天皇賞秋の各馬分析11頭目はタスティエーラ。
結論に買い・消しなどの大方の見解とその根拠などを記載しているため、簡単には結論を見ていただければ十分かと思います。
天皇賞秋の過去レース分析とそれから得られた分析結論(レース傾向など)についてはこちらから。
基本情報(馬名:馬齢:血統(父×母父):前走:鞍上)
タスティエーラ:牡4歳:サトノクラウン×マンハッタンカフェ:前走天皇賞春4人気7着:松山
結論
■序盤で出して行っても折り合える気性が故にポジションを取りにいけることや好位からでも伸ばせてある程度早い上がりにも持続力で対応できることが強みで、差し脚比べになる高速上がり戦よりは先行力を活かせる小回りや、スローの縦長隊列などに適性がある
■近2走後のジョッキーコメントでは、大阪杯で「これだけ負ける馬では無いですし、何も無ければいいと思います」、天皇賞春で「いい展開と思ったけど、直線に入って伸びなかったです」とそれぞれコメントされており、一言で言えば不可解な負けをしている、同馬主のエフフォーリアに似たパターンで、この手の馬を戻すのはそう容易ではない
■スローからの瞬発力勝負でも、持続展開でマイル質になっても天皇賞秋が向くとは思えず、基本はポジションが取れた方が良い本馬にとっては距離短縮で高速東京に挑むのはマイナスのローテである、近2走は大阪杯では飼葉を8割残す、天皇賞春では道中ややひっかかるなど、挙げられる敗因もあるが、未だ真の敗因がメンタルだった可能性は否めない、適性からも過程からもここは静観、消しで
全レース分析
2歳
【1】東京1800m新馬:1着:ムーア
・追い切りはW主体週末に坂路での調整で、一番速いのは1週前の6F84.6 – 66.5 – 11.3での併せ併入
・レースは36.8 – 61.3 – 33.5の後傾3.3で序盤スローで進めるとラストは残り3Fから1.2加速して11.2 – 11.1 – 11.2と伸びる高速上がりが求められる展開
・外枠からスタートすると促されて出て行って折り合って逃げ馬と並ぶような形の2番手外目を追走した、勝負所では残り3F手前から促されると一瞬で加速するような脚ではなかったが上がり2位を使って後続を離して優勝
・血統からもキレる脚よりは長く良い脚を使えるタイプの可能性が高い
3歳
【2】共同通信杯:4着:2ヶ月半:福永
・陣営は「引き続き胃薬を投与しているが」とコメントしており内臓系に多少の問題がありそう、追い切りは新馬と同じパターンで毎週併せ馬、1週前には自己ベスト6F81.3 – 65.7 – 11.9が出されていた
・レースは35.3 – 60.5 – 34.1の後傾1.2で、序盤はミドルからややスローの展開で進めると残り3Fから1.1加速して11.3 – 11.3 – 11.5と伸びる展開
・中枠からスタートすると初戦よりやや行きたがるのを抑えられながら中団の外目を追走した、勝負所では残り3F手前から促されると中団の外目から直線へ進入、直線では上がり2位の脚で伸ばすも前の組を交わせず4着まで
・ここでも直線での伸び脚は徐々に前との差を詰めるような形だった
【3】弥生賞:1着:中3週:松山
・中3週ということもあり、これまでの2戦と比較して速い時計は出されておらず、最終では併せ馬で遅れていた、レース前コメントで陣営は「強めに攻めたい馬が追走する形で先頭を走らせて(後略)」と語っていた
・レースは35.9 – 61.0 – 35.0の後傾0.9で、序盤スローで進めるとラストは残り3Fから0.5加速して11.6 – 11.5 – 11.9と伸びる先行有利な展開
・中枠からスタートすると出て行って1角までに外へ切り返して好位の外を追走した、中3週でスローペースだったが道中はしっかり折り合えていた、勝負所では残り4F過ぎから促されて加速して前との差を詰めて2列目の内から3頭目になって直線へ、直線では抜け出してラストまで脚を使うと後続を抑えて優勝、スローでも上がりが速すぎない条件は良い
【4】皐月賞(重):2着:1ヶ月半:松山
・追い切りは2週前に自己ベスト6F81.2 – 64.7 – 11.2が出され、当週にも6F81.5 – 66.2 – 11.5が出されていた、併せ馬ではしっかり先着
・レースは重馬場の中35.1 – 58.5 – 37.2の前傾2.1で、序盤重馬場としてはかなりのハイペースで進めるとラスト4Fは12.5 – 12.7 – 12.5 – 12.0とラストは差しと先行が入れ替わって加速するラップ
・外枠からスタートすると出て行って好位の外を追走した、向正面でも前が飛ばしていたことで3角では中団の外になった、勝負所では3角手前から少しづつ動かしていくと残り500mから本格的に追い出しを開始されてかなり外目から直線へ、直線では上がり3位の脚で抜け出したが外から完全に展開利あるソールオリエンスが飛んできて差し切られての2着
・本馬以外は実に9着までが1角9番手以下の馬だった完全な差し決着の中、唯一1角5番手から2着しており、力があるところを示した
【5】日本ダービー:1着:1ヶ月半:レーン
・追い切りは休み明けの共同通信杯から4戦目ということも考慮されてか速い時計こそ出されていなかったものの、終いはしっかり伸ばされて併せ馬も先着できていた
・レースは35.3 – 60.4 – 35.3の前後傾フラットで、序盤ミドルペースで進めると勝負所では残り4Fから0.5加速して11.9 – 11.6 – 11.9 – 11.8とラストまで11秒台が刻まれる展開で、逃げ馬が1頭飛ばした影響で2番手以下はラップ以上にスローな展開だった
・外目の枠からスタートすると馬なりで出て行って中団前目の外を追走した、勝負所でもしっかり手綱を抱えられながら好位外を追走すると残り3F手前から促され、好位の内から3頭目付近から直線へ、直線ではこれまでより反応良く伸びて残り200mで先頭に立つと後続の追撃を凌いで優勝
・スローな中で好位にいられた展開利はあったものの、ラストは反応良く伸びており休み明けがダメな証左はないが、叩いても走れるところは確認できた
【6】菊花賞:2着:5ヶ月:モレイラ
・陣営は前2戦について「皐月賞は抜け出してソラを使っていたが、前走(日本ダービー)は周りに馬がいて集中して走れた」とコメントしていた、初の関西遠征だったが追い切りは1週前に自己ベスト6F80.5 – 64.5 – 11.2が出され、当週も5F65.4 – 11.7と速めの時計だった
・レースは35.5 – 60.4 – 124.5 – 34.9の後傾0.6で、前半はミドル、中盤はスローで進めた後、残り4Fから0.5加速して11.6 – 11.7 – 11.4 – 11.8とラストまで伸びる展開
・中枠内目からスタートするとインにはこだわらず中団の馬群を追走した、向正面でも外へ外へ誘導されて3角では中団後方の外目の位置取り、勝負所では残り900m付近から徐々に加速していくとソールオリエンスに締められた影響もあって大きく外には行かず、中団の馬群になって直線へ、上がり2位の脚で伸びたが自身より内前から上がり最速で伸びた勝ち馬には3馬身半離されての2着
・まずは3000mを持たせるためにガッチリ折り合いをつける騎乗で、ラスト800mに賭ける競馬、しっかり折り合いがつくのでどのあたりのポジションで進めるかは鞍上の意思が反映されるタイプの馬
【7】有馬記念:6着:2ヶ月:ムーア
・追い切りはいつものパターンでWで5F65秒台の時計が3週続けて出され、毎週併せ馬での調整、陣営は「菊花賞の前よりもカイ食いが良く、力強さが出てきた、前走より馬体増での出走となりそうだが、調教の量、質ともに十分で問題はない」とコメントしており、当日は+18kgで過去最高馬体重
・レースは30.2 – 60.4 – 35.9で、タイトルホルダーが1角付近から2番手を4馬身ほど離して後続はスローの展開、勝負所ではタイトルホルダーのラップは大きく加速していないにも関わらず後続との差は詰まらず、すなわち2番手以下も加速しておらず4角で好位にいた馬に向いた展開
・外枠からスタートすると二の脚が遅く、押して出して行ったが枠なりに中団の馬群を追走した、道中は落ち着いて追走していた、勝負所では馬群の位置取りだったことで自由に動けず、残り3F過ぎからしっかり促されると中団後方馬群の外目になって直線へ、直線では手応えあったものの外から伸びた馬にヨレられて挟まれる不利で急ブレーキ、その後もしっかり伸びていたが3着から0.3秒差の6着
・直線の進路取りがスムーズであれば0.2〜0.3秒程度は詰められていたか、3000mを折り合い重視で走った後だった影響か行き脚が良くなかった
4歳
【8】大阪杯:11着:3ヶ月:松山
・追い切りはW主体で週末坂路での調整で、1週前には自己ベスト80.6 – 63.7 – 10.9が出されていた
・レースは開催12日目Bコース初週の馬場の中35.8 – 60.2 – 35.0の後傾0.8で、序盤はスローペースで進めると途中向正面でまくった馬の影響で残り6Fから0.8加速して11.8 – 11.5 – 11.5 – 11.4 – 11.4 – 12.2とラストまで伸びるロングスパート戦
・内枠からスタートすると弱気な出していき方で好位のインを追走した、道中は終始最内を追走し、しっかり折り合いの中だった、勝負所では残り900m付近から徐々に促していくと好位のインから少し外に出されるようにして直線へ、直線では残り200m付近まではまわりと同程度の脚で伸びていたが、ラストは伸び負けて11着敗戦
・レース後鞍上は「これだけ負ける馬では無いですし、何も無ければいいと思います」とコメントしていた
【9】天皇賞春:7着:1ヶ月:モレイラ
・陣営は前走について「はっきりした敗因は分からないけど、輸送後のカイ食いが悪くて8割残していた」とコメントしていた、追い切りは1週前がW、当週は坂路での調整
・レースは開催2週目の馬場の中36.6 – 59.7 – 121.7 – 35.3の後傾1.3で、道中600-1200mでは11.5 – 11.6 – 11.5と速めのラップが入ったが、その後残り4Fまでは12秒中盤から後半が続く息の入る展開、ラストは残り4Fから0.9加速すると11.9 – 11.7 – 11.6 – 12.0とラストまで失速しきらずに伸びる展開で、前にも楽な展開ではなかったか1-5着のうち3頭が4角10番手以下の差し馬だった
・内目の枠からスタートするとやや行きたがるのを抑えられて中団の馬群を追走した、道中もこれまでと比較すると手綱と喧嘩している様子だった、ホームストレッチでは進路を内に切り替えられ中団のインになっており、2週目の1角からはしっかりと折り合えていた、勝負所では最内の位置取りのまま残り700m付近から促されると4角インアウトで中団のやや外目に出されて直線へ、直線ではじわじわと差を詰めて伸びていたが、前を飲み込めるほどではなく7着まで
・レース後鞍上は「いい展開と思ったけど、直線に入って伸びなかったです」とコメントしていた
結論(再掲)
■序盤で出して行っても折り合える気性が故にポジションを取りにいけることや好位からでも伸ばせてある程度早い上がりにも持続力で対応できることが強みで、差し脚比べになる高速上がり戦よりは先行力を活かせる小回りや、スローの縦長隊列などに適性がある
■近2走後のジョッキーコメントでは、大阪杯で「これだけ負ける馬では無いですし、何も無ければいいと思います」、天皇賞春で「いい展開と思ったけど、直線に入って伸びなかったです」とそれぞれコメントされており、一言で言えば不可解な負けをしている、同馬主のエフフォーリアに似たパターンで、この手の馬を戻すのはそう容易ではない
■スローからの瞬発力勝負でも、持続展開でマイル質になっても天皇賞秋が向くとは思えず、基本はポジションが取れた方が良い本馬にとっては距離短縮で高速東京に挑むのはマイナスのローテである、近2走は大阪杯では飼葉を8割残す、天皇賞春では道中ややひっかかるなど、挙げられる敗因もあるが、未だ真の敗因がメンタルだった可能性は否めない、適性からも過程からもここは静観、消しで
Gregory