天皇賞秋の各馬分析 1頭目はジャックドール。前回の札幌記念時にも書いたのですが、なんだかんだ1度もお金に変えられていない馬です。馬のキャラは分かっているつもりなものの、展開が予想と違ったり、相手が抜けたりで負けているので、この辺り含めて慎重に精査して的中に繋げます。
結論に買い・消しなどの大方の見解とその根拠などを記載しているため、簡単には結論を見ていただければ十分かと思います。
天皇賞秋の過去レース分析とそれから得られた分析結論(レース傾向など)についてはこちらから。
基本情報(馬名：馬齢：血統(父×母父)：前走：鞍上)
ジャックドール：牡5歳：モーリス×米国型：前走札幌記念1人気6着：藤岡佑
結論
■1勝クラスから金鯱賞の5連勝は、残り3Fからギアチェンジして加速する二枚腰を使った競馬での完勝だったが、連勝時と同じ左回り2000mだった天皇賞秋では上がり勝負になったことで上位の上がりの馬に抗えず差し込まれてしまった、これらトップ級と渡り合うには超高速上がり勝負にならない条件でこそか
■タフ寄りな競馬になった大阪杯2022、札幌記念2022でも自身のパフォーマンスは出しているところから、向かない展開でもある程度の実力は出せるタイプと見ており、大阪杯では他の先行馬につつかれて鞍上が素直にムキな逃げを打ったことが大きなマイナスだった
■休み明けだった昨年の札幌記念や大阪杯2023でも好走しており、休み明けでもパフォーマンスは出せるタイプ
■前走の札幌記念では道悪でレース上がりが36.4かかるタフな競馬をしており状態は注視が必要
■スローの上がり勝負になるか、後半ロングスパートで相対的に差しづらい展開になるかは他に逃げ馬がいなければ本馬次第な部分もあり、武豊がドウデュースに乗る今回は誰が鞍上になるかはレース全体の大きなポイント
■昨年の天皇賞秋のようにスローな展開では上位の上がりを使う組に抗えないため、理想は大阪杯のように後半ロングスパートをかける展開だが、本質的に差しにくい大阪杯での前半窮屈な競馬になったスターズオンアースとの着差を見ると、東京2000mでは逆転されると見るのが妥当にも思える、昨年の本レースの結果からここは買える舞台ではあるが、評価は展開、鞍上、相手を考えて総合的に判断したい
全レース分析
2歳
【1】中山2000m新馬：2着：斎藤新
・追い切りは坂路乗り込みから最終CWで併せ先着
・レースは38.5 – 64.9 – 35.5で残り5Fから0.5、3Fから0.5加速する展開
・外枠からスタートすると先行して内に寄せて行き先行馬群を折り合って追走、残り2Fから外目に出されると幾分膨れながら直線へ、上がり2位を使うもさらに外から差し切られて2着
【2】阪神2000m未勝利：2着：中2週：藤岡佑
・追い切りは初戦と同様も最終追い切りではCW5F64.4-12.5と終い若干垂れて併せ遅れていた
・レースは36.4 – 61.5 – 35.4で残り4Fから0.9加速する内回り特有の高速4F戦(スローな展開から4Fから加速)
・内枠からスタートすると年末で内側が禿げたような芝だったこともあってかインにはこだわらず3番手外を追走、勝負所前に並びかけていくと1列目内から5頭目で直線へ、上がり3位でまとめるも一列後ろにいた勝ち馬に差されての2着
3歳
【3】阪神2000m未勝利：1着：4ヶ月：藤岡佑
・追い切りは同様
・レースは37.3 – 61.7 – 34.8で前走同様4Fから0.8加速する4F戦
・外目の枠からスタートすると2番手外を追走した、残り6F付近で逃げ馬を交わしてハナを叩くとそのまま逃げて行き直線上がり最速で突き放して優勝、休みを挟んでここでは力が違った
【4】プリンシパルS(L)：5着：中1週：三浦
・追い切りはCW単走馬なりが1本、「未勝利の勝ちっぷりがよかったからあわよくばダービー」というローテの組み方
・レースは35.7 – 60.3 – 34.0で4Fから0.6、1.1と加速して最後は11.1 – 11.2 – 11.7と失速する展開
・最内枠からスタートするとはじめてスタートからの逃げの競馬をした、直線に入っても垂れずに踏ん張ったが4頭に交わされての5着
・中1週で輸送を挟むローテではこの時期の3歳馬にはこたえたか
【5】中京2000m1勝クラス：1着：間隔4ヶ月：藤岡佑
・追い切りは坂路⇨最終CWは同様も最終CWが5F67.6併せ先着と緩めの時計、馬体は+16kgしていた
・レースは36.6 – 60.7 – 34.7で途中まくった馬がおり800-1000mが11.6になったがラストが11.4 – 11.4 – 11.9とタフにはなっていない
・内枠からスタートすると2番手外を追走、直線入り口で先頭に立つと上がり最速で突き放して優勝
【6】中京2000m2勝クラス：1着：中2週：藤岡佑
・追い切りは前走同様最終のCWが軽めで先着、陣営からは前走について「成長分を見込んでも余裕があった」とコメント
・レースは8頭立てで38.6 – 64.3 – 33.2で、ドスローの展開から残り4Fから0.6加速すると11.7 – 11.1 – 10.8 – 11.3と伸びる高速上がり戦
・外目7番枠からスタートすると単独でマイペースな逃げ、直線は上がり2位でゴールまで離し続けて圧勝
【7】東京2000m3勝クラス：1着：2ヶ月：藤岡佑
・追い切りはほとんど同様も最終CWはプリンシパルS以来の単走、5F66.1 – 13.0と終いがかかっていた
・レースは35.9 – 59.9 – 34.3で残り3Fまでは概ね12.0平均で進めてそこから0.9加速して11.0 – 11.3 – 12.0
・外枠発走も出脚の違いで瞬時にハナへ、直線も逃げて上がり最速を使っての圧勝
・【5】【6】【7】戦目の3連勝は3歳で斤量2kg減であった
4歳
【8】白富士S(L)：1着：2ヶ月：藤岡佑
・追い切りは坂路の後、初めて1週前当週と2週続けてCWで、5F64.8 – 11.1、66.3 – 10.9と終いまで伸びられるという点で明確に追い切り内容が変わっていた、陣営は前走について「まだ良化途上だったが」とコメント
・レースは35.9 – 59.4 – 34.7で道中11.8以下が続く持続的なラップから残り3Fから0.6加速して10.9 – 11.4 – 12.4とゴールへ失速するラップ
・内目の枠からスタートするとここも飛び出してハナへ、前走より幾分早いペースで行ったが、直線はなかなかなかなか差が詰まらず1馬身半差で優勝
【9】金鯱賞：1着：1ヶ月半：藤岡佑
・追い切りは坂路からの最終CWで前走に引き続き終いまで伸びる追い切りで先着
・レースは開幕週で内有利な中京で35.7 – 59.3 – 34.6で残り3Fから0.6加速して11.0 – 11.3 – 12.3という展開
・内枠からスタートするとハナへ、いつも通り残り600-400mに最速ラップを持ってくると、直線も上がり3位でまとめて2馬身半差の優勝
・2着馬レイパパレはGⅠ実績で+2kgされ同斤56kgであった
【10】大阪杯：5着：中2週：藤岡佑
・追い切りは坂路軽めからCWで終いまで伸びる内容
・レースは34.6 – 58.8 – 35.8で、前半軽快に飛ばし、勝負所では残り4Fから加速する内回りの展開で上がりがかかった
・内枠からスタートするとこれまでより先行馬につつかれたことで200-400mで10.3を刻む早めの逃げ、内周りだったことで今までのように残り3Fからギアチェンジするラップを踏むことはできず、直線4頭に交わされての5着
・後の天皇賞時のコメントから本レースでは落鉄があった模様
【11】札幌記念：1着：4ヶ月半：藤岡佑
・追い切りは函館Wと芝の併用で、最終は芝で4Fから終い重点、陣営は「秋を見据えた仕上げだが」とコメント
・レースは重く時計かかり気味の良馬場の中、35.5 – 59.5 – 37.7で、道中は12.1付近が続く持続的な展開からラスト3Fは12.4 – 12.6 – 12.7と上がりかかる展開
・内枠からスタートすると無理に出していかず控えて、かつ、無理に内にも入れず先行の外を追走した、勝負所では残り3Fから前の馬を交わしに外目に出していき逃げ馬に並びかけて直線へ、脚を伸ばして逃げ粘るパンサラッサをクビ差交わして優勝
・最もパフォーマンスが出せるマイペース逃げから残り3Fからギアチェンジする展開ではなかったが、タフな展開になると見て無理してポジションを取りに行かなかった鞍上の好判断だった
【12】天皇賞秋：4着：2ヶ月：藤岡佑
・追い切りは坂路で調整からラスト2週はCWで1週前には自己ベスト6F79.7 – 64.0 – 11.5が出され併せ先着していた、最終は単走馬なりで終い重点
・レースはパンサラッサが飛ばす展開で34.7 – 57.4 – 36.7だったが、2番手以下は離れており目測で35.0 – 59.4 – 33.6程度、道中にしっかり緩んだことで上がり勝負の展開だった
・中枠外目からスタートすると出て行って先行の外を追走した、道中はスローとなった2番手以下のペースに合わせてしっかり折り合っていた、勝負所では残り700m付近から2番手との差を詰めていき並びかけたところから直線へ、持ち前のギアチェンジ能力で抜け出すと残り400mでは2番手(前には離れたパンサラッサ)に躍り出たが、ラストはパンサラッサを捕まえられず上位の上がりを使った3歳馬2頭に差されての4着
・持ち前のギアチェンジ能力で自身も上がりは33.5でまとめ、勝ち馬イクイノックスと0.3秒差なら評価できる内容ではあったが、上がり最速馬が32.7を使うスローな展開に対してアクションを起こさなかった時点で勝負ありだった
【13】香港C：7着：1ヶ月半：武豊
・内枠から出負け気味のスタートを切ると控えて中団のインを追走した、勝負所では残り800m付近から少しずつ前との差を詰めていくと、中団前目の最内から直線へ、直線では外目へスイッチされたが伸ばせず7着敗戦
・レース後には鞍上と陣営ともにゲートでイレ込んだとのコメントをしており、スタートが良くなかった点からもいつも通りの状態ではなかった可能性が高い
5歳
【14】大阪杯：1着：4ヶ月：武豊
・追い切りは坂路で調整からラスト2週がWで、より速い時計は最終追い切りで6F80.3 – 64.8 – 11.0が出されていた、休み明けで馬体は+11kgしていた
・レースは35.5 – 58.9 – 35.3で入りは良馬場のGⅠとしてはややスローだったが残り6Fから0.6加速して11.4 – 11.7 – 11.5 – 11.4 – 11.4 – 12.5と長い高速ロングスパート戦となった
・中枠からスタートすると出て行ってハナへ、向正面では特にプレッシャーなどかけられたわけではなかったが早めのペースで逃げていた、勝負所では残り500m付近から気合を入れられると先頭で直線へ、直線では最後まで脚を伸ばしラストはスターズオンアースに迫られたがハナ差凌いで優勝
・GⅠ級では瞬発力勝負では分が悪い中で得意の長い脚を使うために6Fからペースアップするラップを刻み、内回り×良好な馬場状態で差しに向かない展開も味方してのGⅠ制覇
【15】安田記念：5着：2ヶ月：武豊
・追い切りは前走と同パターンで速い時計は1週前に出されていた
・レースは34.2 – 57.6 – 33.8で序盤3Fを早めに入った所から600 – 1000mで11.8 – 11.6と緩んだ、ラストは残り3Fから0.5加速して11.1 – 11.2 – 11.5と伸びる高速上がり戦
・内枠からスタートすると出して行ったが外からの馬が速く控えて2番手を追走した、道中もスムーズに追走すると勝負所で前との差を少し詰めて1列目内から2頭目から直線へ、直線ではよく脚を伸ばして残り300mで先頭にたったがラスト100mで4頭に差し込まれて5着まで、自身も上がりは34.0でまとめていた
【16】札幌記念：6着：2ヶ月半：武豊
・追い切りは函館のWと芝の併用で速い時計は1週前に出されて併せ先着していた、当週は単走で時計は軽め
・レースは雨の影響が残ったタフな稍重の中35.5 – 60.4 – 36.4の前傾0.9で、ラストは残り3Fから0.5加速して12.0 – 12.0 – 12.4という展開
・内目の枠からスタートしたが外目に誘導され、前半から飛ばさんとする馬が数頭おり、2角付近では前の3頭から離れた4番手の外を単独で追走した、その後勝負所でも馬場の良いところを選ぼうと終始外目をまわして好位の大外から直線へ、直線では伸ばせず5着から離された6着まで
結論(再掲)
■1勝クラスから金鯱賞の5連勝は、残り3Fからギアチェンジして加速する二枚腰を使った競馬での完勝だったが、連勝時と同じ左回り2000mだった天皇賞秋では上がり勝負になったことで上位の上がりの馬に抗えず差し込まれてしまった、これらトップ級と渡り合うには超高速上がり勝負にならない条件でこそか
■タフ寄りな競馬になった大阪杯2022、札幌記念2022でも自身のパフォーマンスは出しているところから、向かない展開でもある程度の実力は出せるタイプと見ており、大阪杯では他の先行馬につつかれて鞍上が素直にムキな逃げを打ったことが大きなマイナスだった
■休み明けだった昨年の札幌記念や大阪杯2023でも好走しており、休み明けでもパフォーマンスは出せるタイプ
■前走の札幌記念では道悪でレース上がりが36.4かかるタフな競馬をしており状態は注視が必要
■スローの上がり勝負になるか、後半ロングスパートで相対的に差しづらい展開になるかは他に逃げ馬がいなければ本馬次第な部分もあり、武豊がドウデュースに乗る今回は誰が鞍上になるかはレース全体の大きなポイント
■昨年の天皇賞秋のようにスローな展開では上位の上がりを使う組に抗えないため、理想は大阪杯のように後半ロングスパートをかける展開だが、本質的に差しにくい大阪杯での前半窮屈な競馬になったスターズオンアースとの着差を見ると、東京2000mでは逆転されると見るのが妥当にも思える、昨年の本レースの結果からここは買える舞台ではあるが、評価は展開、鞍上、相手を考えて総合的に判断したい
Gregory
