天皇賞秋の各馬分析9頭目はアーバンシック。
結論に買い・消しなどの大方の見解とその根拠などを記載しているため、簡単には結論を見ていただければ十分かと思います。
天皇賞秋の過去レース分析とそれから得られた分析結論(レース傾向など)についてはこちらから。
基本情報(馬名:馬齢:血統(父×母父):前走:鞍上)
アーバンシック:牡4歳:スワーヴリチャード×ハービンジャー:前走宝塚記念(稍重)6人気14着:プーシャン
結論
■スタートと道中の折り合いに課題のある馬で、3歳秋の休み明けだったセントライト記念以降はそれまでと比較してどちらもマシにはなっているものの、前走の宝塚記念時点でもスタートと折り合い共に完全には解消されていない
■末脚はキレるというよりはエンジンのかかりが早くなく少しずつ加速するようなタイプで、序盤に簡単にポジションを取りにいけないことも相まって、レース全体を通してスピードが要求されるようなレースよりは、道中のラップが緩んでポジションを押し上げられたり、前半のペースが流れて先行馬が垂れて上がりを要するような、全体的に時計のかかるレースが向いている
■上記の特性に加えて、過去には右回りのレースで直線での手前替えが遅いことが複数回あり、本質的には右回りよりも左回りで良いタイプ
■また、日経賞では道中で荒れた馬場に脚を取られるような所があったり、前走の宝塚記念ではレース後に鞍上が「分からない。ギアが全然上がらなかった。スムーズだったけど、3、4角から忙しくなって全然進んでいかなかった。たぶん馬場のせい。重たい馬場であまり良くなかった」とコメントしていたように道悪はどちらかと言うと得意ではないタイプ
■天皇賞秋ではスローペースだと上がりのスピード、ミドルペースだと追走を含めたスピードと、いずれにしてもスピードが求められることから向く舞台ではないと考える、道中のペースが流れてハイペースの差し有利展開になってももう少し距離が欲しい印象で評価しづらい、折り合いが簡単ではないことからテン乗りもマイナス視したい要素で、買い時はもう少し後では、基本消しで
全レース分析
2歳
【1】札幌1800m新馬:1着:横山武
・陣営は「心肺機能と持続力はかなり高いが、気性面が幼過ぎる」とコメントしていた、追い切りはW主体から最終のみ札幌の芝での調整で、2週前には79.5 – 65.3 – 12.3の好時計が出されていた
・レースは開催8日目(Aコース8日目)の馬場の中39.0 – 65.6 – 34.5の後傾4.5で、終始新馬戦でもなかなか見ないレベルのドスローで進めると、ラストは残り3Fから1.0加速して12.0 – 11.2 – 11.3と残り2Fからの加速も大きな展開で、上位の上がりを使った馬が圏内を独占した
・中枠から歩くようなスタートで出遅れるとやや行きたがるのを抑えられながら中団前目の馬群を追走した、道中は馬込みでも落ち着いて追走できていた、勝負所では残り2F手前から促されて前から2列目の内から3頭目付近から直線へ、直線では自身より内前の馬が外へヨレてきた影響で一瞬だけ待たされてそのタイミングで手前を替えてしまったが、ラストまで右手前のまま力強く伸ばすと差し切って優勝
【2】東京2000m1勝クラス:1着:2ヶ月半:横山武
・陣営は「子どもっぽさが抜けました。もともとクラシックを狙っている馬で決めたい」とコメントしていた、追い切りはWと坂路の併用で新馬戦と比較すると全体時計は出されていなかった、最終は坂路で53.1 – 13.0
・レースは開催11日目(Bコース4日目)の馬場の中36.4 – 60.8 – 34.5の後傾1.9で、道中をスローペースで進めると、ラスト4Fは11.9 – 11.7 – 11.5 – 11.3とゴールまで徐々に加速する展開
・中枠内目から遅めのスタートを切ると内の馬に軽くぶつけられて最後方からになった、向正面では少しハミを取りながら外に進路を取って徐々に差を詰めて3角では後方の外を追走していた、勝負所では残り4F過ぎから徐々に促して行って後方から直線へ、直線では大外へ出されるとキレる脚ではなかったがラストまでぐんぐんと伸びるような脚を使うと、ラストは2位より0.6秒速い上がり最速33.2の脚で差し切って優勝
・直線では長く良い脚が使えており、直線の長いコースが向きそう
3歳
【3】京成杯:2着:2ヶ月半:横山武
・陣営は「肉体面はそれほどでもないが、精神面の成長が顕著」とコメントしていた、追い切りはW主体週末坂路での調整で、Wでは全体時計もそこそこで終いも加速させる好ラップが出されていた
・レースは開催14日目(Cコース5日目)の馬場の中35.6 – 60.7 – 34.8の後傾0.8で、前半をややスローペースで進めると、ラストは残り3Fから0.5加速して11.9 – 11.3 – 11.6と残り2Fからの加速も大きな展開で、上位の上がりを使った2頭でのワンツー決着、上位は上がり最速でのちの菊花賞馬の2着アーバンシックを除いて4角で好位の馬が占めており、展開的には先行有利だった
・内目の枠から歩くようなスタートで出遅れると控えて後方の外を追走した、向正面では外からポジションを少し押し上げて3角では中団後方の外を追走していた、勝負所では残り700m付近から徐々に促して行って中団後方から外目の馬群を突くようにして直線へ、直線では上がり最速33.9の脚で徐々に伸びてきたが、外前から先に抜け出したダノンデサイルを交わせずの2着まで
・レース後鞍上は「途中から良い感じで上がっていきましたが、勝負どころで内にもたれて、最後はその分の差だと思います」とコメントしていた
・道中の走りからは不器用な感じを受け、その点でも小回りコースよりは大箱で直線の長いコースが向く
【4】皐月賞:4着:3ヶ月:横山武
・陣営は「騎手が2週連続で騎乗して好仕上がり。操縦性が良くなったとはいえ、まだ自在に立ち回れる訳ではないものの、しまいは確実に豪脚を使ってくれるので楽しみ。頑張ってほしい」とコメントしていた、追い切りはW主体での調整で、1週前には自己ベスト78.9 – 64.0 – 11.7が出されていた
・レースは開催16日目(Bコース6日目)の馬場の中34.2 – 57.5 – 35.8の前傾1.6で、前半を11.8以下が続くハイペースで進めると、ラスト4Fは12.0 – 12.1 – 11.7 – 12.0と加減速少ない展開で1:57.1のコースレコード
・中枠から出負け気味のスタートを切るとやや行きたがるのを抑えられながら後方の内目を追走した、向正面では外目に誘導して3角では後方の馬群の位置となった、勝負所では残り700m付近から徐々に促して行って外に出され中団後方の大外から直線へ、直線ではじわじわと脚を伸ばして前に迫ったが3着からは0.3秒離された4着まで
・レース後鞍上は「馬場を考えて、もう2列くらい前が欲しかったのですが、スタートがうまく出られず、思った位置を取れませんでした」とコメントしていた
・不器用な馬でコーナリングで良好に加速できないことを考えると中山内回りでのレコード決着では対応が簡単ではなかった
【5】日本ダービー:11着:1ヶ月半:横山武
・陣営は前走および今回について「最後は同じ脚色に。前進気勢を求めたケイコだったので、道中は少し掛かった。今回はクロス鼻革を着用するので対応できそう」とコメントしていた、追い切りはW主体で最終は終い10.9という時計が出されていた
・レースは開催12日目(Cコース2日目)の馬場の中36.3 – 62.2 – 33.8の後傾2.5で、前半をスローペースで進めると、ラストは残り5Fから1.0加速して11.7 – 11.3 – 11.1 – 11.2 – 11.7と伸びる展開
・中枠から出負け気味のスタートを切ると控えて後方の外目を追走した、向正面では手綱と喧嘩して頭を上げるような場面があった、勝負所では残り4F手前から馬群の外目を徐々に促していくと後方の大外になって直線へ、直線では進路に問題なく追い通されたが、ラストの脚は上がり3位33.5までで11着敗戦
・レース後鞍上は「アーバンシックに有利とはいえない馬場なのは承知で、ゲートも速くないし馬を信じてあの位置にしました(中略)、直線もスムーズに外に出せましたが、百日草(特別)の時のような爆発力はありませんでした」とコメントしていた
・後半持続的にハイラップで伸びる東京でのロングスパートでは勝負所外をまわした分も響いたか
【6】セントライト記念:1着:3ヶ月半:ルメール
・陣営は「肉体的な成長はそれほどないけど気性が成長して乗りやすくなっている」とコメントしていた、追い切りはW主体ではあったものの1週前の週末の坂路では自己ベスト51.9 – 12.3が出されて併せ遅れていた
・レースは開催5日目(Bコース5日目)の馬場の中36.2 – 60.5 – 34.6の後傾1.6で、道中はややスローペースで進めると、ラスト4Fは12.0 – 11.7 – 11.4 – 11.5と伸び切るようなラップの高速4F戦で、上位の上がりを使った馬でのワンツー決着
・最内枠から出遅れるとこれまでよりも落ち着いて出て行って中団のインを追走した、道中も落ち着いて追走し中団前目のインを追走していた、勝負所では馬なりで馬群の加速についていって中団前目の最内から少し外に出されるようにして直線へ、直線では手前を変えるのが遅かったがグイグイと脚を伸ばすと、ラストは上がり最速34.0の脚で差し切って抜け出して0.3秒差の完勝
・レース後鞍上は「じわじわと伸びてくれますが、今回は力をつけていて、直線で外へ持ち出すとすぐにギアアップして、最後は凄く良い脚を使いました」とコメントしていた
・序盤に引っかからずに追走できていたことでこれまでよりも前目のポジションを取ることができ、勝負所の進路取りもスムーズだった
・直線では手前を替えるのが遅かったように、本質的には左回り向きでは
【7】菊花賞:1着:1ヶ月:ルメール
・陣営は「初めての前日入厩に少しの心配は残るが、前回がすごくいい内容で勝てたし、気性面の成長が大きいですからね」とコメントしていた、初の関西遠征、追い切りはW主体でいつも通り終いへ加速するラップだった
・レースは開催6日目(Aコース6日目)の馬場の中37.0 – 62.0 – 123.7 – 35.9の後傾1.1で、道中は先頭が入れ替わり立ち替わりとなったものの全体的にはスローペースで進めると、ラストは残り4Fから0.7加速して11.9 – 12.0 – 11.8 – 12.1と減速しきらず上がりは少し要するラップで、1角で8番手以下の馬が6着までを独占した
・外目の枠から本馬としては良い方のスタートを切ると控えて後方の馬群を追走した、序盤は少し行きたがる様子もあったが鞍上が上手くなだめていた、ホームストレッチでは馬群が凝縮する流れの中でポジションを押し上げて1角では中団の馬群を追走していた、向正面では進路を外目にとって外から進出していき3角では中団前目の外の追走となった、勝負所では残り4F手前から促して進出していくと3番手になって直線へ、直線では馬場の五分所に出されるとラストまでしぶとく脚を伸ばしてラストは上がり3位35.6の脚で抜け出して0.4秒差の完勝
・レース後コメントの中で鞍上は「スタートはいつも通りちょっと遅かったです」とコメントしていたが、これまでと比較するとかなり良いスタートだった
・セントライト記念、菊花賞と共に2200m以上で道中のペースが流れすぎない展開の中で、道中にじわじわとポジションを上げて4角までに前を射程圏に入れる競馬で2連勝した
【8】有馬記念:6着:2ヶ月:ルメール
・陣営は「先週が少し物足りなかったが、今週は騎手に乗って確認してもらった。しまいの動きは良かった。肉体的に成長期に入った印象で前走より良くなっている。どこまでやれるか楽しみ」とコメントしていた、追い切りはW主体で併せ馬が行われるこれまでと同様のパターンだった
・レースは開催8日目(Aコース8日目)の馬場の中、逃げ馬不在のメンバー構成で5F通過62.9のスローペースで進めると、ラストは残り5Fから0.7加速して11.3 – 11.4 – 11.6 – 11.5 – 12.1と伸びる高速5F戦で、上位の上がりを使った馬が1, 2着し、4角で1, 2番手の馬が3, 4着した
・内枠からスタートの直前に頭を下げてしまい出遅れると押して出して行って中団のインを追走した、序盤に押して行ったことで道中は少し行きたがっていたが鞍上が上手くなだめていた、道中から向正面を終始最内の位置取りで進めると、勝負所では馬群が加速した残り4F手前から促されたが、外から進出する馬がいる中で自身の前にいたスターズオンアースがバッタリ止まってしまう隊列で、これをパスしたがポジションを上げ切れず中団のインになって直線へ、直線では進路を求めて少し外へ誘導されると追われて脚を使ったが、先に抜け出した組には迫れず6着まで
・レース後鞍上は「残念ながら超スローペースでした。勝った馬の後ろにいられましたが、直線が開いてから自分も伸びていましたがみんな加速していく感じでした。状態は良かったし、レース自体もスムーズでしたが、ペースだけでしたね。まだ3歳なので来年を楽しみにしたいと思います」とコメントしていた
4歳
【9】日経賞(稍重):3着:3ヶ月:ルメール
・陣営は「今までで一番いい状態で戻ってきた。精神面は着実に成長しているし、体にもメリハリがついてきた。結果を出さないといけない」とコメントしていた、追い切りは相変わらずW主体での調整で、2週前には5F自己ベストの79.2 – 63.2 – 11.8が一杯で出されて併せ遅れていた
・レースは開催9日目(Aコース9日目)で稍重になった馬場の中、道中を入りの5F通過が63.0のスローペースで進めると、ラストは残り6Fから0.5加速して12.4 – 12.1 – 12.0 – 12.3 – 12.2 – 12.7と11秒台が入らないロングスパート戦
・中枠からやや出負け気味のスタートを切ると出て行って中団の外を追走した、序盤は近走と比較するとだいぶ行きたがっていて鞍上がなだめながらの追走となっていた、勝負所では残り3Fから促していって中団の外から直線へ、直線では少しずつじわじわと伸ばしたが前を飲み込めるほどではなく3着まで
・レース後鞍上は「良い競馬をしてくれました。休み明けのなか悪い馬場で大変でしたが、よく頑張ってくれました。落ち着いて伸びてくれたし、次に関しては問題ないと思います。これで良くなってくれると思います」とコメントしていた
・道中には2, 3回ほど脚を取られて馬体が沈むようなシーンがあり、道悪はこなせなくはないが得意な方ではない
・その後は休み明けで重い馬場を走った分の疲れが全体的に見られるとのことで天皇賞春をスキップされ目標を宝塚記念に切り替えられた
【10】宝塚記念(稍重):14着:2ヶ月半:ルメール
・陣営は「日経賞では特殊な馬場で負けたが、パワーがあるので苦手だと思っていない。相手は強いが心身ともに成長しているし、ハイレベルだった菊花賞で勝っているので頑張ってほしい」とコメントしていた、追い切りはいつものパターン
・レースは開催4日目(Aコース4日目)で前日の雨の影響で重馬場でスタートし稍重に回復した馬場の中34.8 – 59.1 – 36.0の前傾1.2で、テンを速めに入って道中を12.1付近が続く持続的な展開で進めると、ラスト4Fも11.9 – 11.8 – 11.7 – 12.5と加速は少なくラスト1Fを落とすラップで、1, 2着こそ4角で1, 2番手の馬で決着したものの、3-6着には3角時点で9番手以下の差し馬が差し込んでいた
・外枠から出負け気味のスタートを切ると直後内の馬にぶつけられ枠なりに控えて後方の外を追走した、道中は前走と比較すると落ち着いて追走できていた、向正面では馬群の外を少し促していくと勝負所では残り4Fから気合いをつけられてそのまま馬群の外を大きくまわって後方の大外から直線へ、直線では全く伸ばせず14着敗戦
・レース後鞍上は「分からない。ギアが全然上がらなかった。スムーズだったけど、3、4角から忙しくなって全然進んでいかなかった。たぶん馬場のせい。重たい馬場であまり良くなかった」とコメントしていた
・敗因は鞍上が言及した馬場も1つあるものの、内回りで道中が持続的に流れる展開でポジションを押し上げられず、勝負所の3, 4角では外を大きくまわって距離のロスも大きかった運びも不発の要因として考えられる
結論(再掲)
■スタートと道中の折り合いに課題のある馬で、3歳秋の休み明けだったセントライト記念以降はそれまでと比較してどちらもマシにはなっているものの、前走の宝塚記念時点でもスタートと折り合い共に完全には解消されていない
■末脚はキレるというよりはエンジンのかかりが早くなく少しずつ加速するようなタイプで、序盤に簡単にポジションを取りにいけないことも相まって、レース全体を通してスピードが要求されるようなレースよりは、道中のラップが緩んでポジションを押し上げられたり、前半のペースが流れて先行馬が垂れて上がりを要するような、全体的に時計のかかるレースが向いている
■上記の特性に加えて、過去には右回りのレースで直線での手前替えが遅いことが複数回あり、本質的には右回りよりも左回りで良いタイプ
■また、日経賞では道中で荒れた馬場に脚を取られるような所があったり、前走の宝塚記念ではレース後に鞍上が「分からない。ギアが全然上がらなかった。スムーズだったけど、3、4角から忙しくなって全然進んでいかなかった。たぶん馬場のせい。重たい馬場であまり良くなかった」とコメントしていたように道悪はどちらかと言うと得意ではないタイプ
■天皇賞秋ではスローペースだと上がりのスピード、ミドルペースだと追走を含めたスピードと、いずれにしてもスピードが求められることから向く舞台ではないと考える、道中のペースが流れてハイペースの差し有利展開になってももう少し距離が欲しい印象で評価しづらい、折り合いが簡単ではないことからテン乗りもマイナス視したい要素で、買い時はもう少し後では、基本消しで
Gregory
