.5で、ラスト3Fは12.0 – 11.4 – 12.0と残り2Fからラップが加速する展開
・ゲートでの駐立が悪く、最内枠から立ち上がるように出遅れたが、テンが速い馬が多くなかったこともあり逃げ馬の後ろの好位インを確保して追走できた、道中の折り合いもしっかりついていた、直線も内目から若干外に出されると上がり2位で抜け出して優勝
・レース後陣営からは「デイリー杯2歳Sの後の休養で心身が超回復した」との旨のコメントが出されており、確かに折り合いに進展が見られたことで安定感が増している
【8】オークス:2着:2ヶ月:レーン
・追い切りはいつも通りで、最終追い切りは終い重点で併せ先着
・レースは35.3 – 60.6 – 34.8の後傾0.5で、残り4Fから0.5加速して11.6 – 11.3 – 11.7 – 11.8と伸びる4F戦の展開
・内枠から若干立ち上がり気味のスタートを切ると中団前目のインを落ち着いて追走、前を行く2人気馬アートハウスをしっかりマークしていた、直線ではそのアートハウスが馬場の真ん中まで出したため、それを追いかけて馬場の真ん中から抜け出しにかかったが外から上がり最速馬に差されて2着
【9】紫苑S:1着:3ヶ月半:坂井
・陣営は「本番は次なので目いっぱいの仕上げではないが(中略)」とコメントしていた、追い切りは坂路オンリーで最終は単走だった、最終追いが単走で行われるのは2戦目の未勝利以来、休み明けで馬体は+14kgしていた
・レースは35.9 – 60.8 – 35.1の後傾0.8で、前半は平均からややスローの展開で進めると残り4Fから0.6加速して11.7 – 11.4 – 11.4 – 12.3と伸びる高速4F戦で器用さも求められる先行有利な展開
・大外12番枠からスタートすると馬なりで出て行って好位外目の3番手を追走した、その後の勝負所でも馬群の加速に合わせて加速していくと逃げ馬と並んで直線へ、直線では逃げ馬もしぶとかったがこちらもラストまでしっかり脚を使って差し切って優勝
・本レースにしてもオークスにしても、しっかり好位を取った優等生な競馬をしながらラストも長く脚を使えるところが本馬の最大の強みか
【10】秋華賞:1着:1ヶ月:坂井
・追い切りはここも坂路オンリーで、詰まり気味の間隔を気にしてか全て単走での調整だった、陣営は追い切りについて「前走時より反応が良かった」とコメントしていた
・レースは35.7 – 59.7 – 34.8の後傾0.9で、前半は平均程度のラップで進めると残り4Fから0.5加速して11.8 – 11.5 – 11.5 – 11.8と伸びる高速4F戦で、前哨戦の紫苑Sに似たラップだった
・中枠内目からスタートすると出ていって好位馬群を追走した、向正面に入ると外の馬がいなくなり中団前目の外を追走していた、勝負所では馬群の加速に付き合った後残り600mから促されて進出を開始、好位の外目から直線へ進入すると抜け出して人気2頭の猛追を凌いで優勝
・ポジション利が生かせる高速4F戦で好位抜け出しの優等生な競馬をしており、自身の強みを最大限いかした競馬
【11】エリザベス女王杯(重)(阪神2200m):14着:1ヶ月:坂井
・陣営は「GIを勝った状態を維持することを心掛けて(中略)」とコメントしており、上澄みがあるというよりは状態維持といった調整だった、追い切りは前走に続いての坂路単走オンリーで最終追いは4F55.5と比較的遅めな全体時計だった
・レースは重馬場の中35.3 – 60.3 – 36.4の前傾1.1で、前半は重馬場としては平均から若干速めのペースで進めると残り4Fから0.4加速して11.8 – 11.9 – 12.3 – 12.2と徐々に失速するようなラップ(ラスト1Fは勝ち馬が伸びきってのもの)
・中枠からスタートすると重馬場も考慮してかいつもよりは強気に出していかなかったが、それは皆んな同じでいつも通りの好位馬群の位置取りとなった、その後も位置取りは大きく変わらず勝負所の残り800m付近から促され始めたが手応え怪しくポジションを上げられずに中団付近の馬群から直線へ、直線では全く伸ばせずの14着敗戦
・レース後鞍上はやりたいレースはできたが残り800mで手応えがなくなったとの旨のコメントを出しており、重たい馬場が向かなかったのもあるかもしれないが、前走から出来落ちだった分もあるか
4歳
【12】中山記念:5着:3ヶ月半:吉田隼
・追い切りは相変わらず坂路オンリーで、休み明けで馬体は+6kgし、過去最高馬体重だった
・レースは36.4 – 60.0 – 35.4の後傾1.0で、道中は11.9付近が続く持続的な展開からラスト5Fは11.8 – 11.7 – 11.6 – 11.4 – 12.4と徐々に加速してラスト1Fを落とす展開
・外枠からスタートすると出て行って枠なりに好位の外目を追走した、勝負所では徐々に加速していって好位外目になって直線へ、直線ではそれなりに伸びていたが逃げ馬を捉えられず数頭に差されての5着
・カメラが揺れるほど強い風が吹いており、直線向かい風だったことで幾分差しに向いていた、開幕週だったこともあり内差しが絶好位だったか
・レース後鞍上は「前に壁を作れない中、頑張って走っていたと思います。出来れば、もう少し内を走らせたかったです」とコメントしていた
【13】ヴィクトリアマイル:12着:2ヶ月半:坂井
・陣営は「背中の疲れが取り切れなかったので大阪杯を見送って放牧へ、それがいい方に出て、ボリューム感を増して帰ってきた」とコメントしていた、追い切りは坂路で単走オンリーで全体時計が速い所が出されておらず、頓挫明けを考慮された調整
・レースは小雨の降る良馬場の中34.2 – 58.5 – 33.7の後傾0.5で、入りの3Fを早めに入ると600 – 1000mで12.0 – 12.3と緩んで残り3Fから1.0加速して11.3 – 11.0 – 11.4と伸びるラップ
・内目の枠からややアオるように出遅れて控えて後方のインを追走した、そのまま後方インから直線へ進入すると馬場の内目で馬群を突くように伸びていたが前には迫れず12着敗戦
・追走スピードの求められるGⅠラップのマイルは向かない
・レース後に左前脚の腱周囲炎が判明し長期休養へ
5歳
【14】大阪杯:8着:10ヶ月半:西村
・追い切りは坂路単走オンリーで、当週こそ終い重点の時計だったが1, 2週前には全体53秒台の時計も出されていた
・レースは開催12日目(Bコース2日目)の馬場の中35.8 – 60.2 – 35.0の後傾0.8で、序盤はスローペースで進めると途中向正面でまくった馬の影響で残り6Fから0.8加速して11.8 – 11.5 – 11.5 – 11.4 – 11.4 – 12.2とラストまで伸びるロングスパート戦
・内枠からやや立ち上がり加減でも五分のスタートを切ると出て行ってハナへ、道中はしっかり折り合って追走できていた、勝負所では残り500m付近から促されると加速して2番手と半馬身ほどの差の先頭で直線へ、直線では伸ばしきれずに8着まで
・レース後鞍上は「終始乗りやすく、脚も溜まっていましたが、最後の坂で疲れてしまいました」とコメントしていた
・まくった馬の影響で残り6Fから加速開始するラップで逃げた本馬にはやや厳しい展開だった
【15】ヴィクトリアマイル:9着:1ヶ月半:西村
・陣営は「使ってからの上積みがすごくて心身ともに充実した出来」とコメントしており、これまでの戦績からも本質的に休み明けより叩いて良いタイプ、追い切りは坂路単走オンリーで2週続けてジョッキーが騎乗していた
・レースは33.8 – 56.8 – 35.0の前傾1.2で、序盤を飛ばして入ると道中も11.6以下が続く緩まない展開で、ラスト3Fは11.6 – 11.7 – 11.7と加速の入らないラップ
・内枠からスタートするとある程度出して行って逃げ馬を見る好位のインを追走した、道中は動きなくそのまま好位のインから直線へ、直線では懸命に脚を伸ばしていたが9着まで
・ハイペースを先行して展開も向いておらず、スピードを持続する能力ではマイルを本場とする馬には敵わなかった形
【16】クイーンS(稍重):6着:2ヶ月半:北村友
・追い切りはいつものパターンから当週は函館Wでジョッキー騎乗で終い重点の時計が出されていた、斤量は定量で57kg
・レースは開催4日目(Aコース4日目)の稍重の中35.7 – 60.3 – 35.3の後傾0.4で、道中は平均ペースで進めると、ラストは残り4Fから0.4加速して11.8 – 11.6 – 11.8 – 11.9とラストは失速する展開
・中枠外目からあおり気味のスタートを切るとほとんど馬なりで出て行って好位の外を追走した、道中は動きなく、勝負所でも馬なりで進出していくと残り400m手前から促されて逃げ馬から2馬身差ほどの2番手から直線へ、直線では抜け出しにかかって伸びたが、ラストは後続に飲まれる形で0.2秒差の6着まで
・レース後鞍上は「スタートで出して行くつもりはありませんでしたが、ゲートを出て、自然に二の足でベストポジションに付けられました。良い形で直線を迎えましたが、最後は斤量の差もあったと思います」とコメントしていた
【17】エリザベス女王杯:1着:2ヶ月半:C.デムーロ
・追い切りはいつものパターンで当週のみジョッキーが騎乗していた
・レースは開催12日目(Bコース4日目)の馬場の中35.2 – 59.6 – 34.4の後傾0.8で、道中を平均程度のペースで進めると、ラストは残り4Fから0.6加速して12.0 – 11.7 – 11.1 – 11.6と伸びる展開
・中枠外目からスタートすると馬なりで出て行って好位の外を追走した、道中は相変わらず落ち着いて追走できていた、勝負所でも馬なりで馬群の加速に付き合うと、ラスト3Fから促されて進出して先頭に並びかけて馬場の外へ出されるように直線へ、直線では力強く伸びて2馬身抜け出して優勝
結論(再掲)
■スタート後に押して出していかなくても好位が取れる脚質と比較的長く使える末脚が強みで、好走したオークス、紫苑S、秋華賞、エリ女2024がいずれも残り4Fから加速してラストまで減速しきらないような高速4F戦だったことから、この展開が最も得意
■上記の強みから、テンから流れるラップになることのある1800mまでの距離よりは、前半はゆったりと進めて後半の長く使える脚を活かせる2000m以上の距離が向いている
■紫苑S前には陣営から「本番は次なので目いっぱいの仕上げではないが(後略)」とコメントがあり、また、長期休養明け2戦目だったヴィクトリアマイル2024前には「使ってからの上積みがすごくて心身ともに充実した出来」とコメントされていたように、本質的に休み明けよりも一叩きされて状態を上げられるタイプ
■抜群のテンを考えると逃げ馬不在のここではハナでの競馬までありそうな存在で、スローペースで進めて残り4Fから加速する展開になれば本馬の好走パターンとなる、やや間隔が空いた前走を使っての2戦目である点も良く、展開さえ向けば好走率は高い、しかし、前走はハイレベルとは言い切れないメンバー構成の中で2馬身抜け出した派手な勝ち方をしており、逃げ馬不在のここでは展開も向くと見られるだろう、そうなると妙味は出ない可能性が高く、評価の仕方はオッズと相談か、基本的には高評価
Gregory