有馬記念を回顧する。天皇賞秋から連敗となり、今年のマイナス収支が事実上確定してしまいました。個人的には2年振りのマイナス収支でかなり悔しいですが、回顧・反省し、来年の好成績につなげたいと思います。
予想・買い目・結果
【予想印】
◎13タイトルホルダー
○10ジャスティンパレス
▲9イクイノックス
△5ジェラルディーナ
△16ディープボンド
△3ボルドグフーシュ
△7エフフォーリア
【買い目】
(ワイド)
10 – 13 38000
(3連複)
3 – 9 – 13 3000
5 – 9 – 13 25000
7 – 9 – 13 2500
9 – 10 – 13 8000
9 – 13 – 16 3500
計 80000
【結果】
1着:▲9イクイノックス
2着:△3ボルドグフーシュ
3着:△5ジェラルディーナ
◎本命○対抗が馬券に絡まず、◎本命を馬券圏内の軸に据えた買い方で不的中。
回顧
戦前、予想・買い目(こちら)の中で、単騎逃げ濃厚なタイトルホルダーの刻むペースを考えると、参考としたい過去レースは2016年(勝ち馬:サトノダイヤモンド)で、この年の展開で好走できそうな馬を評価したいと考えていた。
結果が出た今、2016年のペース、予想ペース、実際のペースをそれぞれ並べる。
2016年:
30.1 – 61.0 – 35.9:勝ち時計 2:32.6
予想:
30.4 – 60.5 – 36.0:勝ち時計 –
2022年:
30.0 – 61.2 – 35.9:勝ち時計 2:32.4
実際のペースは、予想したより5F通過が0.7遅くなったが、それにより2016年にさらに近いラップとなっており、2Fごとのラップも見比べると、
2016年:〜1500m
6.8 – 11.3 – 12.0 – 11.9 – 12.1 – 13.4 – 12.8 – 12.9:(1:33.2)
2022年:〜1500m
7.0 – 11.3 – 11.7 – 12.1 – 12.5 – 13.1 – 12.7 – 12.4:(1:32.8)
と、幾分今年の方が早いが、やはり酷似したラップ構成となっている。
しかし、馬券圏内に好走した馬のコーナー通過順位を見ると、
2016年:
1着:4 – 3 – 3 – 3
2着:2 – 2 – 2 – 2
3着:3 – 3 – 3 – 3
2022年:
1着:8 – 9 – 6 – 3
2着:14 – 14 – 15 – 6
3着:14 – 14 – 11 – 12
と、先行および好位の馬で決まった2016年と異なり、2022年は道中で二桁番手の馬が2頭差し込む完全な差し競馬になっている。
今回の敗因はこの点を読み違えたのが全てで、実際過去レース分析の結論にも以下のように記載していた。
■上記のように先行馬に向くのか、差し馬に向くのか、この点を見極めることが的中するための最重要ポイントと言っても過言ではない、枠の並びや騎手・陣営の考えなど包括的に考えた上で展開を予想したい
まさに、最重要ポイントを抑えられなかった形。
この先行有利になるか、差し有利になるかを見極めるポイントとして、今回はペースを取り上げ、以下のように記載していた。
■2017年(や、分析対象としていないが2016年)のように5F通過が61秒ほどかかるようなスローの展開になると勝負所で外を回るロスは大きく、道中内を追走した馬・先行馬に展開が向く、一方で、道悪の2018年、かなり時計のかかる馬場だった2020年、ハイペース寄りだった2019年、2021年のような上がりが36秒台以上かかる年は上がりがかかる展開の中末脚を伸ばせる適性があれば先行馬が苦しいのも相まって勝負所で外を周っても差し込める
■上がりが36.5以上かかった2018〜2021年では、上がり最速馬が(2-2-0-0)とパーフェクト連対しており、同じ展開になると見れば上がりのかかるタフな展開の中で上がり最速を使える馬を探すレースとなる(ただし、いずれも2018年道悪、2019年アエロリット、2020年超時計のかかる馬場、2021年パンサラッサと上がりがかかる理由があった点は注意)
今年は、5F通過が61.2で上がりが36.0だったにも関わらずの超差し競馬、この原因は、全馬が逃げ馬タイトルホルダーを意識したことによる、ラップに現れない前がかりな(先行馬への負荷が高い)競馬だったと考察する。
以下、2016年と2022年のパトロールビデオを並べて見ながら、ラップに現れない要素を読み解いていきたい。
以下はスタンド前を通過後、1角に入る直前の残り1600m地点で、左が2022年、右が2016年である(以後同様)。
逃げ馬の刻んだラップは酷似しているが、2016年は逃げたマルターズアポジーから5馬身ほど空いて2番手キタサンブラック、さらに2馬身空いて3番手以下、という隊列なのに対し、2022年は逃げたタイトルホルダーから3馬身ほど空いて2番手以下の馬群が続いているように、逃げ馬と馬群の距離が近く、馬群全体をみても2022年の方が詰まった隊列となっている。
上記の残り1600m地点程度のプレッシャーであれば、完全なる差し競馬となるには足りない気がするが、お次は2角を過ぎてここから先ペースアップしていく残り1100m地点。
2016年は先頭マルターズアポジー、2番手キタサンブラック、3番手は内にゴールドアクター、外サトノダイヤモンド、、、と前から馬群を見ていくとまだまだ逃げの形になっている。しかし、2022年は逃げたタイトルホルダーにすでに外からブレークアップとディープボンドが並びかけている。逃げたタイトルホルダーは自分の形に持ち込んだかのようなラップ構成で逃げていたが、これからペースアップするこの地点でこれだけ並びかけられているとなると、自分の好きなように逃げて、好きなようにスパートを開始する競馬はできていない。追加で3角の残り800m地点も載せておくが、2016年より馬群が詰まってマルターズアポジーと比べると、やはりタイトルホルダーの受けているプレッシャーはかなりキツそう。
以下は、その後の残り700m地点、さすがは王者タイトルホルダー、ここから2番手以下を離しにかかっているが、ラップを見る限り残り400m地点で力尽きている。
その結果、4角から直線での馬券圏内馬の位置は2016年と2022年で以下のように大きく異なっていた。2016年は内×前、2022年は外(1.2着)および後方(3着)。この点を読み違えていては、まず、ラッキー以外では馬券は的中しない。
以下、重い印を打った馬を短文で振り返る。
◎タイトルホルダーは、上記で記載のように全馬に意識され、先行馬からプレッシャーを受けた競馬で、差し競馬になったことを考えれば展開があまりにも向いておらず、今後も買える、まだまだ見直せると考えている。また、レース後陣営は「天皇賞や宝塚記念の時よりゲートの出がにぶいように感じました。直線で、手前も替え切れていません。そのあたりが少し響いたのかもしれません。」とコメントしており、凱旋門賞の疲れが抜けきっていない状態であった可能性が高い。
○ジャスティンパレスは、想定した通り、タイトルホルダーのすぐ後ろでベストポジションと考えていたインの好位を確保する、私にとっては完璧な騎乗。こちらも差し競馬になったことを考えれば展開は向いておらず、スタート後に押して出していってポジションを確保しても道中折り合える操縦性の高さと神戸新聞杯、菊花賞で見せた末脚から、長距離よりのタフ目な展開で狙いたい。
▲イクイノックスは、道中終始外目をまわる競馬で、距離こそロスしていたが展開は向いており、勝負所から直線では素晴らしい伸びを見せた。天皇賞秋と有馬記念はともに展開が向いていたと考えるが、それを加味しても、「今後この馬を嫌って美味しい思いができるタイミングは来るのだろうか、、、」と考えてしまうほど、純粋に強かった。今後は、圧倒的に信頼して馬券を購入することも検討する必要があるか。
△ジェラルディーナは、出遅れで後方になったことで差し競馬の展開が向き、内枠だったことで距離のロスも省けての好走。
△ディープボンドは、枠と展開が向かなかった形。
△ボルドグフーシュは、枠と展開が向いた形。このメンバーで上がり最速を使えていることは評価し、今後の狙えるタイミングを待ちたい。
△エフフォーリアは、やはり大阪杯、宝塚記念より素晴らしい競馬だった。返し馬の際には手綱を動かして気合いを入れられ、ブリンカーも相まってか追走もしっかりでき、直線も伸びて掲示板を確保。馬体が大きくなってきている今回の状態を見ると、数回叩いて気持ちも体も出来上がってきたタイミングで買いたい印象。
反省
ここまで書いてきたように全ての敗因は天皇賞秋同様、展開・レース質の読み違えである。競馬はこの部分が一番難しい。ジョッキーも度々「こればっかりはゲートが開いてみないとわからない」とコメントしている。私としても、「これは運の要素が大きいよね」と投げ捨ててしまえばそれまでだが、いつまでも「どうすれば予想の精度を上げられるかの努力」をし続け、回収率の向上に繋げていきたい。
今回ピックアップしておきたかったのは、カンテレのYouTube福永先生でも語られていたよう、「普通にやれば展開が一番向くのはタイトルホルダーだが、そんなことは乗っているジョッキーみんながわかっている」という点。2016年に酷似する展開になるとの見解まではバッチリと当てられている。今後は、ペースを考えて似た過去レースを探すだけではなく、「今年のメンバーだから考えられる要素はあるか?」と自分に問い続けていきたい。
Gregory