有馬記念の各馬分析5頭目はダノンデサイル。
結論に買い・消しなどの大方の見解とその根拠などを記載しているため、簡単には結論を見ていただければ十分かと思います。
有馬記念の過去レース分析とそれから得られた分析結論(レース傾向など)についてはこちらから。
基本情報(馬名:馬齢:血統(父×母父):前走:鞍上)
ダノンデサイル:牡3歳:エピファネイア×米国型:菊花賞1人気6着:横山典
結論
■一瞬のスピードよりは持続力が武器の馬で、直線でムチを入れられてヨレる様子から晩成傾向で完成は先の馬とみる、実際に前走の菊花賞後にも鞍上は「これからの馬だと思います」とコメントしていた
■まだ成長途上にある中でダービーでは展開がガッツリ向いたとはいえ、ラスト4Fは11.7 – 11.3 – 11.1 – 11.2 – 11.7と伸びる展開を持続力で押し切っており、能力は確かなものがある
■スピードよりも持続力が武器である面から、スローからの瞬発力勝負よりも全体時計や上がりのかかる中で強くゴールまで末脚を伸ばす展開が向いている
■休み明けかつ馬体増で、さらに展開も向かなかった前走の敗戦で人気を落とすなら展開的にも向きそうな今回は評価したいが、ダービー馬、3歳馬などの要素から妙味のある人気になるかは疑問、相手には必ず欲しいが、どこまで重い印とするかは人気次第で
全レース分析
2歳
【1】東京1600m新馬(稍重):4着:横山典
・追い切りは単走馬なりオンリーかつ坂路主体で当週のみWで追い切られていた、1週前には坂路で51.3 – 12.5と速めの時計も出されていた
・レースは開催3日目(Aコース3日目)で雨が降り稍重となった馬場の中36.5 – 62.6 – 34.3の後傾2.2で、道中を新馬戦らしいドスローで進めるとラストは残り3Fから1.1加速して12.0 – 11.1 – 11.2と残り2Fからの加速も大きい展開
・内枠から歩くようなスタートで出遅れると控えて中団後方のインを追走した、道中は隊列に動きはなく勝負所でも仕掛ける様子はなく後方のインになって直線へ、直線では進路を探しながら6割程度で追い出されて若干伸びたが3着から0.6秒離された4着まで
・スタートにしても道中にしても馬がまだボケッとしている感じで、鞍上も無理に促さなかった形
【2】京都1800m未勝利:1着:中2週:横山典
・陣営は「ハミを替えて舌を縛る。上積みはあるので、口向きの悪さを出さなければ」とコメントしており、口向きに不安があった様子、追い切りは坂路とWが1本ずつで当週にはWで86.4 – 67.8 – 11.7の自己ベストが出され併せ併入していた
・レースは開催8日目(Aコース8日目)の馬場の中35.6 – 60.4 – 35.1の後傾0.5で、道中は平均ペースで進めるとラストは下り坂の残り4Fから0.3加速して12.4 – 12.0 – 11.4 – 11.7とラストまで11秒台で伸びるラップで、4角3番手以内で圏内独占の先行決着、カメラが揺れるほどの強い北風が吹いており、先行有利だったか
・中枠からやや出負け気味のスタートを切ったが出て行って外の2番手を追走した、道中は落ち着いて追走できていた、勝負所でも馬なりで馬群の加速に付き合うと1馬身差ほどの2番手になって直線へ、直線では逃げ馬の内へ切り返して追われるとキレる様子ではないものの徐々に伸びて逃げ馬を交わして優勝
・瞬発力タイプではなさそう
【3】京都2歳S:4着:1ヶ月:横山典
・陣営は「脚質の幅が広がるように、今回は前向きさを加えられるレースを」とコメントしていた、追い切りは坂路とWの併用で1週前にはWで自己ベスト83.2 – 67.7 – 11.4が出されていたが、当週には坂路で終い失速するようなラップで併せ遅れていた
・レースは開催16日目(Cコース3日目)の馬場の中35.0 – 59.1 – 35.9の前傾0.9で、序盤5Fをこの時期の2歳戦としてはハイペースで入ると1000-1200mを12.8と緩めた、ラストは残り4Fから0.8加速すると12.0 – 11.9 – 11.9 – 12.1と伸びる上がりかかり気味の4F戦
・内枠から出遅れるとやや行きたがるのを抑えられながら後方の外を追走した、勝負所では残り3F過ぎから徐々に促されると後方の外目になって直線へ、直線では進路を求めて外へ切り返されてしっかり追われたのはラスト150m程度、すぐさまキレる様子ではなかったもののゴール前では一番の伸び脚で伸びて4着
・ゴール前の脚色からはもう少し距離があっても良さそうで、上がりかかる展開の中で末脚を活かすなど、キレが要求されない条件が合いそうなタイプ
3歳
【4】京成杯:1着:1ヶ月半:横山典
・陣営は「前走はより競走馬らしくなって調教段階からいい方向に変わっていたし、しっかりと脚を使えて収穫があった」とコメントしていた、追い切りは併用で1週前の金曜日にはWで自己ベスト82.1 – 66.9 – 11.6が出され併せ併入し、当週にはジョッキー騎乗で終い重点の時計が出されていた
・レースは開催14日目でCコース5日目の馬場の中35.6 – 60.7 – 34.8の後傾0.8で、前半をややスローで進めると、ラストは残り3Fから0.5加速して11.9 – 11.3 – 11.6と伸びる展開で、上位の上がりを使った2頭でのワンツー、上位は上がり最速でのちの菊花賞馬の2着アーバンシックを除いて4角で好位の馬が占めており、展開的には先行有利だった
・外枠からスタートすると出て行って好位の外を追走した、道中はしっかり折り合って追走できていた、勝負所では残り4Fから徐々に促していくと外から加速して好位の大外から直線へ、直線では右ムチを入れられて外にヨレながら伸びると上がり2位の脚で外から差し切って優勝
・4角ではコーナーをまわり切る少し前に手前を替えてしまっていた
・レース後陣営は「クラシックを目指すと思いますが、当初は完成するのが来年になるつもりだったくらいの馬で、邪魔をしないようにやっていきたいです」と晩成との旨のコメントをしていた
・直線での伸びからはキレるタイプではないものの、上がりのかかる展開でも脚が使えそう
【5】皐月賞:除外:3ヶ月:横山典
・陣営は「春を見据えたうえで消耗を少なくしてダービーに向かおうということで、皐月賞への直行を選択した」とコメントしていた、追い切りは坂路主体の調整からラスト2週のみWで、1週前にはWで自己ベスト81.0 – 65.2 – 11.2が一杯で出され併せ先着していた、当週も6F82.7 – 11.7が出されていた
・発走直前に右前肢ハ行を発症して競争除外となった
【6】日本ダービー:1着:1ヶ月半:横山典
・陣営は「爪に痛みが出たので大事を取ったが、栗東に戻って治療した後は、すぐ症状が和らいだ」とコメントしていた、追い切りは併用で1週前にはWで自己ベスト79.6 – 65.0 – 11.0と、これまでを考えれば猛時計と言ってよいタイムが出され併せ先着していた
・レースは開催12日目でCコース2日目の馬場の中36.3 – 62.2 – 33.8の後傾2.5で、前半をスローで進めるとラストは残り5Fから1.0加速して11.7 – 11.3 – 11.1 – 11.2 – 11.7と伸びる展開
・内枠からスタートすると押して出して行って逃げ馬を見る好位のインを追走した、序盤出していったが道中はスローでもしっかり折り合っていた、勝負所では馬群の加速に合わせて残り5Fから徐々に促されると楽な手応えのまま前について行って好位のインのまま直線へ、直線では逃げ馬のさらに内を突くと、ここでもキレる脚ではなかったもののゴールまで力強く脚を伸ばすと2着を2馬身離して優勝
・レース後陣営は「馬には硬さがありましたし、苦しさもありましたから、レースを終えてからも、引き上げてくるまで、ずっとそのあたりを見ていました」とコメントしており、まだ万全の状態ではなかった様子
・前半がスローで勝ち時計としては低速戦になり、後半は長く脚が求められたのが向いた印象で、後半が加速するラップで終始最内を立ち回れた完璧な競馬だった
【7】菊花賞:6着:5ヶ月:横山典
・陣営は「間隔があいていたダービーでもしっかり走れたし、暑い時季に帰厩して一走することで消耗させるのはどうかと考えて直行を選択。前回とは臨戦過程が違うし予定通りにこられた」とコメントしていた、追い切りは併用で2週前、1週前にWでそれぞれ79.0 – 64.7 – 11.6、78.1 – 63.8 – 11.4と猛時計で自己ベストが更新されていた、当週は坂路で単走馬なり、この時計でも馬体は+18kgしており、やや太め残りだった可能性も
・レースは開催6日目(Aコース6日目)の馬場の中37.0 – 62.0 – 123.7 – 35.9の後傾1.1で、道中は先頭が入れ替わり立ち替わりとなった影響で大きく緩む箇所がない展開で、ラストは残り4Fから0.7加速して11.9 – 12.0 – 11.8 – 12.1と減速しきらず上がりは少し要するラップで、1角で8番手以下の馬が6着までを独占した
・内枠からアオり気味のスタートを切ると出て行って好位のインを追走した、ホームストレッチでは外からポジションを上げる馬が多く1角では中団のインの位置取りとなった、また、向正面でも外から進出を開始する馬が多く3角では後方のインになっていた、勝負所では最内をまわったまま早目に仕掛けることはできず、後方の内目からインアウトで直線へ、直線では上がり2位の脚でジワジワと差を詰めたがスムーズに踏んで抜け出した組には迫りきれずの6着まで
・レース後鞍上は「1周目でごちゃついてしまいましたが、競馬だから仕方ないです。それでも馬は成長を見せてくれました。最悪の流れの中、6着まで良く頑張ってくれました。これからの馬だと思います」とコメントしていた
・内目を立ち回ったのが展開的に向かず、結果的に馬としては踏み遅れているため悲観する内容ではない
・直線での伸びは仕掛け遅れている割にやや物足りず、距離か太めのどちらかが要因とみる
結論(再掲)
■一瞬のスピードよりは持続力が武器の馬で、直線でムチを入れられてヨレる様子から晩成傾向で完成は先の馬とみる、実際に前走の菊花賞後にも鞍上は「これからの馬だと思います」とコメントしていた
■まだ成長途上にある中でダービーでは展開がガッツリ向いたとはいえ、ラスト4Fは11.7 – 11.3 – 11.1 – 11.2 – 11.7と伸びる展開を持続力で押し切っており、能力は確かなものがある
■スピードよりも持続力が武器である面から、スローからの瞬発力勝負よりも全体時計や上がりのかかる中で強くゴールまで末脚を伸ばす展開が向いている
■休み明けかつ馬体増で、さらに展開も向かなかった前走の敗戦で人気を落とすなら展開的にも向きそうな今回は評価したいが、ダービー馬、3歳馬などの要素から妙味のある人気になるかは疑問、相手には必ず欲しいが、どこまで重い印とするかは人気次第で
Gregory