過去レース分析

過去レース分析 【紫苑S2022】

今回は3歳牝馬限定戦の紫苑Sにトライしようと思います。世代限定戦は成長度合いなど含めて馬のことが分かりきらずに難しい要素が多いですが、過去レース分析と全レース分析によってレースと馬のことを理解し、他者との差別化をはかりたいです。

まずは過去レース分析で、レース質や好走馬のタイプやパターンを探っていきます。
簡単には分析結論をご覧いただければ、ポイントがわかるかと思います。

レース概要・分析結論

【概要】
例年4回中山1日(開幕週)に行われ、馬場はBコース。4回中山は4月に皐月賞を行って以来の中山開催となる。フルゲートは18頭で斤量は54kg。
秋華賞のトライアルレースであり、3着までに優先出走権が与えられる。

【結論】
■過去5年いずれも後傾ラップで良馬場に限れば平均で後傾1.2(入り3F上がり3Fの時計差)、加えて開幕週の中山であることを考えると2017年優勝のディアドラのように明らかな実績(その年のオークス最先着)がある場合は後方からの差し馬にも注意を払いたいが、基本は中団より前の位置で競馬ができる馬の方が複勝率は高いと見る
■過去5年の圏内馬15頭のうち14頭が馬体重増またはプラマイゼロであり(マイナスだが圏内に来たのは2017年3着のポールヴァンドル)、減少した馬よりは成長見込める馬体重増の馬に注目したく、当日まで注視するポイント
■毎年6人気以下の馬が1頭は馬券に絡んでおり、ここを拾えるかが的中への重要なポイントとなっている、またいずれの年も2勝クラス以上での実績があった馬が多く馬券になっており、イメージや連勝などで人気している馬よりも確実に実績のある馬から入りたい
■基本は2勝クラス以上での実績重視で評価したいが、道中緩まなかった2021年のみ実績によらず道中最内を通った馬が2.3着に絡んでおり(4.5着も道中最内の馬)、展開予想から2021年ライクになると判断した場合には実績に加えて内有利も意識したい

過去レース分析

【入り3F5F、上がり3F、前後傾度合いの平均】
過去5年:35.6 – 60.7 – 34.6 後傾1.0
ー 良馬場4年:35.5 – 60.4 – 34.3 後傾1.2
ー 道悪1年:36.3 – 61.8 – 35.9 後傾0.4

2017年

36.0 – 61.3 – 34.3 (後傾1.7):1:59.8 (良):18頭

【所見】
■入りの3F5Fが良馬場の4年では最も遅く、それ故に後傾度合いが最も大きい、また、序盤緩んだ影響か勝ち時計は良馬場の4年では抜けて最も遅い(次に遅いのが2019年1:58.3)
■レースは序盤スローで進めて残り5Fから0.5加速して12.3 – 11.9 – 11.5 – 11.4 – 11.4とゴールまで伸び切るラップ
■馬券圏内馬に開幕週の馬場の恩恵を受けたような馬はおらず、スローからある程度末脚が使えるか、そもそも実力があるかの2点が重要なファクターであったが、4.5着は内枠から内目を追走した馬だった
■本年はオークス最先着馬+2勝クラス連対馬で1.2.3着で、凡走人気馬は2頭とも1勝クラスまでしか実績がなかった

【好走馬】
■1人気1着:8枠18番:牝3歳:ディアドラ:ハービンジャー×SS系:前走札幌2000m2勝クラス(稍重)2人気1着
・本年のオークス最先着馬(9人気4着)で、前走2勝クラスでは札幌で後傾でも上がり最速で勝利しており、小回り実績があった
・外枠からスタートすると枠なりに中団後方の外を追走、残り4Fから手綱を引かれながらもポジションを上げると中団外目へ、残り3Fからは促されると大外から直線へ、上がり2位を使って優勝
■6人気2着:6枠11番:牝3歳:カリビアンゴールド:ステイゴールド×欧州型:前走函館1800m2勝クラス3人気2着
・オークス出走も14人気11着していた、小回り実績は前走函館での2着(先行して上がり最速)の他には中山マイルの条件戦勝ちのみで外回りしかなかった
・中枠からスタートすると中団前目の馬群を追走、残り4F過ぎから外から番手を上げてくる馬がいたが、こちらは馬群で手綱引かれたままコーナーを周っており手応えがかなり楽だった、4角から直線で上手く外目に出されると上がり3位で抜け出したが外から勝ち馬に差されての2着
・2勝クラス2着やスイートピーS(L)2着などで実力を評価できるとよかった、前目のポジションを取って抜け出すなど終始勝ち馬よりロスの少ない競馬であったが最後は実力差で差し切られたという感じ
■4人気3着:4枠7番:牝3歳:ポールヴァンドル:ダイワメジャー×米国型(母は欧州出身):前走函館1800m2勝クラス1人気1着
・前走は2着馬カリビアンゴールドと同じレースでクビ差で勝っており、これが重賞初挑戦であった、中山では条件戦勝ちがあったがマイルで外回りだった
・内目の枠からスタートするとインに入れる素振りなく外目に出て行って、中団の馬群を追走、勝負所2着馬の作った道を追いかけるように伸びてくると上がり最速を使ったが3着まで
・前走まで全て4角2番手以内だったが、ここは控えて末脚を使って(キャリア初の上がり最速)結果出した形、3歳秋ではまだスタイルが確立されていない馬もおりあらゆる可能性を考えて手を広げたい

【凡走人気馬】
■2人気6着:7枠15番:牝3歳:ルヴォワール:ハーツクライ×欧州型:中山2000m1勝クラス1人気1着
・中山2000mで新馬、1勝クラスと連勝して5ヶ月の休み明けでここへ、前2戦の入りの3Fはそれぞれ37.7、37.3で36秒台すら経験していなかった
・外枠から出負け気味のスタートを切ると中団後方の馬群で勝ち馬を外に見ながら追走、残り3Fから促されると先に進出した勝ち馬を追いかけるように追われ上がり2位で伸びたが上位争いには加われずの6着、経験と実績不足から本命は打ちたくなかった
■3人気9着:4枠8番:牝3歳:ホウオウパフューム:ハーツクライ×Kingmambo:前走オークス7人気16着
・中山では2000mで1勝クラス勝ちがあった
・中枠からスタートすると後方外目を追走、残り3F手前から促されると外から進出した勝ち馬を追いかける進路取りで一番外から直線へ進入、直線では差を詰められず9着
・後方から大味な競馬をする馬は(特に多頭数だと)勝負所でのロスが大きいため、実績がない馬は信頼したくない

2018年

35.1 – 60.1 – 34.2 (後傾0.9):1:58.0 (良):16頭

【所見】
■過去5年で入りの3Fが最も早く、勝ちタイムも最速、後傾度合いとしては最も平均に近い
■レースは序盤平均からスローで進めると残り5Fから0.8加速して11.9 – 11.8 – 11.5 – 11.5 – 11.2とゴールまで伸び切るラップの高速5F戦
■重賞やリステッド競走で世代上位の実力を既に示している馬で圏内を独占しており、凡走人気馬は重馬場での2勝クラス2着と疑わしい実績であった(クビ差で4着だったパイオニアバイオもフローラS2着の実績があった)

【好走馬】
■2人気1着:7枠14番:牝3歳:ノームコア:ハービンジャー×クロフネ:前走フローラS5人気3着
・中山では先行競馬でフラワーC3着があった
・外枠からスタートすると枠なりに中団前目の外を追走、残り5F手前から外から押し上げてくる馬がおり馬群での追走となった、残り3Fから促され残り2Fからしっかり追われると内目から上がり最速で抜け出して3馬身差の圧勝
■1人気2着:1枠1番:牝3歳:マウレア:ディープ×StormCat:オークス6人気5着
・オークス5着で本年の最先着馬、阪神JF3着、チューリップ賞2着などがあり世代上位の実力を示していた、小回りコースは初
・最内枠からスタートすると中団のインを追走、4角から直線で外目に出されると上がり3位で前の逃げ馬を差し切って2着
■7人気3着:4枠8番:牝3歳:ランドネ:Robert系×米国型:前走オークス10人気11着
・小回り経験はなく、世代上位の実績としてはスイートピーS(L)を先行しての優勝があった
・中枠からスタートすると出て行ってハナへ、残り5Fから外から競りかけてくる馬がおり抵抗するようにペースアップした、そのまま先頭で直線に進入すると伸ばしたが2頭に差されての3着

【凡走人気馬】
■3人気13着:2枠4番:牝3歳:サラス:オルフェーヴル×米国型:阪神2000m2勝クラス(重)3人気2着
・小回り経験はなく、近2走は出遅れて後方からの競馬をしていた
・内枠からスタートするとかかり気味でポジション取りに行くこともできず後方から、勝負所も後方のまま直線へ進入すると伸ばせず13着敗戦

2019年

35.5 – 60.5 – 34.0 (後傾1.5):1:58.3 (良):15頭

【所見】
■過去5年最も上がりが早く後傾度合いは2番目
■レースは序盤平均からスローで進め、残り5Fから0.9加速して11.8 – 12.0 – 11.5 – 11.0 – 11.5という展開
■本年もすでに世代上位の実績を示していた馬での圏内独占で、凡走人気馬は2勝クラス以上での実績がなかった

【好走馬】
■2人気1着:8枠15番:牝3歳:パッシングスルー:ルーラーシップ×クロフネ:福島2000m1勝クラス1人気1着
・小回り経験は前走の福島のみで、実績としてはフローラSで0.1差の4着があった
・大外枠からスタートすると先行外で内に1人気カレンブーケドールを見ながら追走、残り3F過ぎから促されると1列目内から3頭目で直線へ進入、上がり3位で伸ばして優勝
■6人気2着:4枠6番:牝3歳:フェアリーポルカ:ルーラーシップ×SS系:オークス11人気16着
・小回り経験はなかったが、フローラSでは0.1差の5着である程度実力は示していた
・中枠内目からスタートすると先行のインを追走、勝負所は前の1人気カレンブーケドールを追いかけるように追走し直線へ、内から上がり2位で抜け出すと2着
■1人気3着:8枠14番:牝3歳:カレンブーケドール:ディープ×米国型:オークス12人気2着
・本年のオークス最先着馬でスイートピーS(L)優勝もあった
・外枠からスタートすると逃げ馬の外を先行、ペースが緩めだったこともあり向正面で逃げ馬に競りかけるとペースが上がった、勝負所もスムーズに加速すると逃げ馬を交わして先頭に立って直線へ、しっかり伸ばしたがマークされていた好位の2頭に交わされて3着まで
・戦前の陣営コメントでは「目標は次だけに久々の割引は必要だけど」とあり、叩きの色が強かった上に上がりが求められる展開でマークされるなど厳しい中での3着

【凡走人気馬】
■3人気4着:3枠5番:牝3歳:レッドベルディエス:ディープ×米国型:前走福島1800m1勝クラス2人気1着
・小回り実績は前走1勝クラスであったが、2勝クラス以上での実績はなかった
・内目の枠からスタートすると控えて中団外目を追走、そのまま中団外から直線へ進入すると上がり2位で伸ばしたが3着には1.1/4馬身離されての4着

2020年

36.3 – 61.8 – 35.9 (後傾0.4):2:02.1 (稍重):18頭

【所見】
■過去5年唯一の道悪で、入りの3F5F、上がり、勝ちタイムの全てが最も遅く、後傾度合いが最も小さい
■レースは序盤スロー気味で進めて残り5Fから0.3加速して12.4 – 12.0 – 11.8 – 12.0 – 12.1と最後はわずかにゴールへ失速するラップ
■道悪の影響で時計かかったためか2着は10人気と荒れた、時計かかりそうなコンディションの場合は主に直線に好位で向ける馬や小回り適性のある馬が穴を開ける可能性を考慮したい
■10人気馬が2着、オークス最先着馬が人気で圏外など、かなり的中が難しく、同じ雰囲気のメンバーの際には手を広げて3連系を買う、反対に大きくは荒れない単勝を買うなど工夫を凝らしたい

【好走馬】
■5人気1着:5枠10番:牝3歳:マルターズディオサ:キズナ×米国型:オークス12人気10着
・中山では外回りのマイルでしか実績(1勝クラス勝ち)がなかったものの、阪神JF2着、チューリップ賞1着と世代上位の実力は示していた、その後桜花賞、オークスと大敗したことで人気を落としていた形
・中枠からスタートすると多少行きたがるのを抑えられながら2番手を追走、勝負所もニュートラルな状態で逃げ馬に並びかけると、しっかり追われたのは直線に入ってから、抜け出して優勝
・馬体が前走のオークスから+12kgしており成長が見込める実績馬と買い材料は多かった
■10人気2着:8枠18番:牝3歳:パラスアテナ:ルーラーシップ×SS系:ラジオNIKKEI賞1人気4着
・小回り実績は福島2000mでの未勝利勝ち、前走のラジオNIKKEI賞で2着から0.1差の4着があった
・大外枠からスタートすると中団外目を追走、勝負所3角から直線までにポジションを外から押し上げると1列目の内から4頭目で直線へ進入、先に抜け出した勝ち馬には及ばなかったが2着を確保
・明らかに世代上位の実力を示した実績はなかったが、前走牡馬混合の重賞で2着と0.1差の4着していた点(+小回り実績)を評価できるとよかったか
■3人気3着:8枠16番:牝3歳:シーズンズギフト:エピファネイア×SS系:ニュージランドT5人気2着
・中山での1勝クラス勝ちやフラワーC3着など小回り実績は十分で、前走も重賞で2着していた
・外枠からスタートすると行きたがるのと折り合いをつけるようにしながら外目を先行、3角からの勝負所では外から被せられたことで馬群での追走となったが前に勝ち馬を見るポジションに変わりはなかった、直線は勝ち馬を追いかけて最内に出されると伸びたが3着まで

【凡走人気馬】
■2人気6着:8枠15番:牝3歳:ウインマイティー:ゴールドシップ×米国型:オークス13人気3着
・この年のオークス最先着馬で忘れな草賞勝ちもあり、小回り実績としては中山での1勝クラス勝ちがあった、当日馬体重が-4kgとマイナスでありこの点が嫌いたいポイントであった
・外枠から出遅れると後方からになり、これが痛かった、勝負所残り3F過ぎから促されると大外から直線へ、上がり最速をつかったが及ばず2着と0.1差の6着
・実績もあり好位で競馬できるなど、本命を打ちたい要素が多かったが、唯一当日のマイナス体重が嫌いたいポイントでここを評価して紐に下げられるとよかったか
■1人気9着:6枠11番:牝3歳:スカイグルーヴ:エピファネイア×キンカメ:フローラS1人気5着
・中山では京成杯2着があったが、その他世代上位の実績は示しておらずデビュー時のイメージでまだ人気しているという状況であった
・中枠からスタートすると二の脚速くなく中団後方の外目から、残り3F過ぎから外目から促されると前から2列目内から7頭目付近で直線へ、外からそれなりに伸びたが前との差を詰められるほどではなく9着

2021年

35.3 – 59.7 – 34.8 (後傾0.5):1:58.2 (良):18頭

【所見】
■過去5年入りの5Fが最も速く唯一60秒を切っている、それ故、良馬場の4年の中で上がりが最も遅く、後傾度合いも最も小さい
■レースは道中800 – 1000mの12.5を除いて12.0以下が続く比較的持続的な展開、1Fだけ息を入れて後半の勝負所に入っていく形
■1着は春の実績馬も、2.3着は2勝クラス以上での実績がない道中最内を周った馬で決着しており、道中緩みきらない場合は最内を立ち回る利が大きく、実績に加えて内を周れる馬も大きく評価を上げたい

【好走馬】
■2人気1着:6枠11番:牝3歳:ファインルージュ:キズナ×米国型:オークス4人気11着
・中山では外回りのマイルしか経験がなかったが、桜花賞3着で世代上位の実力は示していた
・中枠からスタートすると中団前目の外を追走、残り3Fから外から促されると進出して前から2列目内から5頭目付近で直線へ、抜け出して1.3/4馬身差で優勝
■4人気2着:1枠1番:牝3歳:スルーセブンシーズ:ステイゴールド系×クロフネ:オークス9人気9着
・中山では1勝クラス勝ちがあった、これまでいずれも出遅れており開幕週では狙いづらかったが、明確に内枠有利なことを意識できていれば枠だけでも抑えられたか
・最内枠からスタートすると中団のインを追走、勝負所から直線も最内を突くと、直線では前が壁になり残り150m付近から本格的に追われると抜け出して2着
■12人気3着:2枠3番:牝3歳:ミスフィガロ:ディープ×キンカメ:新潟2000m1勝クラス3人気1着
・小回り経験はなく、2勝クラス以上での実績もなかった
・内枠からスタートすると中団後方のインを追走、勝負所4角でインアウト(コーナーで内を追走から直線で外目に出す)で直線外目に出されると上がり3位で伸びて3着

【凡走人気馬】
■3人気6着:4枠8番:牝3歳:メイサウザンアワー:欧州型×キンカメ:東京1800m1勝クラス1人気1着
・小回り実績は未勝利勝ちのみで、フローラSでは0.2差の4着と世代上位の実力を示していた、また、5戦中4戦で先行して上位の上がりが使えており、評価したい項目は多かった
・中枠からスタートすると出て行って好位馬群を追走、勝負所も外に行かずロスを省くように直線でも内を突いたが周りと同じ脚色になり相対的に伸ばせず6着
■1人気17着:2枠4番:牝3歳:エクランドール:ディープ×欧州型:東京2000m1勝クラス1人気1着
・東京1800m、2000mで新馬、1勝クラスと連勝していた(すなわち小回り実績、2勝クラス以上実績共になし)、早いペースの追走経験がなく最も速いのが前走の入り3F37.7だった
・内枠からスタートすると二の脚つかず後方から、勝負所でも後方のまま外をまわって直線を向くと伸ばせず17着敗戦
・連勝と血統のイメージ(フィエールマンの全妹)で人気していたが、実績、経験ともに不足しており、ここに重い印は打ちたくなかった

Gregory

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