有馬記念の各馬分析6頭目はジャスティンパレス。
結論に買い・消しなどの大方の見解とその根拠などを記載しているため、簡単には結論を見ていただければ十分かと思います。
有馬記念の過去レース分析とそれから得られた分析結論(レース傾向など)についてはこちらから。
基本情報(馬名:馬齢:血統(父×母父):前走:鞍上)
ジャスティンパレス:牡6歳:ディープ×米国型:前走ジャパンC5人気5着:◯◯
結論
■天皇賞春を優勝した頃の4歳時までは高い操縦性と長く使える脚を武器に主に長距離戦で強さを発揮していたが、5歳時の天皇賞秋以降はスタートや勝負所の反応において難しさを出すようになり、末脚の鋭さも一枚落ちるような形になったことで、常にゴールまで脚を伸ばしながらも差し遅れるような格好の競馬になっている
■また、元々飛びが大きいため小回りコースでのコーナーでの加速は苦手としていたが、5歳時の有馬記念以降は特に右回りのコーナリングで口向きが悪く顔を内へ向けるような形で加速しきれない様子を見せており、4歳時に有馬記念を4着した当時ともまた違った要因もあって右回りのコーナーで加速するのが苦手になっている
■折り合いや勝負所での反応においてこれまでより難しい面が多くはなっているものの、スタートに関しては陣営の努力の甲斐もあり近走は比較的出られるようになっている
■有馬記念にはこれまで3度出走しており、それぞれ
2022年:差し有利の展開で先行
2023年:先行有利の展開で差し
2024年:先行有利の展開で差し
と、展開のバイアスに逆行した形で凡走しており、今の本馬の状態を考えると、差し有利の展開で差しの競馬ができれば前進する要素はある
■上記のように、ハイペースの展開に乗じて差しにまわればラストの直線だけでも前に迫れる可能性はあるものの、勝負所での反応の鈍さに加えて右回りでのコーナリングが難しくなっている現状では重たい印は打ちづらい、基本的にはハイペースのパターンの3着あたりを警戒するような形としたく、3連系本線なら相手に検討
全レース分析
2歳
【1】中京2000m新馬:1着:ルメール
・追い切りはWと坂路の併用で併せ馬は盛んに行われていた、Wで速めの時計は1週前に出され82.4 – 66.5 – 11.9が一杯で出されていた
・レースは5頭立てで、38.2 – 63.2 – 34.4の後傾3.8で、終始スローペースで進めるとラストは残り3Fから0.8加速して11.4 – 11.3 – 11.7と伸びるラップ
・外目4番枠から若干アオるようなスタートを切ると折り合って2番手外を追走した、勝負所では前の逃げ馬を交わしにかかっていって先頭で直線へ、直線ではラストまで余裕ある感じで伸びると上がり最速34.3で伸びて優勝、鞍上もまだ本気では追い出していなかった
【2】阪神2000m1勝クラス:1着:2ヶ月:ルメール
・追い切りはW主体で、2週続けて前走より速い時計(5F)が出されていた
・レースは6頭立てで、38.5 – 64.0 – 34.7の後傾3.8、道中はドスローで進めるとラストは残り4Fから0.6加速して12.0 – 11.9 – 11.1 – 11.7と残り2Fからの加速も大きな展開で、4角3番手以内の馬で上位を独占した
・最内枠から若干アオるようなスタートを切ると馬なりで単独の2番手を追走した、道中には向正面の残り1100m付近で外目にスイッチされると楽な手応えで逃げ馬に並びかけにいった、勝負所でも軽く促されて前に迫ると逃げ馬から半馬身差ほどの2番手から直線へ、直線では馬場のいくらか外目に出されるとラストまでしっかり伸びて上がり3位で優勝
・直線では途中一瞬だけ右手前に変えたが、すぐさま戻して左手前で走っていた
・直線での伸びはキレるというよりは長く使えそうな脚だった
【3】ホープフルS:2着:1ヶ月半:C.デムーロ
・陣営は「今回は初めての多頭数でGIと流れも違ってくるだけに、簡単な競馬にはならないと思う」とコメントしていた、追い切りは併用で、当週には自己ベスト78.9 – 64.1 – 11.8が出されていた、初の関東遠征
・レースは35.9 – 60.1 – 36.3の前傾0.4で、道中は12.0付近のラップが続く持続的な展開からラスト3Fは12.2 – 11.7 – 12.4と残り2Fからの加速が大きく上がりかかる展開、4角5番手以内の馬で圏内を独占する先行決着だった
・中枠からここでも若干アオるようなスタートを切ると中団前目の馬群を追走した、序盤こそ馬込みでやや抑えられていたが、道中は反対に少し追っ付けられながらの追走だった、勝負所では残り3F付近から促されるとややコーナリングしづらそうな様子で大きく番手は変わらず中団前目の外から直線へ、直線では右に左にとヨレながらも伸びて前に迫ったが、自身より内前から抜け出した馬に届かずの2着
・レース後鞍上は「レース前から気が入っていてチャカチャカしていましたが、1コーナーに入ったところで落ち着いて道中リラックスして行けました。まだ幼い分右、左とよれていましたが、それで2着を確保するあたりは能力があります」とコメントしていた
3歳
【4】皐月賞:9着:3ヶ月半:M.デムーロ
・追い切りは2週前からWW坂路での調整で、2週前のWでは自己ベスト6F78.8 – 64.0 – 11.5が出されていた、最終の坂路は単走で軽めの時計で、最終追いが坂路で行われるのも単走で行われるのもともに初だった、3ヶ月半の休み明けで馬体は+8kgしていた
・レースは雨の影響あった馬場が乾いてやや外伸び傾向の良馬場の中35.2 – 60.2 – 34.9の後傾0.3で、ラスト3Fは12.0 – 11.4 – 11.5と残り2Fからの加速が大きな展開で、5着までのうち4頭が3角で6番手以内のやや先行有利だった
・中枠からあおって出遅れると意識的に外に出して行って後方の外を追走した、向正面では一番外へ進路を取ると3角までにポジションを少し上げて勝負所では3角から大きく外をまわして促された、加速していたが外をまわした分ポジションは大きく変えられず中団後方の大外になって直線へ、直線では内へヨレながらの走りになった所に内側に馬がいたので強く追えず、なだれ込むようにゴールして9着まで
・現状直線でフラついたりスタートであおるなど幼い面があり、実力を発揮しきれていない
【5】日本ダービー:9着:1ヶ月半:M.デムーロ
・追い切りは併用で、近走と比較すると時計は出されておらず終い重点の内容だった、陣営は「速い上がり勝負になった時がどうかだが、長く脚を使えるタイプ」とコメントしていた、連続輸送の影響か馬体重は-10kgしていた
・レースは35.1 – 58.9 – 35.2の前傾0.1で、道中800-1200mで11.8 – 11.7が入るなど落ち着かないラップから、ラスト5Fは12.0 – 11.8 – 11.5 – 11.7 – 12.0と比較的長く脚を求められてラストはゴールへ失速する展開で上位の上がりを使った2頭でのワンツー決着、8着までのうち6頭が4角11番手以下の差し有利だった
・中枠から五分のスタートを切るとある程度出て行って中団の外目を追走した、道中はそのまま外目を追走すると勝負所では残り900m付近から鞍上の手が動いて中団の外から直線へ、直線では内へヨレながら伸びていたがラスト300mは上位勢と比較して伸びられず9着敗戦
・レース後鞍上は「いいスタートを切って、いい位置で競馬ができましたが、直線半ばで止まってしまいました」とコメントしていた
【6】神戸新聞杯(中京2200m):1着:4ヶ月:鮫島
・追い切りはW主体で、これまでにないような全体もそこそこ速く加速ラップを刻んで終いも伸ばすような時計が出されていた、前走減った体重は4kgながら増加していた
・レースはBコース替わり初週の馬場の中34.7 – 60.0 – 34.7の前後傾フラットで、前半を飛ばして入ると、道中は600-1400mが12.6 – 12.7 – 12.5 – 12.3と緩んで、ラストは残り4Fから0.7加速して11.6 – 11.4 – 11.2 – 12.1と伸びてラスト1F失速するラップで、上がり3位以内の3頭が圏内を独占した
・中枠内目からスタートすると馬なりで出て行って好位のインを追走した、道中はやや抑えられていたが折り合いの中ではあった、道中から勝負所では終始最内を追走するとラストは残り3F手前から追い出しを開始されてポジションを上げて前から2列目の内から2頭目から直線へ、直線ではキレるような脚ではなかったが力強く抜け出すと上がり2位34.4の脚で伸びて3馬身半差の快勝
・直線ではフラつく面が解消してまっすぐ走れており、それがラストの伸びに繋がった印象
【7】菊花賞(阪神3000m):3着:1ヶ月:鮫島
・陣営は「血統背景やきょうだいも長い距離で活躍している」とコメントしていた、追い切りは併用で当週のみWで追われていた、時計は81.3 – 65.2 – 11.3と前走より速い時計が出されていたが併せ馬には遅れていた
・レースは34.9 – 58.7 – 121.4 – 37.0の前傾2.1で、入りの6Fを軽快に飛ばした後1200-1800mを12.6 – 13.3 – 12.6と息を入れた、ラストは残り6Fから0.5加速すると12.1 – 12.1 – 11.9 – 11.9 – 12.2 – 12.9と持続的に進めてラストはゴールへ失速して上がりかかる展開で、7着までのうち5頭が3角で10番手以下の差し有利
・外枠からスタートすると内目へ誘導され1周目3角では中団前目の馬群を追走していた、道中はしっかり折り合って追走できているようだった、2周目の向正面でもスムーズに進めるとラストは残り5Fから促された、勝負所では馬群の内目で詰まっていたが残り400m手前から開いて追われると好位の内目になって直線へ、直線では懸命に伸ばしたが外からは差され、前の馬は交わせずの3着、4着は5馬身離していた
・かなりタフな展開を比較的前目で受けながらラストまで伸ばせており、キレや瞬発力というよりはタフな展開でも長めに使える脚を活かしたいタイプ
【8】有馬記念:7着:2ヶ月:マーカンド
・陣営は「秋になり、必要以上に力んで走っていない点が距離をこなせる要因となっている。スパッと切れるタイプではなく、ロスなく運びたい」とコメントしていた、追い切りは併用で本馬としては並の時計が出されていた
・レース開催8日目(Aコース8日目)の馬場の中30.0 – 61.2 – 35.9で、前半を概ねスローペースで進めると、道中は700-1500mを12.5 – 13.1 – 12.7 – 12.4と緩めて息を入れた、ラストは残り5Fから0.6加速して11.8 – 11.9 – 12.2 – 11.4 – 12.3と残り2Fから前後が入れ替わってラップが加速する展開で、直線での強い向かい風と外枠主導の隊列になった影響で、6着までのうち5頭が2角時点で7番手以下、うち3頭が3角時点で11番手以下の差し有利
・中枠からスタートすると出して行って内へ入れて前に逃げ馬を見る好位のインを追走した、道中は序盤に少し押して出して行ったがしっかりと折り合って追走できていた、勝負所では残り4F過ぎから逃げ馬が加速して離されたタイミングから促されると、前に逃げ馬を見る位置は変わらず好位のインから直線へ、直線では逃げ馬のさらに内の進路を選択して追われたが馬群から抜け出せるほどではなく7着まで
・レース後鞍上は「スタートでバタつきましたが、タイトルホルダーの後ろの位置が取れました。ただ、まだ体が出来上がっておらず、直線のヨーイドンでは分が悪かったですね」とコメントしていた
4歳
【9】阪神大賞典:1着:3ヶ月:ルメール
・陣営は「体は増えていても太め感はなく、成長がうかがえる」とコメントしていた、追い切りはW主体週末坂路での調整で、綺麗に加速ラップが踏めている追い切りが目立っていた、休み明けで馬体は+16kgしていた
・レースは38.6 – 64.9 – 128.2 – 34.4の後傾4.2で、序盤を重賞では考えられないようなドスローで進めると、ラストは残り6Fから0.4加速して12.2 – 11.9 – 11.6 – 11.4 – 11.3 – 11.7とラストまで伸びる高速ロングスパート戦で、4角2番手以内の2頭と上がり上位の3頭で5着までを独占した
・内枠からスタートすると出て行って好位のインを追走した、かなりスローな展開だったがしっかり折り合って追走できていた、勝負所では残り5F手前から促され始めると逃げ馬との差は詰めたが3、4角では馬群に包まれたインの位置で動けずに前から2列目の最内から直線へ、前が壁で鞍上がバランスを崩すようなところも見られたが残り250mで前があくと抜け出して圧勝、直線で詰まっていても上がり最速だった
・本レースのような4F以前からロングスパートが始まる早めの上がりのレースでは素晴らしいパフォーマンスを出してくる
【10】天皇賞春(稍重):1着:1ヶ月半:ルメール
・追い切りはW主体週末坂路での調整で、1週前に前走より速い81.0 – 65.9 – 11.4が一杯で出され、当週は比較的終い重点の時計だった
・レースは稍重の中35.0 – 59.7 – 122.0 – 35.3の前傾0.3で序盤は前が飛ばして軽快なラップを刻んだが、中盤はしっかり緩んだ、ラストは残り4Fから0.9加速すると12.3 – 11.9 – 11.5 – 11.9と残り2Fからの加速も大きな全体的に余力のある長距離戦
・最内枠からスタートすると出て行ったが前が飛ばしたことで相対的にポジションを下げて中団のインを追走した、道中には2角付近で外目へポジションをスイッチされて向正面では好位の外を追走していた、勝負所では前にいたディープボンドを追いかけるように上がっていくと1列目の内から4頭目から直線へ、上がり最速で抜け出すと2馬身半差の完勝
・良好な折り合いとそれゆえの高い操縦性があり、長距離を自分のペースで追走して後半に長く脚が求められる高速ロングスパート戦はベストに近い
【11】宝塚記念:3着:2ヶ月:鮫島
・陣営は「ゲートの1歩目をクリアして流れに乗れればと思っていたが、ジョッキーがきれいに決めてくれた点が大きいですね。長いところを使ってきたけれど距離短縮は心配していない」とコメントしていた、追い切りはいつものパターンだったが、1週前には79.6 – 64.7 – 11.4と皐月賞時以来の6F80秒以下の時計が出され併せ先着していた、当週は終い重点、2週続けてジョッキーが騎乗していた
・レースは開催8日目(Bコース8日目)の馬場の中34.0 – 58.9 – 35.5の前傾1.5で、序盤をハイペースで進めると、道中はラップを緩めて息を入れた、ラストは残り4Fから0.6加速すると11.9 – 11.7 – 12.0 – 11.8と比較的上がりを要する4F戦で、8着までのうち7頭が2角時点で10番手以下の超差し有利
・中枠からスタートすると馬なりでやや外へ誘導され後方の外を追走した、道中は折り合って追走できていた、向正面では残り6F過ぎから馬群の外へ出された、勝負所では残り700m付近から促されると馬群の外をまわって中団の外から直線へ、直線ではラストまで持続的に伸ばして前に迫ったが3着まで、上がりは3位の35.1
・直線に入って早々で鞍上がムチを落としていたが、不利の度合いは定量化しがたい
【12】天皇賞秋:2着:4ヶ月:横山武
・陣営は「春は長い距離で強いレースをしてくれたが、個人的には中距離馬だと思っている。ペースが上がってモタつく面があるので、直線は長い方がいいイメージ」とコメントしていた、追い切りはWと坂路の併用で皐月賞以来最終追いが坂路で行われていた
・レースは開催9日目(Bコース2日目)の馬場の中34.9 – 57.7 – 34.7の後傾0.2で、道中を11.5以下が続く持続的なハイペースで進めると、ラストは11.6 – 11.4 – 11.7と勝ち馬が抜け出してラップを落とし切らない展開で、道中後方にいた2頭が2, 3着に差し込む差し有利
・中枠からゲート内での駐立が悪く出遅れると控えて後方2番手の外を追走した、道中はハイペースの展開で前の馬群には少し離されるような形になっていた、勝負所では残り4F過ぎから後方外から3着馬が進出してきて最後方になって直線へ、直線では進路を求めて大外へ誘導されると、やや外へヨレるのを矯正されながらゴールまで長く脚を伸ばして上がり最速33.7を使ったが、先に抜け出した勝ち馬には2馬身半離された2着まで、3着は1.1/4馬身離していた
・レース後鞍上は「ゲートがもう少し決まっていれば、行く構えもありましたが、速い流れになり、腹を決めて終いを活かす競馬に切り替えました。こういう脚を使えるイメージがなく、びっくりしています。流れが向いたかもしれませんが、収穫はこの時計を出せたことだと思います。それでも、想定の範囲を超えていました」とコメントしていた
・直線ではゴール後もまだまだ伸びられそうな様子だった
【13】有馬記念:4着:2ヶ月:横山武
・追い切りは1週前がW、当週は坂路で単走で、最終の坂路では前走の最終追いと比較して時計が出されていた
・レースは開催8日目(Aコース8日目)の馬場の中30.2 – 60.4 – 35.9で、タイトルホルダーが1角付近から2番手を4馬身ほど離して後続はスローペースの展開、勝負所ではタイトルホルダーのラップは大きく加速していないにも関わらず後続との差は詰まらず、4角で好位にいた馬に有利な展開、ラスト4Fは12.0 – 12.0 – 11.7 – 12.2と残り2Fから加速も入っていた
・中枠やや外目から出負け気味のスタートを切ると控えて後方の外を追走した、道中は単独の最後方となっていた、勝負所では残り5F付近から徐々に促して行ってポジションを押し上げていったが、勝ち馬との間に1頭挟む形になり位置取りを離され中団後方の大外になって直線へ、直線では外から一番鋭い脚でぐいぐいと前に迫ったが、3着とタイム差なしの4着まで
・レース後鞍上は「返し馬から前走よりあきらかに具合が良くなっていると感じていましたし、落ち着きもあったので、これならゲートも大丈夫かなと思いました。ただ、ゲートで後ろにモタれて何度も立ち上がるようなところがありました。出ていればプランも選べましたが、腹を括る形でいきました。ドウデュースが相手だと思って、上手くマークができましたが、コーナリングでギアがスムーズに上がっていかず、ついていけなかった分でしょうか」と、叩いて状態は上昇していたこと、ゲートが難しかったこと、コーナーで加速できなかったことについてコメントしていた
5歳
【14】ドバイSC(ドバイメイダン2410m):4着:3ヶ月:モレイラ
・追い切りは併用で、出国1週前にはWで79.7 – 64.7 – 11.7が出され併せ先着していた、出国当週は坂路で単走馬なり
・レースは、動画で見る限り入りの5F通過が63秒台のスローペースだった
・内枠からスタートすると手綱を抑えられながら中団前目のインを追走した、道中はこれまでと比較すると少しだけ行きたがっているようだった、勝負所では前3頭にやや離されて4番手で馬場の外目に出されるようにして直線へ、直線ではキレる脚ではなかったがラストまで伸ばしての4着
・レース後鞍上は「道中は長所のスタミナを生かして最後までバテずに良い脚で走ってくれましたが、ギアチェンジするところで置いていかれてしまいました」とコメントしていた
・直線では外からリバティアイランドに一瞬で交わされたが、ゴール前では反対に迫って伸びており、やはり長所は長く脚を使えるスタミナ
【15】宝塚記念(重):10着:3ヶ月:ルメール
・陣営は「もたつくところがあるので内回りよりも外回りの方が競馬はしやすいし、京都はいいイメージを持っている」とコメントしていた、追い切りはW主体週末坂路での調整で、速めの時計は1週前にジョッキー騎乗で出されていた、当週もWだったが、当週追いがWで行われるのは前年の宝塚記念以来1年ぶりだった
・レースは開催20日目(Dコース4日目)で雨が降って重になった馬場の中35.6 – 61.0 – 34.5の後傾1.1で、序盤を馬場を考慮するとミドル程度のペースで進めると、中盤600-1200mを12.7 – 12.7 – 12.9と緩めた、ラストは残り5Fから0.7加速すると12.2 – 11.4 – 11.7 – 11.3 – 11.5と、残り4Fからの加速も大きくラストまで11秒台で伸ばす展開で、同率で上がり最速を使った2頭のワンツー決着
・内枠からあおって出負け気味のスタートを切ると控えて中団後方の馬群を追走した、道中は折り合って追走できていた、向正面では馬群が詰まるのに乗じて前との差を詰めると3角では中団の馬群の位置取りになっていた、勝負所では馬群のポジションのまま促されたが前には迫り切れず、全体が外へ出した馬群の内目から直線へ、直線では伸ばせず10着敗戦
・レース後鞍上は「ディープインパクトの子供ですから重馬場は難しいです。休み明けということもあったのか最後は疲れてしまいました」とコメントしていた
【16】天皇賞秋:4着:4ヶ月:坂井
・陣営は前走について「海外帰りの影響はあったかと思うが、道中の行きっぷりから違ったように馬場ですね」とコメントしていた、追い切りはキャリアで初めて坂路主体で行われており、Wは1週前の週末に単走でかなり軽めの時計が1本のみだった
・レースは開催8日目(Bコース2日目)の馬場の中35.9 – 59.9 – 33.7の後傾2.2で、道中は12.0付近が続く持続寄りのスローペースで進めると、ラストは残り3Fから0.7加速して11.1 – 11.1 – 11.5と伸びる展開
・ここでもゲートでの駐立は悪く外目の枠から出負け気味のスタートを切ると控えて後方外目を追走した、向正面では馬群が詰まって後方の馬群となった、勝負所では動けない位置で馬群に合わせて後方の馬群のまま直線へ、直線では進路を求めて外へ誘導したが開かず、残り300mからは狙いを内へ変えて追われた、ラストは上がり2位の脚で伸びたが逃げ馬を交わしきれずに4着まで
・スタートで出負けしており、スローの展開で直線で進路を切り替えるロスもありながら上がり2位で4着まで迫ったことを考えると能力は衰えていない
・レース後鞍上は「ゲートで一瞬も出られそうなタイミングがなく、ポジションが後ろになってしまいました」とコメントしていた
【17】ジャパンC:5着:1ヶ月:C.デムーロ
・陣営は「課題のゲートで後手に回ったが狭いなかで脚を使ってくれた。宝塚記念が精彩を欠く走りだったのでホッとしました。出負けしてもリカバリーできる分、距離延長はいいと思う」とコメントしていた、追い切りは前走に続いて坂路主体での調整で、1週前にはジョッキー騎乗で自己ベスト51.6 – 12.5が出されていた
・レースは開催16日目(Cコース4日目)の馬場の中37.1 – 62.2 – 33.4の後傾3.7で、逃げ馬不在だった影響で道中をドスローで進めると、ラストも残り3Fまでラップは速まらず、残り3Fから1.0加速すると11.5 – 10.8 – 11.1と伸びる高速上がり戦
・内枠から五分のスタートを切ると中団のインを追走した、スローペースで距離延長だった影響か1, 2角では鞍上が手綱を引いて引っかかっていた、勝負所の残り4Fからは最内を捨てて外目に進路を求めていき中団の馬群で前にチェルヴィニアを見る位置から直線へ、直線ではスムーズな進路取りで追われてラストは上がり3位の脚で伸びたが3着からは0.5秒離された5着まで
・レース後鞍上は「ゲートの中でうるさかったですが、スタートは切る事が出来ました(中略)よーいドンの競馬になって、長く脚を使うタイプだけに苦しくなりました」とコメントしていた
【18】有馬記念:5着:1ヶ月:坂井
・陣営は「あまり流れには乗り切れなかったけど、最後は脚を使っている。まずはスタートですね。スローのヨーイドンになると切れ負けするところがあるから、前が引っ張ってくれれば」とコメントしていた、追い切りは相変わらず坂路主体での調整で、前の2戦と比較しても時計は軽めだった
・レースは開催8日目(Aコース8日目)の馬場の中31.4 – 62.9 – 35.2で、逃げ馬不在のメンバー構成の影響もあり道中をスローペースで進めると、ラストは残り5Fから0.7加速して11.3 – 11.4 – 11.6 – 11.5 – 12.1と伸びる高速5F戦
・中枠外目から五分のスタートを切ると、押して促して行って中団後方の馬群で勝ち馬を見る位置を追走した、スローペースの影響か道中は行きたがるのを抑えられているようだった、勝負所では馬群でやや口向きの悪そうな様子で、加速に置かれる形になって後方のインから直線へ、直線では内の進路のまま上がり3位の脚で伸ばしたが、上位争いには加わりきれずの5着まで
・レース後鞍上は「ペースが遅くて動くに動けませんでした。それでも、力はあるので、最後は脚を使ってくれました」とコメントしていた
・前年の有馬記念と比較すると3, 4角でのコーナリングが悪化しており、昨年からも馬は変わっている点に注意されたい
6歳
【19】大阪杯:6着:3ヶ月半:鮫島
・陣営は「二千は昨年秋の天皇賞でも走っているが、コーナーが4つになるので立ち回り次第。ジョッキーも考えて乗ってくれると思う。年齢的に上積みはどうかだが、いい状態で臨める」とコメントしていた、追い切りは前走から一転してW主体週末坂路での調整でオール単走だった、最終はWで4Fから50.1 – 11.1が馬なりで出されていた
・レースは開催12日目(Bコース2日目)の馬場の中34.9 – 57.5 – 35.1の前傾0.2で、前半をハイペースで飛ばすと、後半5Fは11.7 – 11.9 – 12.0 – 11.4 – 11.7と残り2Fからの加速が大きな展開で、勝ち馬こそ4角4番手の馬だったが、2-4着には4角で8番手以下から上位の上がりを使った差し馬が迫る展開、1:56.2のレコード決着
・内目の枠からゲート内での駐立は悪かったが五分のスタートを切ると押して出していって中団前目のインを追走した、距離短縮かつハイペースの影響もあり道中は問題なく折り合って追走できていた、向正面では進路を外に切り替えられ3角では中団外の位置取りになっていた、勝負所では残り4Fから少しずつ促されると中団前目の外になって直線へ、直線では脚を使ってじわじわと前との差を詰めたが前を飲み込めるほどではなく6着まで
・レース後鞍上は「道中は、内目のロスの無い、いいポジションを取れました。3コーナーから4コーナーでは、内が開くのを待つよりも、勝負をしに外をまくり気味に動かしていって、脚を余さないような競馬をしました。イメージした通りの競馬ではありましたが、もうひとつふたつ工夫が必要だったかなと思います。2000mは必ずしも適距離ではないですし、すり合わせていかないといけないところがあります」とコメントしていた
・3, 4角では途中逆手前でコーナリングしている区間があった
【20】天皇賞春:6着:1ヶ月:鮫島
・陣営は「思った以上にポジションを取ってくれた。二千で前走のような競馬ができたのは次に向けてプラスに出ると思います。スタミナには自信のある馬。もう一度GIをと思っている」とコメントしていた、追い切りは前走と同様のパターンだった
・レースは開催4日目(Cコース4日目)の馬場の中36.4 – 60.7 – 122.2 – 35.7の後傾0.7で、序盤を12.1付近が続く持続的で緩まないラップで進めると、中盤の1200-1800mを12.3 – 12.9 – 12.5と緩めたが、ラストは残り7Fから加速が開始して11.8 – 12.2 – 12.1 – 11.8 – 12.2 – 11.8 – 11.7と伸びるある意味長距離らしいロングスパート戦で、上位の上がりを使った4頭が4着までを独占する末脚決着
・外枠からゲート内での駐立が悪く出負け気味のスタートを切ると馬なりで後方の外を追走した、道中はポジションを変えずに比較的折り合って追走できていた、2周目の向正面では進路を馬群の外へスイッチされて促されると進出して3角では中団前目の外になった、勝負所では馬群の外をまわって加速に付き合うと好位の外になって直線へ、直線では脚が上がって内へヨレる様子で伸ばせず勝ち馬から1.1秒離された6着まで
・レース後鞍上は「外枠でスタートが決まらず、難しいレースになりました。そこからリズムを整えながら追走して、4コーナーで勝負圏内に、と考え、向正面で無理せず押し上げてという競馬でした」とコメントしていた
・1周目の3, 4角では口向きが内へ向く様子で、4歳の有馬記念前までには見られなかった点である
【21】宝塚記念(稍重):3着:2ヶ月半:ディー
・陣営は「結果が出なかったことに関しては申し訳ないですね。中間はゲート練習をしてきたのでスタートを決めていいポジションで運べれば。あとは当日の天候。いい馬場で走らせたい」とコメントしていた、追い切りはW主体週末坂路での調整で、1週前にはジョッキーが騎乗して79.6 – 64.7 – 11.5が馬なりで出され併せ先着していた、当週は芝で軽めの調整、併せ馬が行われたのは前年の有馬記念以来だった
・レースは開催4日目(Aコース4日目)で前日の雨の影響で重馬場でスタートし稍重に回復した馬場の中34.8 – 59.1 – 36.0の前傾1.2で、テンを速めに入って道中を12.1付近が続く持続的な展開で進めると、ラスト4Fも11.9 – 11.8 – 11.7 – 12.5と加速は少なくラスト1Fを落とすラップで、1, 2着こそ4角で1, 2番手の馬で決着したものの、3-6着には3角時点で9番手以下の差し馬が差し込んでいた
・中枠から若干あおって出負け気味のスタートを切ると控えて内へ寄せて後方のインを追走した、道中は少し行きたがるのを抑えられている様子だったが折り合いの中ではあった、向正面では少しずつ進路を外へ切り替えて3角では後方の外の位置取りになっていた、勝負所では残り700m付近から少しずつ促されたがポジションは大きく変えず後方の大外から直線へ、直線ではじわじわと伸びる脚でラストまで伸ばしたが先に抜け出した2頭には迫れず2着とタイム差なしの3着まで
・レース後鞍上は「厩舎がゲートを練習し、中でもおとなしかったし、しっかり出てくれた。ブリンカーを着けてハミも取ってくれた。馬のリズムであのポジションに。向正面でルメールをターゲットに、直線では馬場のいいところに出して、しっかりと応えてくれた」とコメントしていた
・本レースではブリンカーが着用されていた
【22】天皇賞秋:3着:4ヶ月半:団野
・陣営は「年齢的にズブさが出て、行き脚がつきにくくなっている。そのなかでどうレースを組み立てるか考えればいいと思います。タフな競馬になった方がこの馬の地力が生きると思う」とコメントしていた、追い切りはW主体週末坂路での調整でオール単走だった、また時計は全体的に終い重点だった
・レースは開催11日目(Bコース2日目)の馬場の中37.1 – 62.0 – 32.9の後傾4.2で、道中を12.2以上のラップが続くドスローの展開で進めると、ラストは残り4Fから0.7加速して11.5 – 10.9 – 10.9 – 11.1と伸びる超高速上がり戦で、上がり1, 2位の馬が3, 4着と差し届かず、ある程度ポジションを取った上で高速上がりに対応できる馬が好走した印象
・内枠から好スタートを切ると出て行って中団前目のインを追走した、道中は少し折り合いが難しそうだったがなんとか折り合いの中ではあった、勝負所では馬群で動けない位置におり加速に付き合うと中団の内目になって直線へ、直線では進路をうかがいながらギアを上げていくと残り300mから開いて追われた、ラストは少しずつ伸びるような脚で前との差を詰めたが、より鋭く伸びた1, 2着馬には及ばず3着まで
・レース後鞍上は「実績のある馬なので、一発を狙って乗っていました。1週前追い切りから具合が良くなったと感じました。いつも泉谷騎手が乗って上手く調整してくれましたし、厩舎もいつも通り上手く仕上げてくれました。スローペースになって、動きたい時に動けない並びになってしまいました。外に切り替えてからはよく脚を使ってくれました。地力がありますし、年内2戦も頑張ってくれると思います」とコメントしていた
・直線では進路が開いてからすぐさま反応できておらず、ワンテンポ遅れてじわじわと加速し出すような脚だった
【23】ジャパンC:5着:1ヶ月:C.デムーロ
・陣営は「この馬としては切れ味勝負になったのとスムーズにさばき切れないところがあった。全体的に時計は速くなった方がいいと思う。距離延長はプラスだしスタートを出てくれれば」とコメントしていた、追い切りはW主体週末坂路での調整で、1週前にはジョッキー騎乗で併せ馬が行われていた、当週はWで4F追い
・レースは開催19日目(Cコース4日目)の馬場の中34.5 – 57.6 – 34.6の前傾0.1で、道中を逃げ馬が後続を離す形でハイペースで進めると、ラストは残り3Fから0.5加速して11.8 – 11.5 – 11.3とゴールへ加速する展開で、6着までのうち5頭が4角で9番手以下の差し決着
・最内枠から五分のスタートを切ると出て行ったが1角で外から進路をカットされる事象があり位置を下げて後方のインを追走した、2角では外に馬がいなくなり外へ出されて後方の外へスイッチされた、道中は前に勝ち馬を見る形で折り合って追走できていた、勝負所では残り3F手前から促され後方の外から直線へ、直線では前の勝ち馬を追いかけるように追われると前の馬に離されるような形になり、ゴール前では反対に迫るような格好にもなったが0.6秒差の5着まで
・レース後鞍上は「1コーナーでポジションを下げなくてはいけない場面があり、ポジションが後ろからになってしまいました。切り替えて、マスカレードボールとカランダガンの後ろで競馬をしました。年齢を重ねて、3、4コーナーで少しズブさが出ていました。直線は、良い反応でしたが、上位2頭とは少し離れていました。この馬なりに一生懸命走ってくれました」とコメントしていた
結論(再掲)
■天皇賞春を優勝した頃の4歳時までは高い操縦性と長く使える脚を武器に主に長距離戦で強さを発揮していたが、5歳時の天皇賞秋以降はスタートや勝負所の反応において難しさを出すようになり、末脚の鋭さも一枚落ちるような形になったことで、常にゴールまで脚を伸ばしながらも差し遅れるような格好の競馬になっている
■また、元々飛びが大きいため小回りコースでのコーナーでの加速は苦手としていたが、5歳時の有馬記念以降は特に右回りのコーナリングで口向きが悪く顔を内へ向けるような形で加速しきれない様子を見せており、4歳時に有馬記念を4着した当時ともまた違った要因もあって右回りのコーナーで加速するのが苦手になっている
■折り合いや勝負所での反応においてこれまでより難しい面が多くはなっているものの、スタートに関しては陣営の努力の甲斐もあり近走は比較的出られるようになっている
■有馬記念にはこれまで3度出走しており、それぞれ
2022年:差し有利の展開で先行
2023年:先行有利の展開で差し
2024年:先行有利の展開で差し
と、展開のバイアスに逆行した形で凡走しており、今の本馬の状態を考えると、差し有利の展開で差しの競馬ができれば前進する要素はある
■上記のように、ハイペースの展開に乗じて差しにまわればラストの直線だけでも前に迫れる可能性はあるものの、勝負所での反応の鈍さに加えて右回りでのコーナリングが難しくなっている現状では重たい印は打ちづらい、基本的にはハイペースのパターンの3着あたりを警戒するような形としたく、3連系本線なら相手に検討
Gregory
