天皇賞秋の各馬分析1頭目はホウオウビスケッツ。
結論に買い・消しなどの大方の見解とその根拠などを記載しているため、簡単には結論を見ていただければ十分かと思います。
天皇賞秋の過去レース分析とそれから得られた分析結論(レース傾向など)についてはこちらから。
基本情報(馬名:馬齢:血統(父×母父):前走:鞍上)
ホウオウビスケッツ:牡4歳:米国型×ルーラーシップ:毎日王冠4人気2着:岩田望
結論
■気性が危うく、特に序盤は行きたがる所がある馬で、休み明けかつ遠征競馬だった6戦目の中日新聞杯では展開が向かなかったのもあるが大敗している、近走はやや行きたがりながらもなんとか折り合う競馬で結果を出しており、遠征競馬などでは再び難しさを見せる可能性を考慮したいが、ひとまずは大きな心配はしない方向で
■ダービーでは上がり34.0、毎日王冠では上がり33.8でまとめているようにそれなりにまとめられる末はあるものの、過去には陣営が「瞬発力勝負では分が悪いので」とコメントしており、血統背景も鑑みても末脚を求められる展開よりは、先行力を生かして4角時点である程度リードを取れる競馬が望ましい
■近走は展開に恵まれたこともあり重賞を連続で連対しているが、同様に恵まれた展開(比較的楽なペースで先行しながら馬群は縦長など)になったとしてもこの舞台で粘りこむには末脚のトップスピードが不足している印象で基本は評価しない、他馬が引っ張る道中持続的な展開が望めれば評価は上げ方向で
全レース分析
2歳
【1】中山1600m新馬:1着:横山和
・追い切りはWオンリーで1週前のみ併せ馬、当週の時計が最も速く84.2 – 67.1 – 11.7
・レースは35.7 – 59.6 – 35.3の後傾0.4で、道中スローで進めるとラスト3Fは11.9 – 11.4 – 12.0と残り2Fから加速する先行有利の展開
・内枠からスタートすると出て行ってハナへ、道中は折り合って逃げていた、勝負所では残り450m付近から徐々に促されて半馬身差の先頭で直線へ、ラストは上がり3位の脚で伸びると逃げ切って優勝
・中山マイルで内枠からスタートを決めて楽逃げと展開が向いての勝利
3歳
【2】東京2000m1勝クラス:1着:2ヶ月:横山和
・追い切りは前走同様Wオンリーで当週には自己ベスト83.6 – 66.4 – 12.3が出され併せ遅れていた、2ヶ月の休み明けで馬体は+8kg
・レースは36.5 – 61.6 – 34.3の後傾2.2で、前半をスローで進めるとラストは残り5Fから11秒台に突入して11.8 – 11.6 – 11.2 – 11.2 – 11.9と残り3Fから0.4加速してラスト1Fは落とすラップで、4着までのうち3頭が4角3番手以内の先行優勢での決着
・中枠からスタートすると出て行ってハナへ、道中はやや手綱を引かれていたが折り合いの中で逃げられていた、勝負所までポジションは動かず馬なりのまま半馬身ほどの差で直線へ、直線では残り400m過ぎから本格的に追い出してムチを入れられると上がり2位の脚で抜け出して上がり最速で追い込んだ馬を1.1/2馬身離して優勝
・ここでも前走に続いて展開は向いていたが、後続を離しての完勝だった
【3】スプリングS(重):2着:1ヶ月:横山和
・陣営は「(前略)ただ気性に危うさがあり、期待と不安が半々です」とコメントしていた、追い切りはWで単走が2本で、当週には終い11.2とキレを見せていた
・レースはAコース8日目の重馬場の中35.4 – 59.4 – 37.2の前傾1.8で、序盤を速めの持続ラップで進め、ラスト4Fは12.3 – 12.4 – 12.2 – 12.6と上がりかかって上がり1位、2位の馬が1着、3着の差しも入る展開
・中枠からスタートすると出て行って内へ寄せて逃げ馬を見る好位のインを追走した、道中は落ち着いて追走できていた、勝負所では残り3F手前から徐々に促していくと外へ進路を取る馬が多い中最内のまま逃げ馬から2馬身差ほどの2番手で直線へ、ラストは逃げ馬を交わして抜け出しにかかったが外から上がり最速で伸びた馬に差されての2着
・道悪で上がりのかかる展開を前受けしてもラストまで踏ん張っており、スタミナのある面が見られた
【4】皐月賞(重):17着:1ヶ月:横山和
・追い切りはWで単走オンリーで当週には鞍上が騎乗して5F時計自己ベストの84.0 – 66.0 – 10.9が出されていた
・レースは重馬場の中35.1 – 58.5 – 37.2の前傾2.1で、序盤を道悪としてはかなり速いペースで進めると、ラスト4Fは12.5 – 12.7 – 12.5 – 12.0と上がりかかってラスト1Fのみ勝ち馬が加速させるラップで9着までのうち8頭が3角で8番手以下の差し有利
・中枠からスタートすると出て行って好位の馬群を追走した、1角まではかなり引っかかっていたがコーナーに入ると落ち着いた、勝負所では3角から手応えが怪しく追い出されると4角までにムチを数発入れられてポジションを下げて中団内目の馬群から直線へ、直線では後退する一方で17着
・展開が差しに向いた中で先行して馬場の悪い内目を通って相手強化では歯が立たなかった
【5】日本ダービー:6着:1ヶ月半:丸田
・追い切りは相変わらずWオンリーで中間には併せ馬も行われていた、当週は単走で終い重点、1ヶ月程度の間隔で使われて4戦目だったが馬体重は大きく変わっていなかった
・レースは35.3 – 60.4 – 35.3の前後傾フラットで、序盤をミドルペースで進めると勝負所では残り4Fから0.5加速して11.9 – 11.6 – 11.9 – 11.8とラストまで11秒台が刻まれる展開で、逃げ馬が1頭飛ばした影響で2番手以下はラップ以上にスロー、馬券圏内は全馬3角時点で6番手以内だった
・内枠からスタートすると出て行って行きたがって口を割りながら先頭だったが1角までに外から来る馬がおり逃げ馬を見る位置の好位のインを追走した、向正面でもやや行きたがるのを抑えられながらの追走で3角では逃げ馬から8馬身差ほどの2番手になっていた、勝負所では残り4F付近から徐々に促していくと前との差を詰めて5馬身ほどの差の2番手でインコースから直線へ、直線では抜け出しにかかってラストまで伸ばして0.2秒差の6着
・上位には直線で内目にいた馬が多く、2番手以下は実質スローの展開で先行馬有利、離れた2番手から進めた本馬には向いた形
【6】中日新聞杯:12着:6ヶ月半:丸田
・陣営は「毎日王冠を目標にしていたが、夏負けの影響で立て直した。乗り込んで力を出せる態勢」とコメントしていた、追い切りは相変わらずWオンリーで1週前のみ併せ馬で6F自己ベスト5F自己ベストタイの82.2 – 66.0 – 11.5が一杯で出されていた、ハンデ56kg、休み明けで馬体は+8kgしていた
・レースは34.7 – 60.2 – 34.8の前傾0.1で、入りの3Fを飛ばして入るとその後2Fが12.7 – 12.8と緩んで、後半5Fは12.0 – 11.8 – 11.3 – 11.5 – 12.0と残り3Fから0.5加速してラストはゴールへ減速するラップで3角で9番手以下の2頭が2, 3着する差しも入る展開
・中枠からスタートすると行きたがるのを抑えられながらも口を割って出て行ってハナへ、道中は行きたがるのを抑えられながらの逃げだった、3角手前からは外から他馬が並びかけてきて並走するような形、勝負所では残り3F付近から追い出しを開始され半馬身ほどのリードで先頭最内から直線へ、直線でも序盤は伸ばしていたがラストは失速して2番手だった馬にもわずかに交わされての12着
・休み明けで引っかかっては力を出せなかった形
4歳
【7】東京新聞杯:3着:2ヶ月:岩田康
・陣営は「二千くらいが合っている印象だが、前走で掛かったためマイルへ」とコメント、追い切りはいつも通りで3週続けて鞍上が騎乗していた
・レースは34.4 – 57.8 – 34.3の後傾0.1で、序盤から速めのラップで入ると道中も11.7以下でラストは残り3Fから0.3加速して11.4 – 11.3 – 11.6と伸びる展開で4角6番手以内かつ道中最内だった馬で決着する内先行有利
・中枠からスタートすると出て行って内へ寄せて好位のインを追走した、道中は大きな動きなくそのまま好位のインから直線へ、直線では進路を一つ外にとって追われると前を追ったが逃げ馬を交わしきれず、内から差した馬に交わされての3着
・レース後鞍上は「進路取りに失敗しました。内を突けば2着はあったと思います。外に出した分、終いはダラッとしていました」とコメントしていた
【8】東風S(L)(中山1600m):3着:1ヶ月:岩田康
・陣営は「瞬発力勝負では分が悪いので中山もいい舞台」とコメントしていた、中間は週末ではあるものの初めて坂路調教が取り入れられていた、休み明けから馬体は増え続けて516kg
・レースは34.6 – 57.6 – 35.8の前傾1.2で、前半を飛ばして入るとラスト4Fは11.7 – 11.7 – 12.0 – 12.1と上がりかかる展開、馬場は内目の芝が禿げていて砂煙が上がるような状態だった
・外枠からスタートすると出て行って番手を追走した、道中は口を割って行きたがるのを抑えられていた、勝負所ではやや内目をあけながら前を追いかけて逃げ馬から2馬身差ほどの2番手から馬場の外目へ出されるように直線へ、直線では本馬なりに伸ばしていたが2頭に差されての3着
・陣営コメントとレースぶりから末脚比べでは分が悪そうで、先行力を活かせる展開が欲しいタイプ
【9】巴賞(OP)(函館1800m):1着:3ヶ月半:岩田康
・陣営は「距離の融通は利くし、洋芝も合っていると思う」とコメントしていた、追い切りは全て函館のWでの調整で、2週続けて併せ馬も行われていた
・レースは開催8日目でAコース最終日の馬場の中35.4 – 59.9 – 35.1の後傾0.3で、前半を平均からややスローペースで入るとラストは残り4Fから0.4加速して11.8 – 11.7 – 11.6 – 11.8と伸びる4F戦で上位人気で4角1.2番手だった馬でのワンツー決着
・中枠からスタートすると出て行って内へ寄せてハナへ、道中は手綱を引かれてやや行きたがっていたが折り合いの中ではあった、勝負所では残り4F過ぎから少しずつ促されると残り2Fから本格的に追い出されて2番手を2馬身ほど離して先頭最内で直線へ、直線では抜け出して2馬身差で完勝
・3ヶ月半の休み明けながら道中は近走と比較して折り合えており、結果直線での伸びにつながった印象
【10】函館記念:1着:中1週:岩田康
・追い切りは函館のWで併せ先着が1本、ハンデ57.5kg(トップは58.5kg)
・レースは35.4 – 59.6 – 35.7の前傾0.3で、序盤は平均程度のペースで進めるとラストは残り4Fから0.3加速して11.8 – 11.8 – 11.9 – 12.0とゴールへ減速して上がりかかり気味の展開で、4角5番手以内の馬が圏内独占の先行決着
・外目の枠からスタートすると自身より内の逃げ馬を行かせて2番手を追走した、勝負所では馬なりに近いような促し方で加速に付き合うと残り400m手前から本格的に追い出されて逃げ馬に変わって先頭に立ちながら直線へ、ラストは上がり3位の脚で突き放して3馬身半差の完勝
・鞍上が追い出すタイミングをよく見極めており、4角で後続を離すような絶好の形
・前走から折り合いにも進展が見られての連勝だが、洋芝、滞在競馬と特殊な条件だったことから鵜呑みにはしたくない
【11】毎日王冠:2着:2ヶ月半:岩田康
・陣営は「先週末から涼しくなり力を出せる態勢に」とコメントしていた、追い切りはWオンリーで2週前から併せ馬が開始され、2週前には5F自己ベストの82.8 – 65.7 – 11.3が出され、当週にはそれをさらに更新して82.3 – 65.4 – 11.2が出されいずれも併せ先着していた
・レースは35.3 – 59.4 – 33.7の後傾1.6で、序盤3Fを平均程度のペースで入ると道中は600-1200mで12.2 – 11.9 – 12.0と緩んで、ラストは残り3Fから0.7加速して11.3 – 11.0 – 11.4と伸びる高速上がり戦で、4角で5番手以内の馬が1-5着する先行決着
・内枠から好スタートを切ると出て行ってハナへ、道中はやや口を割りながら抑えられながら逃げており道中はペースを緩めた、勝負所でも手綱を抱えられたままで2番手に1馬身ほどの差をつけ先頭で直線へ、直線では残り400m過ぎから追い出しを開始されて伸ばすと後続を離しにかかったがラストは好位から伸びた馬に差されての2着
・開幕週の比較的良好な馬場の中でスローで逃げられた上、4角時点で後続がまだ差を詰めて来ずにどちらかと言えば縦長気味になった展開がかなり向いた印象で、この展開で2着に残せるある程度まとめられる末脚は改めて評価できるが、着順は鵜呑みにはしたくない内容
結論(再掲)
■気性が危うく、特に序盤は行きたがる所がある馬で、休み明けかつ遠征競馬だった6戦目の中日新聞杯では展開が向かなかったのもあるが大敗している、近走はやや行きたがりながらもなんとか折り合う競馬で結果を出しており、遠征競馬などでは再び難しさを見せる可能性を考慮したいが、ひとまずは大きな心配はしない方向で
■ダービーでは上がり34.0、毎日王冠では上がり33.8でまとめているようにそれなりにまとめられる末はあるものの、過去には陣営が「瞬発力勝負では分が悪いので」とコメントしており、血統背景も鑑みても末脚を求められる展開よりは、先行力を生かして4角時点である程度リードを取れる競馬が望ましい
■近走は展開に恵まれたこともあり重賞を連続で連対しているが、同様に恵まれた展開(比較的楽なペースで先行しながら馬群は縦長など)になったとしてもこの舞台で粘りこむには末脚のトップスピードが不足している印象で基本は評価しない、他馬が引っ張る道中持続的な展開が望めれば評価は上げ方向で
Gregory