中山記念の各馬分析5頭目はヒシイグアス。7歳馬ながら休み休み使われている影響で今回がまだ16戦目となります。2年前の本レースの勝ち馬でリピーターのため、これだけでも警戒しておきたいポイントです。
結論に買い・消しなどの大方の見解とその根拠などを記載しているため、簡単には結論を見ていただければ十分かと思います。
中山記念の過去レース分析とそれから得られた分析結論(レース傾向など)についてはこちらから。
基本情報(馬名:馬齢:血統(父×母父):前走:斤量:鞍上)
ヒシイグアス:牡7歳:ハーツクライ×StormCat系:前走宝塚記念5人気2着:松山:57kg
結論
■4歳以降複数回長期の休養を挟んでおり、休み明けでも【9】戦目の3勝クラスなど結果を出してはいるが、この時も中山金杯→中山記念とパフォーマンスを上げているように見え、その後も天皇賞秋5着→香港C2着、大阪杯4着→宝塚記念2着と叩いてからの方が好成績で、全く動けないわけではないが、どちらかと言えば休み明けよりも叩いてから狙いたい印象
■新馬戦を除くと上がり最速を使ったのは【11】戦目中山記念、【15】戦目宝塚記念の2度で、いずれも1000m通過が58秒を切るようなハイペース持続ラップだったように、本馬の末脚はキレるというよりは持続的な印象で、スローからの上がり勝負より、ラストはゴールへ失速するラップになるような持続的な展開に向いている
■今年の中山記念は本馬が勝利した年ほどペースが流れるかはわからないがリピーターというだけで最低でも紐には持っておきたく、休み明けで本番は次走のGⅠだろうことを考えると幾分割引きたい、印はふる
全レース分析
2歳
【1】東京1800m新馬:2着:ムーア
・追い切りはWでの併せ馬主体で全体時計は軽めだった
・レースは37.7 – 63.4 – 33.5で、序盤ドスローの展開で進めると残り3Fから1.2加速して11.5 – 10.9 – 11.1と伸び切る高速上がり戦
・中枠外目からスタートすると出して行って好位のインコースを追走した、4角から直線も内目から進入すると上がり3位抜け出したが上がり2位の馬にゴール前寸前で差されての2着
【2】中山2000m未勝利:1着:中2週:ルメール
・追い切りは坂路とWが1本ずつでかなり軽めの時計での調整
・レースは36.6 – 61.3 – 36.9で、序盤はスローの展開だったが残り6Fと速めから加速して12.1 – 11.6 – 11.7 – 12.2 – 12.0 – 12.7と上がりかかる展開
・中枠からアオり加減のスタートを切ると出て行ってハナへ、道中は終始先頭3頭が並ぶような形で向正面手前からはずっとペースが緩まなかった、勝負所では軽い手応えでこれらの3頭から半馬身抜け出した形で直線へ、直線では内へモタれながらも鞍上に矯正され上がり最速で優勝
・現状右にモタれる面があるため、ラチを頼れる右回りの方が信頼しやすい
3歳
【3】中山1800m1勝クラス:1着:1ヶ月:ミナリク
・追い切りは坂路が多めの内容でいずれも単走、時計は軽めだった
・レースは38.0 – 63.3 – 34.7でドスローな展開で進めると残り3Fから0.5加速して11.9 – 11.0 – 11.8と伸びる展開
・8頭立ての中枠4番枠から若干出負け気味のスタートを切ると馬なりで出て行ってハナへ、少頭数ということもありかなりのマイペースで進めた、勝負所では残り700m付近から促され始めると直線で抜け出して優勝、上がりは3位
・直線では右にモタれるところなく、解消されていた
【4】スプリングS:5着:2ヶ月:ミナリク
・追い切りはWでの併せ馬主体で全体時計はそこまで速くないが、終いは伸ばされて今まででは一番負荷がかけられていた、2ヶ月の休み明けだったが馬体は-16kgで過去最低馬体重
・レースは35.8 – 60.0 – 35.7で、道中は12.1付近が続く比較的持続的な展開から、ラスト3Fは12.0 – 11.6 – 12.1と残り2Fからの加速が大きな展開
・中枠からスタートすると出て行って2番手を追走した、道中は持続的なラップをそのまま2番手で追走すると勝負所では逃げ馬が残り600mからでも加速しなかったことで後続が一気に差を詰めてきて直線へ、抜け出しにかかったが差しの組と比較すると鈍い脚になってしまい5着まで
【5】ラジオNIKKEI賞(不良):9着:3ヶ月半:デムーロ
・追い切りはWと坂路の併用で1週前にはWで自己ベスト5F66.7 – 12.7が出されていた、最終追いはWが使えなかったために坂路で単走での調整、陣営は「いい時に比べると重い印象も(中略)」とコメントしていた、ハンデ54kg
・レースは不良馬場の中35.9 – 61.0 – 36.5で、不良馬場としては平均くらいのペースで進めるとラスト3Fは12.4 – 11.9 – 12.2で残り2Fからの加速が大きな展開
・中枠からスタートすると直後に隣の馬にぶつけられたが大きな不利はなく、出て行って中団馬群を追走した、向正面では若干ポジションを下げた、勝負所では残り600m手前からムチを入れられたがポジションを下げて、外に切り替えられて後方の大外から直線へ、直線でも見張る脚ではなく9着敗戦
・レース後鞍上は「馬場が合わなかった」とコメントしており、血統的にも湿った重たい馬場よりは高速の良馬場の方が向くイメージ
4歳
【6】中山1800m2勝クラス(稍重):2着:6ヶ月半:ミナリク
・陣営は前走の敗戦について「前回は不良馬場と輸送が影響したのかも」とコメント、追い切りはW主体から最終は坂路で、全体的に時計は遅めで2週前には併せ馬で遅れていた、最終の坂路は単走、休み明けで馬体は+10kgしていた
・レースは小雨の降る稍重の中38.2 – 63.3 – 35.8で、序盤はスローの展開から残り3Fから0.5加速すると12.0 – 11.6 – 12.2というラップ
・中枠からスタートすると出て行って好位の3番手を追走した、勝負所では残り700mから外から各馬がポジション押し上げてきたが、本馬はインの2、3番手で押し込められてポジションを押し上げられない位置だったことで動けず、好位のインのまま直線へ、各馬が馬場の良いところを求めて外目を走る中本場は内目から抜け出した、上がり3位を使ったが外の馬に差されての2着
【7】中山1800m2勝クラス:2着:1ヶ月半:ミナリク
・追い切りはW主体の週末に坂路での調整で、休み明けの前走よりは全体時計が出されていた、ハンデ56kg
・レースは37.2 – 61.8 – 34.7で、序盤スローの展開から残り5Fから0.6加速すると12.0 – 11.6 – 11.5 – 11.4 – 11.8と伸びる高速ロングスパート戦
・中枠からスタートすると出て行って好位のインコースを追走した、道中もしっかり折り合って追走できていた、勝負所では残り800m過ぎから馬群が加速したのについていくと残り600過ぎからは外目にスイッチされて好位の外目から直線へ、じわじわと伸びていたが一瞬でキレた勝ち馬には及ばずの2着
・末脚はキレるというよりはあまり減速しないような伸びで、高速上がり戦よりはタフ気味になって上がりがかかる展開により適性がありそう
【8】東京1800m2勝クラス:1着:2ヶ月:レーン
・陣営は「中山を目標も覇気がなくて延期」とコメント、追い切りはW主体で併せ馬も行われていたが、1週前には併せ遅れていた
・レースは37.0 – 61.8 – 34.3で、序盤スローの展開から残り3Fから0.7加速すると11.2 – 11.4 – 11.7とゴールへ失速するラップで、直線は砂嵐が舞うほどの向かい風が吹いていた
・10頭立ての大外10番枠からスタートすると枠なりに中団前目の外を追走した、勝負所では馬群の加速に合わせていってそのまま好位の外目から直線へ進入、直線では長く脚を使って上がり2位で抜け出して優勝、向かい風の影響で極端な上がり勝負にならなかったのも向いたか
【9】東京2000m3勝クラス:1着:7ヶ月:松山
・陣営は「立て直しに時間がかかり、帰厩が遅れた、勝ち負けはどうかも、いい競馬はできる」とコメントしていた、追い切りはW主体で1週前には自己ベスト5F66.4 – 12.2が出されていた、最終は単走で軽め、ハンデ55kg
・レースは37.3 – 62.5 – 34.2で、終始スローの展開で進めるとラスト3Fは11.7 – 11.2 – 11.3と加速が残り2Fからとなったことでラスト1Fも伸び切る展開
・外目の枠からスタートすると出ていって好位の外目を追走した、道中は馬場が白く禿げたインコースを避けるように外目を追走させていた、勝負所ではインコースからポジション上げる馬もおり、外目にこだわった本馬は若干ポジションを下げて中団前目の外から直線へ、直線では長くラストまで脚を使って上がり2位で抜け出して優勝
・休み明けの中で調教で自己ベストが出されており、その中で得意ではない高速上がり気味のレースでも結果を出した、大幅にではないがパフォーマンスが一段上がっている
5歳
【10】中山金杯:1着:1ヶ月:松山
・追い切りはW主体で当週には自己ベストの5F65.1 – 12.7が出されていた、ハンデ54kg
・レースは37.0 – 62.0 – 35.0で、序盤スローの展開から残り5Fから0.5加速すると12.1 – 11.8 – 11.5 – 11.3 – 12.2とそこから徐々に加速する高速ロングスパート戦
・中枠からスタートすると出ていって中団前目の馬群を追走した、道中はかなり囲まれた中でペースが落ち着いたことで若干頭上げ気味な部分も見られた、勝負所では外目にスイッチされて残り600m過ぎから外から進出を開始した、中団の外目から直線へ進入すると上がり2位でラストまで伸びて内から伸びてきた馬を凌いで優勝
【11】中山記念:1着:1ヶ月半:松山
・追い切りはW主体でそこまで速い時計は出されていなかったが本数が多く乗られ併せ馬も行われていた
・レースは34.9 – 57.8 – 35.3で、前半11.5以下が続く持続的な展開から、ラスト4Fは11.8 – 11.7 – 11.5 – 12.1と加速が少ない展開のスピード持続レース
・中枠からスタートするとスムーズに出て行って中団の前目で単独4番手を追走した、勝負所では残り700m付近から徐々に促され加速すると、前から2列目内から3頭目で直線へ、直線でも持続的に伸ばすと上がり最速で優勝
・未勝利戦を除けばキャリア初の上がり最速で、それを1000m通過57.8のハイペース持続スピードレースで出していることからも、ゆったりからの瞬発力勝負よりもスピードを持続するレースに適性があることがわかる
【12】天皇賞秋:5着:8ヶ月:松山
・陣営は「追い切ると回復までに時間がかかるサイクルがずっと続いているが」とコメントしていた、追い切りはW主体で自己ベストからは2秒ほど遅いがそこそこの時計(5F67.2 – 11.5)が出されていた
・レースは雨が止んだ後の良馬場の中36.2 – 60.5 – 33.6で、序盤GⅠとしてはスローの展開から残り3Fから0.7加速すると11.1 – 11.1 – 11.4と伸びる高速上がり戦
・外枠からスタートすると枠なりに中団前目の外を追走した、道中もしっかり折り合って自分の内前に勝ち馬を見る位置を追走した、直線へは前に勝ち馬、内に2着馬がいる位置で中団外目から進入したが残り400 – 200mの1Fで一気に突き放されて、ラストは脚を使ってはいたが5着まで
・GⅠを複数勝つような格上馬を相手に苦手な上がり勝負では分が悪かった
【13】香港C(シャティン2000m):2着:1ヶ月半:モレイラ
・大外12番枠からスタートすると控えて後方を追走した、勝負所では後方の位置取りのまま残り700m手前から追い出しを開始されると加速して後方の大外から直線へ、長く脚を使える強みを生かしてラストまで脚を伸ばしたが、終始内目で脚を溜めていたラヴズオンリーユーに内から差し切られての2着
6歳
【14】大阪杯:4着:3ヶ月半:池添
・初の関西遠征で陣営は「トモは昨秋よりも良くなったが、中山記念当時よりは1段階落ちる感じ、(中略)初の関西圏への輸送をクリアできれば」とコメントしていた、追い切りはW主体で週末に坂路での調整で、最終追い切りは【9】戦目の3勝クラス以来の単走で行われていた
・レースは雨の降る中での良馬場で34.6 – 58.8 – 35.8で、前半飛ばし気味の展開から道中は12.1付近が続く持続的なラップ、勝負所では残り4Fから0.4加速すると11.7 – 11.5 – 11.8 – 12.5とラストはゴールへ失速する4F戦、馬場は幾分荒れていて多少パワーが必要な状態に見えた
・中枠からスタートすると出ていって、先団6頭から2馬身ほど離れた中団馬群の先頭を追走した、勝負所では残り900m付近から促され始めると残り700m付近からは外にスイッチされて進出を開始した、中団の外目から直線に進入すると上がり3位で伸びたが内から伸びた馬を飲み込めるほどではなく4着まで
・レース後鞍上は「(中略)返し馬から緩い感じがしました。良化途上の感があり、右トモが入ってこない感じでした、内にモタレながら走っていました(中略)」とコメントしており、状態はまだまだ良化途上だった
【15】宝塚記念:2着:3ヶ月:レーン
・3ヶ月の間隔が空いていたが在厩で調整されていた、追い切りはW主体で4度も鞍上のレーンが乗って調整されておりかなりの本気度がうかがえた
・レースはパンサラッサが序盤から飛ばして33.9 – 57.6 – 36.3で、ラスト4Fは11.8 – 11.9 – 12.0 – 12.4と徐々にゴールへ失速する展開
・中枠からスタートすると出ていって内へ寄せて中団前目のインコースを追走した、勝負所では徐々に馬群が加速したが内目で軽い手応えのまま回ってくると中団前目の馬群から直線へ、直線では良く脚を伸ばして上がり最速を使ったが番手から抜け出した勝ち馬には及ばずの2着
・中山記念に続きハイペース持続ラップで上がり最速を使っての好走
結論(再掲)
■4歳以降複数回長期の休養を挟んでおり、休み明けでも【9】戦目の3勝クラスなど結果を出してはいるが、この時も中山金杯→中山記念とパフォーマンスを上げているように見え、その後も天皇賞秋5着→香港C2着、大阪杯4着→宝塚記念2着と叩いてからの方が好成績で、全く動けないわけではないが、どちらかと言えば休み明けよりも叩いてから狙いたい印象
■新馬戦を除くと上がり最速を使ったのは【11】戦目中山記念、【15】戦目宝塚記念の2度で、いずれも1000m通過が58秒を切るようなハイペース持続ラップだったように、本馬の末脚はキレるというよりは持続的な印象で、スローからの上がり勝負より、ラストはゴールへ失速するラップになるような持続的な展開に向いている
■今年の中山記念は本馬が勝利した年ほどペースが流れるかはわからないがリピーターというだけで最低でも紐には持っておきたく、休み明けで本番は次走のGⅠだろうことを考えると幾分割引きたい、印はふる
Gregory