天皇賞秋をタコ負けて落ち込んでるが、年末に向けて淡々とやっていく。
レース概要・分析結論
【概要】
過去7年5回中山8日 or 9日に行われ、馬場は10月初めのスプリンターズSを最後に休ませた後、Aコースで(12月1週目から開催の5回中山の間)使い続けての8日目 or 9日目。フルゲートは16頭で斤量は別定3歳56kg、4歳以上58kg、牝馬2kg減。
【結論】
■有馬記念が行われる中山2500mでは、下記のコース形態の特徴から1角の入り以降は”自然に”ラップの傾向が定まってしまう節があり、展開はスタートから1角の入りまでがどのようなペースや隊列になるかの影響が大きい
○スタート後にすぐにコーナーが来る影響で外枠の馬が先行するには序盤にかなり脚を使う必要があるため、外枠主導の先行隊列では先行馬への負荷が高い展開になる
○1角から2角出口の手前まででは、コーナーであることと登り坂であることの2点からラップが大きく落ちるが、2角出口手前からは下り坂がスタートするため、そこまでをスローで入っていようが、ハイペースで飛ばしていようがコーナーを抜けた向正面の残り6F or 5Fからラップが加速することでロングスパートの展開となりやすい
1角までをスローペース、特に内枠主導の隊列で入ると、先行馬が楽をしながら後半で後続が前との差を詰めづらいロングスパートとなるため、内前をスムーズに先行した馬が抜け出せる
■以上から、1角までをスローペース、特に内枠主導の隊列で入ると①先行馬が前半から2角出口まで楽をできる、②2角出口の下り坂から馬群が加速し、前半に楽をした先行馬に余力があるため、差し馬が向正面から4角入り口で前との差を詰めにくい、③さらに内の先行馬らに脚が残っていることで内には進路ができにくく、差し馬は勝負所で外をまわされる距離ロスを被る、という3点から基本は内先行、次点で内差しを評価し、外を回す差し馬を割引する
(過去の該当年)
2023年:2番手以下はスローペースの展開で、道中終始最内を追走した1, 2番手の馬が3着、2着
■反対に、ハイペース、特に外枠主導や道悪では①ハイペースや道悪でも関係なく下り坂が始まる2角出口から馬群が加速するロングスパートになる、②先行馬への負荷が高い展開により、勝負所の3角付近から先行馬が減速することで差し馬が前との差を詰めやすい、③基本的に内目を回れる先行馬への負荷が高い展開であることで外をまわす差し馬の不利が薄れる、という3点から基本は外差し、特に上がりを要する展開で既に好走している馬を評価し、上がりかかる条件で好走していない先行馬を割引
(過去の該当年)
2019年:マイルでも逃げられるアエロリットが入りの2.5F/5Fを29.4 – 58.5で飛ばすハイペースで、上がり最速馬が1着、上がり3位以内で3着までを独占、7着まで全馬が2角地点で10番手以下
2020年:過去5年で比較してダントツで異常に時計がかかり先行負荷が高い馬場で、上がり1, 2位の馬が2着、1着
2021年:パンサラッサが飛ばして入りの2.5F/5Fを29.8 – 59.5のハイペースで、上がり最速馬が1着、上がり4位以内で4着までを独占
2022年:7, 8枠の全4頭が1角を5番手以内でまわる外枠主導の先行隊列で、上がり最速馬が2着、上がり3位以内で3着までを独占
→ 該当4年ではいずれも上がり最速馬が連対している
■過去5年7, 8枠の馬は (0 – 1 – 2 – 17)であり、圏内馬は以下、ここから買うには展開の助けや大きく不利とならない後方の馬など理由が欲しい
2020年:2着:7枠14番:サラキア:道中12番手以下
2020年:3着:7枠13番:フィエールマン:1周目4角までは控えてホームストレッチで番手上げる
2023年:2着:8枠16番:スターズオンアース:1周目3角で最内の2番手を取り切り、道中は2番手以下がスローな展開の2番手最内を追走
■ハイペースでタフな展開では距離短縮で望んで持続力を補完できる効果が大きく、数少ない距離短縮で挑める菊花賞組、かつ差し馬は特注ローテである
(過去の該当馬)
2019年:3着:4枠7番:ワールドプレミア:前走菊花賞を上がり2位で1着
2021年:4着(3着と0.1秒差):5枠9番:ステラヴェローチェ:前走菊花賞を上がり最速で4着
2022年:2着:2枠3番:ボルドグフーシュ:前走菊花賞を上がり最速で2着
■過去5年のうち差し有利な展開になった2019-2022年の4年では、馬券圏内馬12頭が全て父 or 母父に欧州型血統を有しており、反対にスローになった2023年では唯一欧州型血統を持たないドウデュースが優勝した、差し有利の展開では欧州型血統を有しているかに注目
■展開が読めれば上記のように方針はある程度決定できるものの、2500mの展開を読み切るのは簡単ではなく、難しいと判断した際には、ある仮説の展開の中で恵まれそうな馬の単複など、シンプルな馬券の組み方も検討が必要である
過去レース分析
【入り2.5F/5F、上がり3Fの平均】
過去5年:30.0 – 60.4 – 36.5
2019年
29.4 – 58.5 – 37.6 :2:30.5 (良):16頭
【所見】
■過去5年で入りの2.5F/5Fが最も速いハイペースで(2番目は2021年の29.8 – 59.5)、故に上がりは最も遅く(2番目に遅いのは2021年の36.7)、勝ち時計は最速だった(2番目は2021年の2:32.0)
■レースは外枠だったアエロリットが1周目の3, 4角で外から押し上げるように逃げて後続を離すハイペースの展開から、ラストの勝負所では下り坂の影響もあって残り5Fから0.4加速して11.7 – 12.3 – 13.4 – 12.2 – 12.0と、残り1000 – 800mが最速区間となるタフな展開(ラストの加速は突き抜けた勝ち馬のもの)
■マイルでも逃げられる高速の逃げ馬が外枠から逃げてハイペースを演出した影響でレース上がりが37.6かかる先行馬には苦しい展開となり、2角時点で10番手以下だった馬が1-7着を占める差し有利となった、2, 3着には勝負所で大きく外をまわった馬も届いており、ハイペースで上がりを要する展開では明確に差しに向く
■菊花賞からのローテーションはここに向けて間隔も取れて有利とされているが、ハイペースのタフな展開では、唯一と言っていい距離短縮で臨めるローテーションであることもプラスな印象で、ハイペースが見込める際にはより評価する必要があるか
■また、本年は2.3.4人気と比較的硬い決着となっており、ハイペースでは実力が問われ人気決着になる可能性も考慮したい
■馬券圏内馬はいずれも父 or 母父に欧州型の血を持っていた
【好走馬】
■2人気1着:3枠6番:牝5歳:リスグラシュー:ハーツクライ×欧州型:前走コックスプレート1人気1着
・引退レースにして中山は初で、宝塚記念、コックスプレートとGⅠを2連勝中だった
・内目の枠からスタートすると無理に出していかずに中団のインを追走した、道中は後方勢が差を詰めてきたが全く焦らず中団後方となっても最内をまわっていた、勝負所では残り3Fから鞍上が外を意識しだすと4角から直線でインアウトで一気に外に持ち出すと上がり最速で突き抜けて5馬身、0.8秒差の圧勝
・ハイペースで差しに展開が向いた中で、加えて道中から勝負所を終始最内をまわる完全に距離ロスを省いた競馬をして突き抜けた形
・宝塚記念でのパフォーマンスから馬が変わっていた点や、内枠×トップジョッキーである点を高く評価したかった
■3人気2着:5枠10番:牡3歳:サートゥルナーリア:ロードカナロア×SS系:前走天皇賞秋2人気6着
・中山ではホープフルS、皐月賞と若駒時だがGⅠで2戦2勝だった
・中枠からスタートすると控えてアーモンドアイをマークするように中団後方を追走した、1周目のスタンド前でアーモンドアイが上がっていくと間にフィエールマンを挟むような形で後方の外にポジションを下げて追走した、ペースが速かったこともあってか勝負所も落ち着いて外を周ってきて残り500m付近から追い出されると直線では外から抜け出したが、さらに外から勝ち馬に差されての2着
・ここまで地下馬道でテンションが上がってしまう東京競馬場を除いて負けておらず、ハイペースになって実力が試されやすい展開になることが読めていれば、斤量有利な3歳馬であることも考慮して評価できた
■4人気3着:4枠7番:牡3歳:ワールドプレミア:ディープ×ドイツ系欧州型:前走菊花賞3人気1着
・これが初の関東遠征であり、中山は初だった
・中枠から出負け気味のスタートを切ると馬なりで後方のインを追走した、その後もスムーズに進めたが残り500mではまだ最後方だった、勝負所では残り400m手前から一気に大外に持ち出すと直線は上がり2位を使って3着
・距離短縮で臨めて間隔も取れることで優位な菊花賞好走組であったことや、差し馬に大きく向きそうな展開などを読んで評価できると良かった、また、菊花賞でレース上がりが36秒以上かかる展開を差して好走していることからも評価できた
【凡走人気馬】
■1人気9着:5枠9番:牝4歳:アーモンドアイ:ロードカナロア×SS:前走天皇賞秋1人気1着
・中山は初で、本レースが後にも先にも唯一の馬券圏外だった
・中枠からスタートすると枠なりで内に寄せる様子もなかった、スタンド前では前に馬を置けず、若干引っ掛かり気味でポジションを上げ中団の外を追走した、勝負所で鞍上は展開を見て追い出しを我慢しているように見えたが、残り700m付近から外から被せるようにフィエールマンが上げてきたことで対抗するようにスパートを開始して1列目の内から4頭目から直線へ、直線では伸ばせずの9着敗戦
・初の中山競馬場で戦績からも明確に東京向きでの1.5倍の1人気であれば、「負けるとすればここ」というタイミングであった、勝負師池添の乗るフィエールマンが相手をアーモンドアイと決めつけて乗ってきたことで勝負所では早めに動かされ、本馬にとっては敗因の一つとなった
2020年
30.8 – 62.2 – 36.6:2:35.0 (良):16頭
【所見】
■過去5年で見ても類を見ない異常に時計のかかる馬場だった影響で、前半の2.5F/5Fの通過が過去5年で最も遅かったにも関わらず上がりは3位で、勝ち時計はダントツで最も遅かった
■レースはバビットの逃げでスローで入って、スタートから500 – 1500mの5Fで連続して12.5以上の緩い展開で進めると、ラストは残り5Fから1.0加速して11.8 – 12.3 – 12.1 – 11.9 – 12.6と2019年同様残り1000 – 800mが最速区間となるタフな展開
■時計も上がりもかかったことで先行勢には厳しい展開となり、勝負所で外をまわした上がり2位以内の馬が1, 2着した
■時計がかかった影響か馬券圏内馬は全馬父または母父が欧州型で、米国型を持つ人気馬が凡走した
■差しに展開が向いた中でルメールがフィエールマンで先行していたり、武豊がワールドプレミアでポジションを取りにいくなど、差しに回る競馬の経験もある有力馬がバイアスに逆行した競馬をしていたところもあり非常に難しいレースだった、バイアス判定や馬の特性だけでなくジョッキーの思惑にも考えを及ばせたい
【好走馬】
■1人気1着:5枠9番:牝4歳:クロノジェネシス:バゴ×クロフネ:前走天皇賞秋2人気3着
・中山は初で2200mより長い距離もオークス以来だった、3歳春のオークス以降に重賞勝利した3戦(秋華賞、京都記念、宝塚記念)はいずれもレース上がりが36秒以上かかっており、上がりのかかる展開に適性があった
・中枠からスタートすると中団後方の外目を追走した、そのままスムーズに2角まで進めたが向正面に入ると外に持ち出してポジション押し上げ、3角では中団前目の外に位置、その後も4角まで馬なりでポジションを上げると(上げるというよりは他馬がしんどくなっていた感じ)、1列目の内から4頭目付近で直線へ、上がり2位を使うと先に抜け出したフィエールマンを捉えて優勝
・時計がかかり他馬が早々バテるような馬場と展開の中、実力だけでなく時計のかかる馬場への適性も味方しての優勝、初の中山だったが時計のかかる馬場への適性を評価して持っておきたかった
■11人気2着:7枠14番:牝5歳:サラキア:ディープ×ドイツ系欧州型:前走エリ女5人気2着
・中山は初で本レースが引退レース、成績が低迷していたところから近3走は上がり最速を使っての好走が続いていた
・外枠からスタートすると後方だったが多少抑える感じで後方の外目で勝ち馬を見る位置を追走した、向正面に入ると前のクロノジェネシスと後ろにいたキセキが外から番手を上げていったがこちらは我関せずで徹底的に控える競馬、その後残り3Fから外に向かって追い出しを開始すると一番の手応えで大外から直線へ、ラストは2位よりも0.8速い上がり最速を使って追い込んだが勝ち馬には届かずの2着
・タフな馬場から差し有利判定をして、近走はレース上がりが36秒以上かかった府中牝馬、阪神2200mで行われたエリ女などで好走していた点などを評価したかった
■2人気3着:7枠13番:牡5歳:フィエールマン:ディープ×欧州型:前走天皇賞秋5人気2着
・中山内回りでは昨年の有馬記念で4着があった、本レースが引退レース
・外枠から出負け気味のスタートを切ると内に入れる素振りは見せず中団の外を追走した、スタンド前で前の馬がいなくなると距離延長だった影響もあってか若干いきたがる様子でポジションを上げて1角では4番手の外になった、残り5Fからの加速にも難なくついていくと3角からは2番手で逃げ馬に並びかけていた、勝負所では残り3Fから徐々に促されると先頭で直線へ進入し脚を伸ばしたが、上位の上がりを使った2頭に差されての3着
・スタンド前から先行馬に並ぶ位置で追走して展開的には向いていないことを考えればかなり強い競馬をしていた、欧州型の血統をもっていることや純粋に実力を評価した上で、時計かかる差し有利の展開では外枠が不利にならない可能性が高いことを考慮してもっておきたかった
【凡走人気馬】
■3人気5着:5枠10番:牝4歳:カレンブーケドール:ディープ×米国型:前走JC5人気4着
・中山内回りでは紫苑S3着があった
・中枠からスタートすると少し出していったがペースはスローで内が密集していたこともありポジションは中団前目の外になった、向正面ではフィエールマンのすぐ後ろに収まった、勝負所では残り3Fから外から来た勝ち馬と並ぶようにして加速して直線へ入ったが直線入り口ではもう苦しい手応えで、最後まで止まらずに踏ん張ったが5着まで
・立ち回りを生かして最後の直線も止まらないような競馬ができることが強みで、とことん脚を溜めた差し馬に向くような上がりのかかる展開が向かなかった印象で、差し有利と判定して本命にはしたくなかった
2021年
29.8 – 59.5 – 36.7 :2:32.0 (良):16頭
【所見】
■パンサラッサの逃げで過去5年で2番目に入りの2.5/5Fが速かった、上がりは2番目に遅く、勝ち時計は3位
■レースは序盤に11秒台が続くラップで飛ばしたあと900-1300m(1角から2角)の2Fで12.5 – 12.6と息を入れ、ラストは残り6Fから0.4加速して12.2 – 12.4 – 12.4 – 12.2 – 12.0 – 12.5と例年と比較して勝負所での加減速が少ない展開で、過去5年で唯一ラスト5Fに11秒台が入らなかった
■ハイペースや時計のかかる馬場で差し有利だった2019年, 2020年と同様に上がり最速馬が連対した
■内枠のディープボンドが内差しのような形で2着しており、ハイペースになって差し有利になっても内枠不利ではない
■馬券圏内馬は全馬父または母父が欧州型
【好走馬】
■1人気1着:5枠10番:牡3歳:エフフォーリア:エピファネイア×ハーツクライ:前走天皇賞秋3人気1着
・中山では皐月賞勝ちがあり、それまで6戦5勝2着1回と連対を外していなかった
・中枠からスタートすると中団の外目でクロノジェネシスを見る位置を追走し、向正面では一つ外に出して前のクロノジェネシスを外から締めるような形となった、勝負所では残り3F付近から外から2頭被せに来たがしっかり加速して抵抗すると、前から2列目内から5頭目付近で直線へ、上がり最速35.9で差し切って優勝
・ダービーでの敗戦や天皇賞も上がり3位で勝利するなどキレよりは父Robert系が出たような重厚な末脚の持ち主で上がりがかかったのはプラスだった印象、戦績からも最低でも相手には持っておけた馬で、終始外目をまわった本馬にとっては序盤飛ばす流れで差しに展開が向いたのも大きかった
■5人気2着:3枠5番:牡4歳:ディープボンド:キズナ×欧州型:前走凱旋門賞6人気14着
・中山では皐月賞10着、中山金杯14着など良績はなかった
・内目の枠からスタートすると馬なりで中団前目の馬群を追走した、その後もスムーズに進めて勝負所でも馬群を追走すると残り500mで最内に進路ができ最内から直線へ、直線ではやや外目に出されると抜け出しにかかって前のタイトルホルダーを交わしたが外から勝ち馬に差されての2着
・前走が道悪の凱旋門賞だったが当時の鞍上が無理をせず状態は良好だった、先行する脚質で内目の枠を引けたのも大きかった印象で、外枠からポジションをとったタイトルホルダーの影響で多少外枠主導気味の隊列で自然と中団程度の位置取りになり、ハイペースに飲まれなかったのも良かった
・外枠主導気味のハイペースを読んでいたとして内枠先行馬の本馬には手を出しづらかったが、ハイペースになった時の上がりかかる展開への適性を評価して持っておきたかった
■2人気3着:4枠7番:牝5歳:クロノジェネシス:バゴ×クロフネ:前走凱旋門賞3人気7着
・前年優勝のリピーターで、他にも上がりのかかる展開で数多く実績があった
・中枠内目からスタートすると中団の馬群を追走した、向正面でもスムーズだったが外からエフフォーリアに絞められるような位置取りとなった、結局直線入り口まで締め切られてしまい先に外から抜け出しにかかったエフフォーリアを追いかけるように直線へ、さらに外から伸びた4着馬と叩き合いになるとここには競り勝っての3着
・道悪の凱旋門賞を走りきったことで状態が万全でないのは戦前から囁かれていたが、上がりがかかる適性のある展開になり3着には食い込んだ形
【凡走人気馬】
■3人気4着:5枠9番:牡3歳:ステラヴェローチェ:バゴ×ディープ:前走菊花賞2人気4着
・中山では皐月賞3着があった、また、道悪での成績や欧州系の父から上がりのかかる展開には適性がありそうであった
・中枠から出負け気味のスタートを切ると控えて中団後方の馬群で勝ち馬を見る位置を追走した、勝負所追い出しを待っていたが、残り3Fからさらに後方外からアカイイトが一気に締めにきたことで対抗するように加速を開始した、直線は勝ち馬の外から進入すると上がり最速で伸びたが4着まで
・タフな展開が向きそうな点や菊花賞から距離短縮で臨むなど評価できる部分は多かったが、勝負所で外をまわして内目の馬を飲み込めるほどの力がなかったか
2022年
30.0 – 61.2 – 35.9 :2:32.4 (良):16頭
【所見】
■入りの2.5F/5Fは過去5年で3位、5Fは4位で、中盤が大きく緩んだ影響もあって上がりは過去5年で同率で最速だった、勝ち時計は4位
■レースは序盤を7.0 – 11.3 – 11.7と比較的速めのペースで入ると、道中の700-1500m区間を12.5 – 13.1 – 12.7 – 12.4と緩める展開で、ラストは残り5Fから0.6加速すると11.8 – 11.9 – 12.2 – 11.4 – 12.3と残り2Fから先行と差しが入れ替わって急加速するラップ、7, 8枠に入った全4頭が1角を5番手以内で通過する外枠主導の先行隊列で序盤を速めのペースで入り、風の影響もあったことで前が総崩れの差し決着となった
■当時◎タイトルホルダーだった私の個人的な反省点は、外枠主導かつ入りが速めの展開になりうる構成で外枠の先行馬に本命を打ったこと
■馬券圏内馬は全馬父または母父が欧州型
【好走馬】
■1人気1着:5枠9番:牡3歳:イクイノックス:キタサンブラック×欧州型:前走天皇賞秋1人気1着
・中山では皐月賞2着があり、そもそも8枠18番に入った皐月賞/ダービーの2着以外は無敗だった
・中枠からスタートすると多少行きたがるのを抑え、外からの先行馬をいかせてからスムーズに中団の外を確保した、勝負所では残り5Fからの加速には惰性で付き合って残り4Fから外から徐々にポジションを上げていくと1列目の内から4頭目付近になって直線へ、上がり2位で伸びると2馬身半差の圧勝
・実力はさることながら、本レースでは外枠主導の先行隊列で非常にスムーズに中団外を確保できたことが大きかった印象で、前崩れになったことで内をまわれなかったこともマイナスではなかった、外枠主導の隊列→外目の差し有利判定をできていれば本命を打てた
■6人気2着:2枠3番:牡3歳:ボルドグフーシュ:Robert系×SS系:前走菊花賞7人気2着
・初の関東遠征で小回りコースの経験もなかった、菊花賞まで6戦連続で上がり最速を使っており、ここでも上がり最速
・内枠から遅めのスタートを切るとすぐさま最内に寄せて後方のインを追走した、向正面に入ると外にいたジェラルディーナと並んでポジションを外目にスイッチした、勝負所では残り4F過ぎから促されると 大きく外をまわしながら一気に捲っていって前から2列目で前にイクイノックスを見る位置から直線へ、イクイノックスの方が末脚は上だったがコーナーでまくった分もあっての上がり最速で2着
・菊花賞では3角10番手、4角4番手で2着していたようにマクリ差しが得意なタイプで勝負所で減速するような前崩れの展開は適性ドンピシャで、内枠だったことで終始距離をロスしなかったのも大きかった
・外枠主導で先行勢には辛い展開を読めていれば、内枠から後方に下げて勝負所でまくれる本馬を評価できた
■3人気3着:3枠5番:牝4歳:ジェラルディーナ:モーリス×ディープインパクト:前走エリザベス女王杯(重)4人気1着
・中山では外回りでオールカマー勝ちがあったが内回りは初出走だった、近走は重賞で6戦連続上がり2位以内だった
・内目の枠から煽って出遅れて後方の外目を追走した、その後もスムーズに馬群の後方外を追走すると勝負所では残り700m付近から促されて進出を開始した、コーナーでは外をまわしきらずに後方の内目になって直線へ、ラストは上がり3位で伸びると内で垂れる馬たちを尻目にごっつあん気味の3着
・完全に差し有利に乗じての馬券圏内で、差し有利の展開が読めていれば、前走で上がりのかかる展開のG1で上がり最速で優勝している点などで評価できた
【凡走人気馬】
■2人気9着:7枠13番:牡4歳:タイトルホルダー:ドゥラメンテ×欧州型:前走凱旋門賞1人気11着
・前走こそ道悪の凱旋門賞で凡走していたが、それまでは日経賞/天皇賞春/宝塚記念と国内で3連勝しており、前年には有馬記念で8枠16番から5着があった
・外枠からスタートすると押して押して出して行ってハナへ、初速が早くスムーズにハナに立ったが外枠主導の先行隊列となったことで終始プレッシャーをかけられるような形の逃げになった、勝負所では下り坂の残り5Fからラップを加速させると勝負所先頭のまま進めたが、4角までに減速が開始していたことで外の差し馬に捲られる展開、直線では伸ばせず9着敗戦
・外枠から押して出して行って逃げたことに加え、外枠主導の先行隊列だったことで1角に入るまで落ち落ちペースを緩められなかったのも痛かった
・国内では3連勝しており実力は確かだったが、外枠主導かつ速めのペースになりそうなことが読めていれば外枠の先行馬という要素だけで本命は避けたかった
2023年
30.2 – 60.4 – 35.9 :2:30.9 (良):16頭
【所見】
■入りの2.5F/5Fはともに過去5年で3番目で、上がりは同率で最速、勝ち時計は2位だった
■レースは内枠から押して逃げたタイトルホルダーが後続をやや離す展開で、入りの5F地点では2番手とは0.6秒ほどの差があり2番手以下は5Fを61.0程度で通過した、1, 2角地点の900-1300mでは12.2 – 12.5と緩めたが、後続はさらに離れる形となっており、2番手以下はさらに緩んでいた、ラストは残り6Fから0.6加速すると11.9 – 12.2 – 12.0 – 12.0 – 11.7 – 12.2と残り2Fからも余力あって加速する展開
■2番手以下はスローペースだった影響か、過去5年で比較しても各馬の上がりがダントツで速くなっており、一種の上がりの競馬のような形で差しも届く展開で、上がり1, 2位の馬が1, 4着した
■一方で、スローだった影響で好位の馬たちも余力がある展開で、道中で終始最内をまわった先行、好位の馬が2, 3, 5着した
■これまでフルゲートの有馬記念の大外16番は馬券圏内に来た馬がいなかったが、本年はスターズオンアースが2着した、先行して最内追走、スローペース、実力馬の条件が揃って好走した形で、あくまで特殊な例として受け取る
■上記のミドルの逃げ馬が離して2番手以下はスローの展開を完璧に読み切るのは難しく、馬券的には単複など極端な買い目が必要だった
■スローペースで上がりの速い競馬になった影響か、過去5年でドウデュースが初めて父と母父がともに欧州型ではない馬が馬券圏内に好走したものの、凡走人気馬となった2頭はともに欧州型を持たない馬だった
【好走馬】
■2人気1着:3枠5番:牡4歳:ドウデュース:ハーツクライ×米国型:前走ジャパンC3人気4着
・中山では3歳春に弥生賞2着、皐月賞2着があった
・内枠から出負け気味のスタートを切ると控えて後方の馬群を追走した、1周目の4角では外に誘導されホームストレッチでは後方の外となった、向正面では馬群が凝縮していくのに付き合うと、勝負所では残り4Fからもう一つ外へ誘導されて促されると5頭分ほど外をまわしながらポジションを押し上げて逃げ馬から3馬身半ほどの内から3頭目の3番手から直線へ、直線では右手前のまま伸びると内先行から抜け出しにかかった2着馬を交わして優勝、上がりは最速の34.3
・向正面で馬群が詰まって差しやすくなったことと、この馬が右手前偏重なタイプで右回りではコーナリングが上手いという2点が展開とマッチした印象で、中山2500mでありながら上がりで差し切ったような競馬、上がり34.3は過去5年の有馬記念で見ても最速(2位は本年4着のジャスティンパレス34.4で、3位は本年10着のホウオウエミーズと2019年1着のリスグラシュー34.7)
・逃げ馬が内枠に入って内枠主導のスローになる可能性が高いと見ていれば控えるタイプの本馬は買いづらかったが、実力を評価して相手には持っておきたかった
■7人気2着:8枠16番:牝4歳:スターズオンアース:ドゥラメンテ×米国型:前走ジャパンC5人気3着
・中山では3歳時にフェアリーS2着があるのみで、キャリア2度目の出走だった
・大外枠からスタートすると大して促されずに出て行き、1周目の残り3Fのハロン棒地点ではもうラチから2頭目を走って2番手を追走していた、1角以降はやや逃げ馬から離れる形で、道中は終始最内の2番手を追走した、勝負所では3角で他馬に関係なく内ラチにぶつかっていた、ラストは残り700m付近から促されると終始最内をまわったまま逃げ馬から3馬身半差ほどの2番手から直線へ、直線では前の逃げ馬を捉えたが、外から上がり最速で伸びた勝ち馬に交わされての2着
・過去のデータから大外枠はかなり買いづらかったが、鞍上と人気から妙味ありと見て評価できると良かった
■6人気3着:2枠4番:牡5歳:タイトルホルダー:ドゥラメンテ×欧州型:前走ジャパンC4人気3着
・有馬記念出走は3度目でこれが引退レース、過去の2回は2021年5着, 2022年9着と凡走していたが、それぞれ8枠16番、7枠13番と外枠であり、内枠での出走は初だった
・内枠からスタートすると押して出して行ってハナへ、道中はミドルペースで進めるとコーナーでは12.2 – 12.5を入れて息も入って2角では2番手を6馬身ほど離した逃げとなっていた、勝負所では残り6Fから11秒台を入れて2番手とは3馬身半ほどの差の先頭で直線へ、直線でもまだ余力はありラスト3Fは12.0 – 11.7 – 12.2と残り2Fから加速したが、ラストは2頭に交わされての3着
・内枠からスムーズに逃げられた形で、過去2年とは異なり内枠だったことを評価したかったが、もう1頭の逃げ候補だったアイアンバローズが出せなかったことで展開が向いた印象で、スローになると予想するのが難しかった
【凡走人気馬】
■1人気4着:5枠10番:牡4歳:ジャスティンパレス:ディープ×米国型:前走天皇賞秋6人気2着
・中山では2歳時にホープフルS2着があったものの、その後は皐月賞、前年の有馬記念と凡走していた
・中枠やや外目から若干あおるように出遅れると控えて最後方の外を追走した、道中は特に動きなく最後方を追走すると向正面では残り5F手前から促された、しかし勝負所では外をまわった影響か大きくポジションは上げられず3角ですぐ前にいたドウデュースには離される形で中団後方の大外から直線へ、ラストは上がり2位で伸びて前へ迫ったが逃げ馬を交わせずの4着
・展開を考えると勝負所で大きく外をまわったのが痛かった印象で、スローになることが読めていれば、近走では位置取りが後方になっている点などから本命は避けられたか、ただ3着とタイム差なしであり凡走とも言い切れない結果
・レース後鞍上は「コーナリングでギアがスムーズに上がっていかず、ついていけなかった分でしょうか」とコメントしていた
■3人気12着:8枠15番:牝5歳:スルーセブンシーズ:ステイゴールド系×米国型:前走凱旋門賞4人気4着
・中山では紫苑S2着、2000mで3勝クラス勝ち、中山牝馬S1着などがあった
・外枠からスタートするとややひっかかり気味に中団の外で前に馬がいない状態で追走した、向正面では序盤と比較すると落ち着いて追走し、馬群が凝縮する流れの中で3角では中団前目の外を追走した、勝負所では残り3Fから促されたが、外から勝ち馬にまくり切られて中団のやや外目になって直線へ、直線では伸ばせず12着敗戦
・レース後鞍上は「今日は気負っていた分と壁をつくることができなかったところが響きました。距離も2500mは少し長いかもしれません」とコメントしており、外枠で前に馬が置けずに道中落ち着いて追走できなかったのが敗因か
・ここは素直に外枠と、スローが読めていれば脚質で割引けた
Gregory