過去レース分析

過去レース分析 【安田記念2024】

ブログ初となるマイルGⅠにトライ。海外馬も参戦表明、難解。

簡単には分析結論をご覧いただければ、ポイントがわかるかと思います。

レース概要・分析結論

【概要】
過去5年はいずれも3回東京2日に行われ開催14日目のCコース4日目。フルゲートは18頭で斤量は58kg、牝馬2kg減。

【結論】
過去5年のうち4年は外枠から上がりを使える馬が有利な展開で、これは東京の長い直線を見据えると600-1000m区間のラップを締めて逃げられる逃げ馬が少ないことで①この区間で外目の差し馬がスムーズに前とのポジションを詰められる、②内目の馬は馬群がごちゃついて、かつ先行馬にも脚が残っていることで直線でスムーズな進路が取りづらい、③開催14日目のCコース4日目で行われることから基本的に馬場はフラット〜外有利、の3点が大きな要因である、基本はこの展開を見越して外目の枠から上がりを使えるタイプを狙いたい
■加えて2021年のように外枠から先行する馬が多い外枠主導の隊列では、一層内枠の馬はスムーズにポジションを取ることが難しく、超ハイレベル戦になる本レースでは想定より1列後ろの位置取りになることや、直線で進路を切り替えることなどが着順を下げることに直結する
■一方で2019年には①内枠から先行する馬が多い内枠主導の隊列②1800m以上でも良績がありマイルにおいて道中緩めない強気な逃げを打てるアエロリットがハナ③外枠の馬がスタートで大きな不利を受けてタイムをロス、と条件が揃ったことで「2着したアーモンドアイを除けば1-5着の馬は道中最内を通った馬」という超内有利の条件が現れた、逃げ馬、枠、馬場などからこのパターンになることがあることも警戒
■東京マイルは、入りの2Fで先行争いを終えて息を入れたいタイミングの残り1200m地点から下り坂が始まるという特有のコース形態を持つため、過去5年馬券圏内の15頭のうち7頭が前年までの本レースで3着以内した経験のあるリピーターで、また、15頭のうち12頭は過去に東京マイルでの重賞を勝っていたように、過去の同舞台での好走経験は素直に評価したいポイント
■道中緩んで上がり勝負になることが多い本レースだが、上がり最速馬の優勝は外枠主導になった道悪の2020年グランアレグリアのみで、基本は後方から上がり一辺倒では自身より前から上位の上がりを使えるタイプを差しきれないことが多いため(その年のメンバーレベルにもよるが)、外目の差し馬を評価した上で、その中でどれを本命視するかは、前後どのあたりのポジションを取れるかまで考えを及ばせたい

過去レース分析

【入り3F/5F、上がり3Fの平均】
過去5年:34.5 – 57.7 – 33.9 (後傾0.6)
良馬場4年:34.6 – 57.8 – 33.8 (後傾0.8)
道悪1年:34.2 – 57.3 – 34.3 (前傾0.1)

2019年

34.5 – 57.0 – 33.9 (後傾0.6):1:30.9 (良):16頭

【所見】
■過去5年で見て入りの3Fは3番目で平均に近いものの5F通過は最速(2番目は2020年の57.3)で、勝ち時計も最速(2番目は2023年の1:31.4)
■レースは平均に近い入りからラスト5Fは11.3 – 11.2 – 11.1 – 11.2 – 11.6とラスト600-400mが最速でラストはゴールへ失速する展開
■道中のペースが緩まずに流れた上、外枠の馬に不利があり内枠の馬が先行する内枠主導の隊列となったことで道中内目を走った馬が恵まれており、7枠14番から不利を受けて道中内から3列目でも2着したアーモンドアイを除けば1-5着の馬は道中最内を通った馬で、6-9着も道中内から2列目を通した馬だった、故に1-8着のうちアーモンドアイ以外全馬が4枠以内の内枠競馬
■内枠主導×道中流れる展開では内有利が出現する可能性を頭に入れたく、1-6着のうち上がり3位以内を使ったのは2着のアーモンドアイだけだったように開催14日目でも時計が出る馬場の際には後方一気よりは好位や中団から抜け出せる馬を評価する必要がある

【好走馬】
■4人気1着:3枠5番:牡4歳:インディチャンプ:ステイゴールド×キンカメ:前走マイラーズC2人気4着
・東京マイルでは2走前に東京新聞杯を優勝しており1戦1勝だった
・内枠からスタートすると出て行って内へ寄せて中団前目のインを追走した、勝負所でも終始最内で進めると好位のインから直線へ、直線に入ってからやや外目に出されるとラストは上がり5位で伸びて1.2番手から抜け出した先行の組を交わして優勝
・内枠主導で道中ペースが落ちず、内有利になった展開の中で終始インで貯めて好位から抜け出す競馬で優勝、東京新聞杯勝ちや、その際と同様の内枠に入った点を評価できると良かったか
■3人気2着:1枠2番:牝5歳:アエロリット:クロフネ×SS系:前走ヴィクトリアマイルC2人気5着
・東京では毎日王冠逃げ切り勝ち、前年の安田記念2着、NHKマイルC勝ちなど1600-1800mで良績があった
・内枠からスタートすると外の3番枠から速い馬がいたが譲らず押して出して行って入りの200m地点でハナへ、序盤にポジションをとりに行った分か道中は2番手を2馬身、3番手はさらに2馬身ほど離して逃げていた、そのまま先頭で直線へ進入するとラストまで脚を伸ばしてラスト1Fも11.6でまとめたが好位のインから伸びた勝ち馬に差されての2着
・リピーターである点や先行馬×内枠である点を評価したかった
■1人気3着:7枠14番:牝4歳:アーモンドアイ:ロードカナロア×SS:前走ドバイターフ1人気1着
・GⅠ5連勝を含む7連勝中のチャンピオンホースで、東京マイルでは未勝利勝ちのみ、マイルは桜花賞以来だった
・外枠から出負け気味のスタートを切ると大外の馬が内へ切れ込んで挟まれる不利があり道中は後方馬群の外目を追走した、道中はスムーズに進めるとそのまま後方の馬群から直線へ、直線では外目に出されると2位より0.2速い上がり最速32.4で追い込んだが内から抜け出した組を交わしきれずタイム差なしの3着
・不利を食らった上に内枠主導で緩まない内有利な競馬だったのが響いた形で、それでも外枠かつ後方からタイム差なしまで詰めたのは異次元、不利のパターンまで想定しては儲からないので、ここから連で入っていれば負けて仕方なしか

【凡走人気馬】
■2人気16着:8枠15番:牡4歳:ダノンプレミアム:ディープ×欧州系米国型:前走マイラーズC1人気1着
・東京では2歳時にサウジアラビアRC勝ちがあったが適性が問われるような舞台(GⅠや3歳秋以降)では出走がなかった
・外枠からスタートすると大外の馬が切れ込んでぶつけられる不利があり後方の外を追走した、そのまま勝負所でも外をまわって後方の大外から直線へ、直線では残り400m付近まではまともだったがそこから走りがバラバラっとした形で伸ばせず最下位敗戦、レース後鞍上は下馬していた
・スタート直後にまともに不利を食らって競馬自体も内有利の向かない展開、入線後はジョッキー下馬しており、度外視の1戦

2020年

34.2 – 57.3 – 34.3 (前傾0.1):1:31.6 (稍重):14頭

【所見】
■過去5年で入りの3Fは2023年と同率で最も速く(3位は2019年の34.5)、5Fの通過は2番目に速かった(1位は2019年の57.0)、過去5年で唯一の道悪だったものの乾いていく馬場の中で勝ち時計は過去5年で3位だった
■レースは入りの3Fを速く入るとその後11.5 – 11.6と2Fやや緩んでラスト3Fは11.4 – 11.0 – 11.9と残り2Fからの加速が大きくラスト1Fは失速する展開
■3角地点で前から5頭のうち4頭が6〜8枠の明確に外枠主導の隊列で、押し込められる内枠の馬と比較して外枠の方がスムーズにポジションを取りやすく、また、それまで12戦続けて1600m未満の距離を使われていたダノンスマッシュが逃げたことで距離不安の分か中盤ラップが緩み、そこで差し馬は前との差を詰められた、さらに、開催終盤の道悪で外をまわすロスが低減されていたことで、あらゆる条件が外枠の差し馬に明確に向いていた、勝ち馬はこれに乗じた7枠11番グランアレグリア
■4角では馬群が凝縮したことで良く差し届く展開となり、1-6着のうち上がり3位以内を使ったのがアーモンドアイのみだった2019年とは対称的に上がり1-4位の馬が1-4着を独占する差し競馬となった

【好走馬】
■3人気1着:7枠11番:牝4歳:グランアレグリア:ディープ×米国型:前走高松宮記念(重)2人気2着
・東京マイルではサウジアラビアRC勝ちがあったものの3歳秋以降は前々走の阪神C、前走の高松宮記念とマイルも東京も走っていなかった
・外枠からスタートすると出ていってスムーズに中団を単独で追走した、勝負所では外目に進路を取るとコーナーでラップが緩んだ影響で詰まり気味になった馬群の中団外目になって直線へ、ラストは上がり最速で伸びると残り300mで先頭に立ち抜け出して2馬身半差の完勝
・3角時点で「先行5頭のうち4頭が6〜8枠」という外枠主導の隊列となったことで外枠の差し馬だった本馬はポジションが取りやすかった(実際2.3着だった2頭よりも前のポジションを取れている)、また、ラップが3,4角で落ち着いた上に道悪でもあり、外目を走るロスは少なかった、さらに、ラップが落ちて馬群が詰まったことで差しも届く展開になっており、枠、展開、馬場はかなり向いていた、この辺りを見抜いて高評価したかった
■1人気2着:4枠5番:牝5歳:アーモンドアイ:ロードカナロア× SS:前走ヴィクトリアマイル1人気1着
・これまでキャリア12戦9勝2着1回3着1回と有馬記念以外馬券圏内を外しておらず、前年3着だったリピーターで、前走は同舞台のヴィクトリアマイル勝ち 
・内枠から出負け気味のスタートを切ると内目には拘らず、中団の後方で前の内にインディチャンプ、外にグランアレグリアを見る位置を追走した、コーナーでは外のペルシアンナイトにやや締められる展開で、4角では前のグランアレグリアを追いかけるようにして後方の外目から直線へ、直線ではさらに一つ外に出されるとラストは上がり3位で伸びたが先に一瞬の加速で抜け出した勝ち馬との差を詰められず2着
・「内枠から出負け気味のスタート×外枠主導の隊列」では道中スムーズな位置取りとは行かず、中盤緩んだ影響もあって差し込めるチャンスはあったが上がりも勝ち馬には劣っており、力負けの分もある2着、倍率と(外枠主導を読めていれば)枠からどうやっても頭固定は採算が悪く、連系や3連系の勝負であれば評価して良い着順だった
■2人気3着:4枠6番:牡5歳:インディチャンプ:ステイゴールド×キンカメ:前走マイラーズC1人気1着
・東京マイルでは過去に東京新聞杯勝ちもあり、前年覇者のリピーター
・内目の枠からややアオり加減だったが出としては五分のスタートを切ると枠なりに内目へ寄せていき中団後方のインで外前に勝ち馬を見る位置を追走した、勝負所3,4角では終始最内をまわってくると中団のインから直線へ、直線では狭い進路を割りながら抜け出しにかかったが同じくらいの位置にいた勝ち馬には伸び負けて後方外から伸びた2着馬に差されての3着
・外枠主導の隊列の中で内枠だった分で評価を下げて、リピーターだった分は評価して△あたりで抑えておきたかった

【凡走人気馬】
■該当馬なし

2021年

34.9 – 57.8 – 33.9 (後傾1.0):1:31.7 (良):14頭

【所見】
■過去5年で入りの3Fは最も遅く(2番目に遅いのは2022年の34.7)、入りの5Fも2番目に遅かった(1番遅いのは2022年の58.7)、また昼過ぎまで雨が降っていた影響もあり、前半遅く進めたものの上がりは過去5年で同率3位の33.9にとどまり、勝ち時計も2番目に遅い決着となった(1番遅いのは2022年の1:32.3)
■レースは前半を遅めに進めた上で中盤も平均程度の流れ、ラスト4Fは11.4 – 11.2 – 11.0 – 11.7と徐々に加速する形でのラスト1F失速で、道中緩んだことで高速上がりを使えるタイプが差し込める展開だった
■上記のレース質だった影響で上がり5位以内の馬の1-4着独占で、また、道中緩んだことで内目の馬はポジションを有利に進めづらく、2着馬4枠5番のグランアレグリアを除くと1-6着の全馬が5〜8枠の馬の外枠有利だった
■上記のレース質を作り出す緩いペースを読めていれば外枠の差し馬 = 1.3着馬を評価できた印象で、逃げそうなダイワキャグニー/トーラスジェミニが超マイル級の逃げ馬(例:2019年2着アエロリット)でないことや、人気薄で無理なペースでは逃げたくないタイプだった点を鑑みて展開予想したかった

【好走馬】
■8人気1着:7枠11番:牡5歳:ダノンキングリー:ディープ×StormCat:前走天皇賞秋3人気12着
・東京では共同通信杯、毎日王冠など1800mで良績がありダービーも2着、前年の安田記念こそ7着だったものの展開向いていないのもあり道中緩めばマイルでもという感じだった
・外枠からスタートすると内へ寄せていってグランアレグリアを締めてグランの1列前の中団の馬群を追走した、3,4角では外を意識しながらスムーズに追走すると残り3Fから外へ出されて中団後方の外になって直線へ、ラストは上がり2位33.1で伸びると自身より内の後方から上がり最速で伸びたグランの追撃を凌いで優勝
・道中ハイペースにはならなさそうなメンバー構成から外目の差し馬という点を評価して少なくとも相手で持っておけると良かったか
■1人気2着:4枠5番:牝5歳:グランアレグリア:ディープ×米国型:前走ヴィクトリアマイル1人気1着
・東京マイルでは前走ヴィクトリアマイル1着、前年の安田記念1着などあったリピーター
・内目の枠からスタートすると内へは寄せずに外へ促したが外からダノンキングリーに締められてポジションを下げて後方の馬群で勝ち馬を見る位置を追走した、道中は大きくポジションを変えずに勝ち馬の1列後ろの1つ内から直線へ進入するとラストは馬群の狭い所を割りながら上がり最速で伸びたものの外目から直線でスムーズに追い通された勝ち馬に及ばす、上がり最速での2着
・これまでGⅠ5勝のトップマイラー/スプリンターでここでも力は上位だった、道中ラップが締まり切らずの上がりで差せる展開は向いていたものの内目の枠が仇となったような位置取りで、鞍上は素晴らしい騎乗をしているが、ラストの差を考えると枠が逆なら頭だった可能性は高い、3連複の軸として強めに評価する分には良かったが、展開×枠で頭から勝負するような本命は避けたかった
■4人気3着:8枠13番:牡3歳:シュネルマイスター:欧州型×欧州型:前走NHKマイルC2人気1着
・前走NHKマイルC勝ちからの参戦、3歳で斤量は-4kgの54kg、まだキャリア5戦目ではあるもののここまでの4戦連対を外しておらず、いずれも上がりは3位以内、マイル以下に限れば負けなしの上がり2位以内だった
・外枠からスタートすると焦らずに徐々に内へ寄せていき中団の外目を追走した、道中は前に馬を置いていなかったがスムーズに追走するとそのまま中団の外目から直線へ、直線では邪魔なくスムーズに追われて上がり4位を使って伸びると内のインディチャンプ(牡6歳)には先着したものの上がり上位の2頭には交わされて3着まで
・後にマイル界を引っ張る存在になった本馬でも3歳時に頂上決戦の安田記念では相手が悪く、枠も向いていたが3着までだったという印象で、馬齢から本命は避けても展開や条件は向くと判断して相手には持っておきたかった

【凡走人気馬】
■2人気4着:5枠8番:牡6歳:インディチャンプ:ステイゴールド×キンカメ:前走高松宮記念(重)3人気3着
・安田記念を2019年1着、2020年3着していたリピーターのトップマイラー
・中枠からスタートすると枠なりに中団の馬群を追走した、道中はスムーズに進めると勝負所でやや外に出されて中団外目から直線へ、直線では馬なりで伸びてくると残り300mから追い出しを開始されて上がり5位で抜け出しにかかったが高速上がりを使えるタイプの馬たちに差し込まれて4着まで
・6歳にしてこのメンバーで4着と、とても凡走とは言えない内容だったが、高速上がりで差し切るタイプではない本馬にとっては道中もう少し流れる展開ともう少し内目の枠が欲しかった、メンバーレベル/展開/馬齢を鑑みて本命は避けたかった
■3人気8着:1枠1番:牡4歳:サリオス:ハーツクライ×欧州型:前走大阪杯(重)3人気5着
・東京ではサウジアラビアRC勝ち、ダービー2着、毎日王冠勝ちがあった、朝日杯の勝ち馬でもありマイルGⅠ馬だった、ここは2000mから2Fの距離短縮での参戦
・最内枠からスタートすると内目には拘らず外へ誘導されたが空いておらずに中団後方のインを追走した、道中と勝負所でも終始最内をまわってくると4角でインアウトで外目へ誘導されて直線へ、直線では前の3着馬を追いかけるように追われたが相対的に伸ばせず、2着馬に前をカットされて失速しての8着
・個人的にはマイルより長い距離が合うタイプと見ていただけにラストの瞬発力が求められるやや緩めの展開での最内枠は厳しい条件だった、適性を評価できていれば本命は避けられたか

2022年

34.7 – 58.7 – 33.6 (後傾1.1):1:32.3 (良):18頭

【所見】
■過去5年で入りの3Fは2番目に遅く(最も遅いのは2021年の34.9)、入りの5Fはダントツで最も遅かった(2番目に遅いのは2021年の57.8)ことで上がりは過去5年最速(2番目に速いのは2023年の33.8)で、勝ち時計は最も遅い決着となった(2番目に遅いのは2021年の1:31.7)
■レースは序盤3Fを遅めで入ると600-1000mが12.0 – 12.0と緩んでラストは残り3Fから0.8急加速して11.2 – 11.0 – 11.4と伸びる展開
■道中緩むスローになったことで1-7着は「5〜8枠 or 4角3番手以内」に該当しており、自分のタイミングで進路もスムーズに追い出しを開始でき、かつ上がりを使える実力を備えたタイプが好走した
■好走馬にも凡走人気馬にも該当していないが、4着、3歳馬のセリフォスは有利な外枠から惜しくも圏内を逃した、実力もあり枠も向いていたが、やはりこの時期の3歳に頂上決戦である安田記念は荷が重い印象、相手には持っても本命を打つのは可能な限り避けるのが吉か
■1人気で上がり最速を使った4枠8番イルーシヴパンサーが凡走しているように、超ハイレベル戦になりやすい本レースではスローで上がりが求められる展開になっても、中団付近に極上の上がりを繰り出せる有力馬がいることで4角最後方から差し切るためには、スローよりも前が総崩れになるような超ハイペースが必要で、最後方からの競馬になるタイプには基本的には本命は打ちたくない

【好走馬】
■4人気1着:7枠13番:牝4歳:ソングライン:キズナ×Robert系:前走ヴィクトリアマイル2人気5着
・東京マイルではNHKマイルC2着、富士S勝ちなどがあった、前走VMでは3角不利
・外枠からスタートすると枠なりに中団外目の馬群を追走した、勝負所では残り4Fから馬群の外に出されると速めに進出を開始して中団の大外になって直線へ、ラストは上がり3位32.9で直線長く脚を伸ばすと差し切って優勝
・終始緩むスローになることを想定できていれば外枠の差し馬をしっかり評価してここに辿り着けたか、東京マイル重賞での実績から少なくとも相手には持っておけた
■2人気2着:5枠9番:牡4歳:シュネルマイスター:欧州型×欧州型:前走ドバイターフ1人気8着
・東京マイルではNHKマイルC勝ち、前年の安田記念3着があり、マイルに限らなければ毎日王冠勝ちもあった
・中枠からスタートすると内には目もくれず外へ誘導されて中団後方の馬群で前に勝ち馬ソングラインを見る位置を追走した、3角までにソングラインの1つ外に出そうと誘導されたが外のセリフォスに締められて進出できなかった、それにより3角からは外は意識されずに中団後方の馬群になって直線へ、直線ではスローの展開で馬群を突いたことで進路が開かずしっかり前が開けたのはラスト250m、上がりは3位32.9を使ってラスト迫ったが2着まで
・勝ち馬ソングラインとは3角までの位置取りの差で、元を辿れば枠順の差、スローの展開を読めていれば実績と適性から評価は必須だった馬で、この馬から外に本命を打てるような有力馬がいるかどうかが本命選定の指標だったか
■8人気3着:8枠17番:牡5歳:サリオス:ハーツクライ×欧州型:前走高松宮記念(重)4人気15着
・東京ではダービー2着、毎日王冠勝ちがあり、朝日杯FSの覇者、前年の安田記念では不利な内枠から8着していた
・外枠からスタートすると中団前目の外を追走した、勝負所では外から勝ち馬が進出してきたのもあり残り700m付近から外へ出されると中団の勝ち馬より1つ内から直線へ、ラストは上がり4位に当たる33.0でスムーズに脚を伸ばしたがより上位の上がりを使った2頭に差されての3着
・ある程度の末を使えるタイプ、というか実力だったことに加えて外枠に入った点を評価して少なくとも相手に持って置けると3連複の的中まで視野に入ってきていた

【凡走人気馬】
■3人気5着:4枠7番:牝4歳:ファインルージュ:キズナ×米国型:前走ヴィクトリアマイル3人気2着
・東京では東京新聞杯2着、前走ヴィクトリアマイル2着があった
・中枠内目からスタートすると出ていって好位の馬群を追走した、勝負所ではペースが緩んだ所で前との差を詰めると前から2列目内から2頭目から直線へ、ラストは内目の馬群を割って伸びて前のダノンザキッドを交わしたが外から末を伸ばした組には抗えず5着まで
・東京マイルでの実績からも評価をしたい1頭だったが、スローの展開で上がりを使えることが求められる外目有利の展開になると読めていれば内目の枠を理由に本命は避けられたか
■1人気8着:4枠8番:牡4歳:イルーシヴパンサー:ハーツクライ×キンカメ:前走東京新聞杯4人気1着
・東京1600-1800mでいずれも上がり最速を使っての4連勝中で前走は東京新聞杯勝ち
・中枠内目からスタートすると控えて後方の馬群を追走した、後方でも馬群の位置取りだったことからペースが緩んだ勝負所でポジション押し上げられず、そのまま後方の馬群から直線へ、ラストは馬群を突きながら上がり最速32.6で伸びたが直線入口でより前にいた組には迫れず8着まで
・強烈な末を使える差し馬ではあったものの、内目の枠であることや、最後方よりは前のポジションにも強力な差し馬がいる頂上決戦であることを考えると本命は避けられたか

2023年

34.2 – 57.6 – 33.8 (後傾0.4):1:31.4 (良):18頭

【所見】
■過去5年で入りの3Fは同率1位で速く(2020年が同率、次いで速いのは2019年の34.5)、入りの5Fは3番目に速かった、上がりは過去5年で2番目に速く(1番速いのは2022年の33.6)、勝ち時計は2番目に速い決着(1番速いのは2019年の1:30.9)で、入りの3Fを除けば本レースとしては平均に近い流れ
■レースは序盤3Fを速く入ると600-1000mが11.8 – 11.6と緩んでラストは残り3Fから0.5加速して11.1 – 11.2 – 11.5と伸びながらもゴールへは失速する展開
■基本的には道中やや緩んだ影響もあって外をまわすロスは少なく、外枠から上位の上がりを使えるタイプが1.3着
■馬券圏内は全馬過去に同レースで4着以内を経験していたリピーターで、5-6着の間で1.3/4馬身離れていたように上位5頭とそれ以下では明確に力差があった印象

【好走馬】
■4人気1着:8枠18番:牝5歳:ソングライン:キズナ×Robert系:前走ヴィクトリアマイル4人気1着
・東京マイルでは多数好走歴があり、前年の安田記念、前走のヴィクトリアマイルと制していたリピーター
・大外枠からスタートすると出て行って中団の外を追走した、道中はスムーズに外目を回るとペースが緩んだ3,4角では前との差を詰めながらも脚をためるような形で、中団後方の大外になって直線へ、ラストは何の邪魔もなく追い通されると上がり2位を使って突き抜けて1.1/4馬身差で優勝
・中緩みした展開の中で大外枠だったことがプラスに働いた印象で、リピーターである点や外枠である点を評価できると良かったか
■3人気2着:2枠4番:牡4歳:セリフォス:ダイワメジャー×欧州型:前走ドバイターフ3人気5着
・東京マイルではNHKマイル4着、安田記念4着、富士S勝ちなど良績があった
・内枠からスタートするとやや行きたがる所を見せながら好位のインを追走した、勝負所でも内目をスムーズに追走するとそのまま好位のインから直線へ、直線では前のジャックドールとソダシの間で詰まって進路が開いたのはラスト250m、開いてから伸びて前のジャックドールを交わしたが外から末を伸ばした勝ち馬には抗えず2着まで
・不利な内目の枠ではあったものの、前年の安田記念で3歳で4着と好走した点などの良績を評価して少なくとも相手には持っておきたかった
■1人気3着:7枠14番:牡5歳:シュネルマイスター:欧州型×欧州型:前走マイラーズC1人気1着
・安田記念を2年連続で好走していたリピーター
・外枠からスタートすると枠なりで控えて後方の外を追走した、勝負所でもスムーズに後方の外をまわすとそのまま直線へ、直線では邪魔なく追われて2位より0.3速い上がり最速32.8を使ったが、自身より前のポジションから突き抜けた勝ち馬には及ばず、内から伸びた2着馬に競り負けての3着
・リピーターである点や外目の枠であった点は評価できたが、マイルだとポジションを取りきれない弱点があり、上がりだけでは差しきれなかった形、外枠差し有利判定のレースでも上位馬どうしの比較ではある程度中団付近のポジションを取れるかどうかが勝敗を分ける可能性も

【凡走人気馬】
■2人気7着:3枠5番:牝5歳:ソダシ:クロフネ×キンカメ:前走ヴィクトリアマイル3人気2着
・東京マイルではヴィクトリアマイル2年連続連対があったが安田記念は初挑戦だった
・内目の枠からスタートすると出て行って好位の馬群を追走した、そのまま道中はスムーズに追走すると好位から直線へ、直線でも懸命に脚を伸ばしたが上がりが使える組には敵わず7着まで
・不利な内目の枠だった点や末が使えるタイプではないことから本命は避けたかった

Gregory

最後に、参考までに各年の残り600m地点での隊列と有利不利の判定を載せておく。
東京マイルで道中のラップを強気に締められる馬は少なく、基本は600-1000m緩むパターン = 外枠有利が多い。

2019年:内枠主導で道中緩まずに馬群は縦長
→ 外をまわす差し馬に不向きな展開で内有利
→ 勝ち馬:3枠5番インディチャンプ、4角5番手


2020年:外枠主導で道中緩んで馬群凝縮
→ 外目の差し馬有利
→ 勝ち馬:7枠11番グランアレグリア、4角7番手から上がり最速


2021年:道中も持続的に飛ばせるような逃げ馬不在のスローで馬群は詰まり気味
→ 外目から上がり使える馬有利
→ 勝ち馬:7枠11番ダノンキングリー、4角8番手から上がり2位


2022年:道中も締められる逃げ馬不在で途中12.0 – 12.0が入るスローで馬群は詰まり気味
→ 外枠から上がりを使える馬有利
→ 勝ち馬:7枠13番ソングライン、4角10番手から上がり3位


2023年:序盤飛ばしたが途中11.8 – 11.6が入って馬群は詰まり気味
→ 外枠から上がりを使える馬有利 (テンに流れている分勝ち時計早く、中団付近のある程度のポジションが取れるとなお良し、反対に後方は△)
→ 勝ち馬:8枠18番ソングライン、4角9番手から上がり2位

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