天皇賞秋の各馬分析6頭目はダノンベルーガ。
結論に買い・消しなどの大方の見解とその根拠などを記載しているため、簡単には結論を見ていただければ十分かと思います。
天皇賞秋の過去レース分析とそれから得られた分析結論(レース傾向など)についてはこちらから。
基本情報(馬名:馬齢:血統(父×母父):前走:鞍上)
ダノンベルーガ:牡5歳:ハーツクライ×米国型:前走ドバイターフ(ドバイメイダン1800m)4人気3着:C.デムーロ
結論
■道中の追走を鑑みると1600mは短く、反対にダービーやジャパンC2022では終いの伸びが甘くなっているように2400mは長いことから適距離は1800-2000mと範囲が狭く、このレンジのスローペースを自身のペースで控えてラストの脚にかける競馬が最も力を出せる
■過去に陣営も言及しているように若駒時のアクシデントで右トモがウィークポイントであり、常にケアが行われている、この性質から右手前の方が走りやすいタイプで、直線が右手前となる左回りの方が向いている
■過去、新馬戦を除いて馬券圏内に好走した共同通信杯、天皇賞秋2022、ドバイターフ2023、ドバイターフ2024ではいずれも約3ヶ月以上の間隔が空けられていた休み明けであり、上記の右トモの性質を考えても一度使ってダメージがあった後よりは休み明けで狙いたいタイプ
■ここは得意の休み明けであり、東京の2000mと舞台もバッチリ、残りどうしても欲しい条件は良馬場とスローペースで、この辺りが揃えば明確に狙えるタイミングである、また、スローペースの展開で終いにかけたい点を考えると勝負所でスムーズに加速できる比較的外目の枠が欲しく、理想は5枠〜外過ぎない7枠くらい、どちらにしろ枠以外の条件が揃えば高評価は必須、相手が強いので本命まではどうかも重めの印まで
全レース分析
2歳
【1】東京2000m新馬:1着:石橋
・追い切りは南W主体で終い重点の内容が目立っており、併せ馬は盛んに行われていた、陣営は「若馬当時のアクシデントで右トモの引き上げが悪いが」とコメント
・レースは37.1 – 62.4 – 33.9の後傾3.2で、道中をスローペースで進めるとラストは残り3Fから1.0加速して11.2 – 11.2 – 11.5と伸びる高速上がり戦で、上位の上がりを使った3頭で圏内を独占した
・8頭立ての6番枠からスタートすると中団の外目を追走した、道中はスムーズで勝負所では残り4F手前から促されるとポジションは変えずに中団の外目から直線へ、直線ではゴールまでしっかりと伸びると2位よりも0.8早い上がり最速33.1で優勝
3歳
【2】共同通信杯(稍重):1着:3ヶ月:松山
・追い切りはWオンリーでいずれも併せ馬で終い重点だった、陣営は「先週の追い切り後は右トモのケアに努めて少しずつ回復」とコメントしていた
・レースは雨の降る稍重の中36.1 – 61.1 – 34.3の後傾1.8で、道中をスローペースで進めるとラストは残り3Fから1.2加速して11.3 – 11.2 – 11.8と伸びる展開で4角5番手以内の馬で1-4着を独占した
・外枠からスタートするとやや行きたがるのを抑えて馬の後ろに入れられながら中団の外を追走した、勝負所では残り4F手前から促されて中団の大外から直線へ、直線ではラストまで力強く伸びて上がり最速33.7を使うと1馬身半抜けて優勝
・キャリア2戦目、稍重、休み明けでも上がり最速の脚で結果を出した
【3】皐月賞:4着:2ヶ月:川田
・陣営は「右トモの引き上げが悪いのは馬の特性」とコメントしていた、追い切りは前走に続いてWオンリーで、2週前には6F/5Fともに自己ベストの83.9 – 67.4 – 11.6が出され、1週前にはそれをさらに更新する83.4 – 66.8 – 11.1がいずれも馬なりで出されていた、当週は終い重点
・レースは雨の影響あった馬場が乾いてやや外伸び傾向の良馬場の中35.2 – 60.2 – 34.9の後傾0.3で、ラスト3Fは12.0 – 11.4 – 11.5と残り2Fからの加速が大きな展開で、1-5着のうち4頭が3角で6番手以内のやや先行有利だった
・最内枠からスタートすると最内をあけて外へ誘導されたが、1角までに外から勝ち馬が蓋をする隊列となり中団前目のインを追走した、道中はしっかり折り合って追走できていた、勝負所では残り4F過ぎから内のまま促されると最内からポジションを上げていって前から2列目の最内になって直線へ、直線では右ムチを入れられて外の馬と併せに行きつつ馬場の悪い内目を避けた、ラストは伸びているようだったが外から伸びた馬で決着した1着争いには加われなかった
・スタート後の気勢を見るに出が悪いタイプではないが、これまでの2戦から溜めた方が伸びそうなタイプだけに馬場の悪い内目を比較的前受けしたここでは力を発揮できなかった
・直線では残り200m過ぎまで右手前のまま走っており、直線を右手前で走れる左回りの方が向くか
【4】日本ダービー:4着:1ヶ月半:川田
・陣営は「徹底した基礎体力の強化でベースが上がり、皐月賞当時より研ぎ澄まされている」とコメントしていた、追い切りは引き続きWオンリーで、1週前には自己ベストを大幅に更新する6F77.9 – 62.4 – 11.0が単走で出され、最終も5F66.5とこれまでのベストよりは速い時計が出されており、馬体重も-10kgとメイチの仕上げが施されていた
・レースは35.1 – 58.9 – 35.2の前傾0.1で、道中800-1200mで11.8 – 11.7が入るなど落ち着かないラップから、ラスト5Fは12.0 – 11.8 – 11.5 – 11.7 – 12.0と比較的長く脚を求められてラストはゴールへ失速する展開で上位の上がりを使った2頭でのワンツー決着、1-8着のうち6頭が4角11番手以下の差し有利だった
・中枠外目からスタートすると控えて中団後方の馬群を追走した、道中はしっかり折り合えているようだった、勝負所では残り5F付近から徐々に促されると残り700m付近から追い出しを開始して中団後方の馬群外目から直線へ、直線では進路を求めて少し外へ出されるとその後は邪魔なく追われ本馬なりに脚を伸ばしたが外からより速い脚で伸びた1, 2着馬には迫れず、好位から抜け出した3着馬も交わせずの4着
・レース後鞍上は「リズム良く競馬ができました。直線もスペースができて、あとは伸び勝つだけだったのですが……」とコメントしていた
【5】天皇賞秋:3着:5ヶ月:川田
・陣営は「1週前追い切り後にピリッとして、23日には新馬以来となる坂路追いができた」とコメントしていた、追い切りはW主体で1週前には79.5 – 63.8 – 11.2と自己ベストに迫る時計が出され併せ先着していた
・レースはパンサラッサが飛ばす展開で34.7 – 57.4 – 36.7の前傾2.0だったが、2番手以下は離れており35.0 – 59.4 – 33.6程度の上がり勝負ラップだった
・内目の枠から若干出負け気味のスタートを切ると単独で中団を追走し勝ち馬を見る位置を追走した、道中はマイペースで追走し3角では中団後方の馬群の位置取りとなっていた、勝負所では残り4Fから外からユーバーレーベンがポジションを上げてきたことで促し始めて加速を開始した、その後中団後方の馬群から直線へ進入すると直線では進路を内に求めていき上がり2位32.8で伸びたが外から伸びた勝ち馬に交わされた、ラストは逃げ馬を捉える脚色だったがわずかに届かずの3着
・2000mのチャンピオンレースである天皇賞秋で上がり32.8を使って3歳で好走した所から、この手のスローペースからの上がり勝負への適性が高く、反対に2400mで求められるようなある程度長く脚を使って伸び切る展開が合わない
・レース後鞍上は「これまで乗せていただいた中で一番具合もよく(中略)」とコメントしており、休み明けから動けるタイプである
【6】ジャパンC:5着:1ヶ月:川田
・追い切りはW主体の週末坂路での調整で、前走と比較すると全体時計は出されておらず終い重点だった、陣営は「ウイークポイントの右トモをケアしつつ状態を見極めて出走を決めた」とコメントしており、依然右トモの心配はある
・レースは36.3 – 61.1 – 34.2の後傾2.1で前半をスローペースで入ると、ラストは残り5Fから0.3加速して12.1 – 11.7 – 11.4 – 11.3 – 11.5とやや長めに脚を求められてラストまで伸びる展開で、同率を含めて上がり2位以内を使った4頭で1-4着を独占した
・外枠からスタートすると出て行って中団の外を追走した、向正面ではある程度ラップが緩んでいたがしっかりと折り合えていた、道中には外からユーバーレーベンがポジションを押し上げてきたことで3,4角では外に馬を置く形となった、勝負所では残り4Fから外目の狭いところを突くように進出を開始して中団の外から直線へ、直線では内へヨレながら伸びて抜け出して残り300m地点では先頭だったが残り200mからは伸び負け、ラスト50mでは挟まれる不利もあっての5着まで
・ダービー、ジャパンCとある程度長めに脚を求められる2400mだとラスト甘くなるところがあり、2000mくらいを控えてラストの伸びにかける競馬が最も合いそう
4歳
【7】ドバイターフ(ドバイメイダン1800m):2着:4ヶ月:モレイラ
・内目の枠からスタートすると中団後方の馬群を追走した、道中は3角までにポジションを下げて後方の馬群 となっており鞍上が追っつけて追走していた、勝負所でも馬群の中で動けない位置で後方の馬群から外目へ出されるようにして直線へ、直線では序盤進路がなかったが、ラストは残り300m手前から開いて追われると素晴らしい脚で伸びて前に迫ったが、先に抜け出した勝ち馬には届かずの2着、ゴール前での脚色は勝ち馬も交わせる勢いだった
・レース後鞍上は「直線で外に出すまで一瞬時間がかかったものの、外に出してからは良く伸びてくれました」とコメントしていた
・直線では素晴らしい脚を使えており、やはり1800mから2000mのスローを控えて直線での伸び脚にかける競馬に最も適性がある
【8】札幌記念(稍重):4着:5ヶ月:モレイラ
・陣営は「天皇賞の前にひと叩きできるかどうかを見極めて出走へ、当初は息遣いが悪く硬さも見られたが、直前の追い切りでグンと良化した」とコメントしていた、追い切りは函館の芝、W、ダートの併用で、1週前の芝追いこそ終いは伸ばされていたが、それ以外は全体的に軽めい時計での調整だった
・レースは雨の影響が残ったタフな稍重の中35.5 – 60.4 – 36.4の前傾0.9で、道中は馬場を考えると平均からややハイペースで進めると、ラストは残り3Fから0.5加速して12.0 – 12.0 – 12.4と上がりかかりながらも伸びる展開
・内目の枠からスタートするとある程度出て行ったが挟まれる不利がありポジションを下げて後方の馬群を追走した、勝負度どころでは残り5Fから進路を内へ切り替えて進出を開始すると馬場の悪い内目を通りながらポジションを上げて好位のインになって直線へ、直線ではある程度伸ばしていたが適性の違いかグングン伸びていく前には迫れずの4着まで
・レース後鞍上は「スタートして進路が狭くなり、その影響で、馬場の悪い内を通らざるをえなくなりました。一番馬場が傷んだところを走らされました。ドバイの走りを考えると、もっといい馬場の方が力を出せると思います」とコメントしていた
【9】天皇賞秋:4着:2ヶ月半:モレイラ
・追い切りはW主体で週末坂路での調整で、3週続けてWで速めの時計が出されており、秋の大一番へ向けて勝負度合いは高かった
・レースは34.9 – 57.7 – 34.7の後傾0.2で、道中は11.5以下が続くハイペースからラスト3Fは11.6 – 11.4 – 11.7と勝ち馬が抜け出してラップを落とし切らない展開
・内目の枠からスタートするとやや追っつけられながら中団後方の馬群を追走した、道中はペースが流れていることもあり折り合いの心配はなくむしろ促されていた、勝負所でも継続して促されるとラストは残り3F手前から本格的に追い出され始めて中団後方の内目から直線へ、直線では進路を求めて外目へ出されるとしっかりゴールまで伸ばしたが圧倒的な強さだった勝ち馬には迫れず、道中離れ気味の後方にいた2頭にも差されての4着
・本馬がより上位の着順に来るにはスローペースが欲しかった印象で、スローを抱えて末伸ばす競馬であれば2着まではあったのでは
【10】ジャパンC:6着:1ヶ月:モレイラ
・追い切りはWで2本でともに鞍上が騎乗していた、時計は前走と比較して出されていなかった
・レースはパンサラッサが逃げる展開で35.5 – 57.6 – 36.5の前傾1.0で、目測で2番手以下は36.5 – 60.2程度の入り、4角6番手以内までの馬が1-5着を独占する先行決着
・中枠からスタートすると控えて中団後方の内目を追走した、道中はやや動きがありながらもポジションは大きく変えず、勝負所では残り700m付近から追い出しを開始されると中団後方の大外から直線へ、直線では本馬なりに良く伸ばして上がり3位を使ったが、展開的に自身より内前の馬で決着しており、展開的に上位争いは難しい競馬だった
5歳
【11】ドバイターフ(ドバイメイダン1800m):3着:4ヶ月:モレイラ
・中枠からやや出負け気味のスタートを切ると馬なりで中団で、周りには馬が少ない馬群を追走した、道中はやや促されながらの追走だった、勝負所では残り700m付近から促されて中団後方のインになって直線へ、直線では比較的狭い進路を通って伸びてきたが外からスムーズに伸びた2頭には敗れての3着
・レース後鞍上は「ゲートがあまり速くなく、そのため理想的なポジションより後ろになってしまいました。レース中はスムーズに運ぶことができ、最後の直線でも素晴らしい伸びを見せてくれました。距離がさらに50メートルぐらいあれば勝ち負けになったと思います」とコメントしていた
・再び休み明けでも結果を出しており、明確に休み明けで狙いたいタイプ
・直線では内になった進路のせいでスムーズに伸びられなかったことも影響した印象で、外からスムーズに脚を伸ばせる展開であればもう少し迫れた可能性も
結論(再掲)
■道中の追走を鑑みると1600mは短く、反対にダービーやジャパンC2022では終いの伸びが甘くなっているように2400mは長いことから適距離は1800-2000mと範囲が狭く、このレンジのスローペースを自身のペースで控えてラストの脚にかける競馬が最も力を出せる
■過去に陣営も言及しているように若駒時のアクシデントで右トモがウィークポイントであり、常にケアが行われている、この性質から右手前の方が走りやすいタイプで、直線が右手前となる左回りの方が向いている
■過去、新馬戦を除いて馬券圏内に好走した共同通信杯、天皇賞秋2022、ドバイターフ2023、ドバイターフ2024ではいずれも約3ヶ月以上の間隔が空けられていた休み明けであり、上記の右トモの性質を考えても一度使ってダメージがあった後よりは休み明けで狙いたいタイプ
■ここは得意の休み明けであり、東京の2000mと舞台もバッチリ、残りどうしても欲しい条件は良馬場とスローペースで、この辺りが揃えば明確に狙えるタイミングである、また、スローペースの展開で終いにかけたい点を考えると勝負所でスムーズに加速できる比較的外目の枠が欲しく、理想は5枠〜外過ぎない7枠くらい、どちらにしろ枠以外の条件が揃えば高評価は必須、相手が強いので本命まではどうかも重めの印まで
Gregory