アドマイヤテラ 【有馬記念2025】
有馬記念の各馬分析11頭目はアドマイヤテラ。
結論に買い・消しなどの大方の見解とその根拠などを記載しているため、簡単には結論を見ていただければ十分かと思います。
有馬記念の過去レース分析とそれから得られた分析結論(レース傾向など)についてはこちらから。
基本情報(馬名:馬齢:血統(父×母父):前走:鞍上)
アドマイヤテラ:牡4歳:レイデオロ×ハーツクライ:前走ジャパンC10人気競走中止:川田
結論
■折り合いが良好で、末もキレるというよりは持続的に伸ばすような脚を使う点から明確に長距離への適性が高いタイプで、オープンクラスに入ってからはいずれも2400m以上のレースを使われている
■3歳の夏頃まではスタートがワンテンポ遅く、出負け気味のスタートになることが多かったが、2勝クラスを勝利して以降はやや改善され、二の脚こそ早くはないものの、スタート自体は出られるようになっている
■3歳秋以降に勝利した中京2200m2勝クラス、大阪-ハンブルクC(OP)(阪神2600m)、目黒記念はいずれも前半をスローペースで進め、後半の5-6Fからラップが加速する展開で持続的に脚を伸ばす競馬で勝利しており明確に好走パターンである、反対に、レース全体としてはペースが流れ気味で差しの入る決着になった札幌2600m2勝クラス、菊花賞、京都大賞典では好走しながらもあと1歩前に迫れないレースになっており、菊花賞のレース後に鞍上から「やりたい競馬はできました。4コーナーは理想の形。決め手の差が出た感じはしたけど、十分に力は示してくれました」とコメントがあったように決め手比べになると分が悪い
■これまで目標となるようなレースには一叩きされてから向かっていることが多く、パフォーマンスもその通り叩いた後に上昇している、休み明けがテンでダメなタイプではないものの、どちらかと言うと一叩きされた後のタイミングで狙いたい
■有馬記念ではレース全体のペースが流れて上がりを要する末脚比べになると分が悪いものの、前半がスローペースになって後半5F程度の脚が求められる展開になれば向く舞台である、ここでも止まらない先行馬を差し切るというよりはある程度ポジションを取ったところから脚を伸ばしたく、内枠からポジションを取りたい、相手関係からして過剰に人気になる所は想像しづらく、想定する展開と枠次第では評価を上げる方向で
全レース分析
2歳
【1】京都2000m新馬(稍重):1着:川田
・陣営は「母に似ている。前進気勢があるし操作性も問題はない。長くいい脚を使う」とコメントしていた、追い切りは併用で併せ馬は盛んに行われていたが時計は全体的に軽めだった、当週は芝での併せ馬、ジョッキーはムーアを予定していたが、アクシデントで騎手変更された
・レースは開催15日目(Cコース2日目)で稍重になった馬場の中37.8 – 63.9 – 34.3の後傾3.5で、道中をかなりのスローペースで進めると、ラストは残り3Fから0.9加速して11.5 – 11.4 – 11.4と伸びる展開
・7頭立ての5番枠からスタートすると出て行って好位の外を追走した、道中はしっかりと折り合って追走できていた、勝負所では残り4F過ぎから少しずつ促されると先頭に並びかけて内から3頭目から直線へ、直線では先に内から逃げ馬が抜け出していたが、徐々に差を詰めるような脚で差し切って1.3/4馬身差の快勝
・道中の追走の様子、直線での脚の使い方、血統からしてステイヤーの気がある
3歳
【2】京都2000m1勝クラス:1着:1ヶ月半:川田
・陣営は「長く脚を使える特長を生かしてくれました。前向きさが出てきていますよ」とコメントしていた、追い切りは併用で時計は終い重点だった、当週は坂路で単走
・レースは開催2日目(Aコース2日目)も時計を要する馬場の中36.8 – 62.8 – 34.5の後傾2.3で、道中をスローペースで進めると、ラストは残り3Fから1.0加速して11.7 – 11.3 – 11.5と伸びる展開で、上位の上がりを使った2頭でのワンツー決着
・9頭立ての2番枠からあおって出遅れると控えて後方を追走した、向正面では進路を外へ取られてポジションを押し上げると、3角では逃げ馬の外の2番手を追走していた、勝負所では残り3F付近から少しずつ促されると、内の逃げ馬に並びかけて内から2頭目から直線へ、直線ではしっかりと脚を使って抜け出して2馬身半差の完勝
【3】若葉S(L)(阪神2000m):4着:2ヶ月半:岩田望
・陣営は「調教の動きは目立たないけど競馬の内容がいい。掛からず、自在性がある」とコメントし自在性を評価していた、追い切りはWでの併せ馬主体での調整で、時計は全体的に終い重点の内容だった
・レースは開催7日目(Aコース7日目)の馬場の中36.1 – 61.0 – 34.6の後傾1.5で、前半をスローペースで進めると、800-1400mを12.2 – 12.1 – 12.0と持続的なペースで進め、ラスト3Fは11.8 – 11.4 – 11.4と残り2Fからの加速が大きく減速しない展開
・大外枠から出負け気味のスタートを切ると枠なりに控えて後方を追走した、道中は相変わらず折り合いに問題なく追走できていた、向正面では外から追っ付けられて少し前との差を詰めると3角では中団後方の外を追走していた、勝負所ではそのまま馬群の外をまわって促されたがポジションを上げることはできず後方の外から直線へ、直線では良く脚を伸ばして前に迫ったが内から抜け出した3頭には迫りきれず4着まで
・馬券圏内に好走した3頭は勝負所でいずれも最内の進路を通っており、外枠から出負けして終始外をまわった本馬には向かない展開だった
【4】京都新聞杯:4着:1ヶ月半:デムーロ
・陣営は「内々を通った馬で決まったが外を回して脚は使ってくれた。跳びが大きいので阪神の内回りから京都の外回りに変わるのはいい」とコメントしていた、追い切りは併用で、1週前にはジョッキーが騎乗してWで自己ベスト81.6 – 67.7 – 11.3が一杯で出され併せ遅れ、当週は坂路単走一杯で自己ベスト53.9 – 12.7が出されていた
・レースは開催5日目(Aコース5日目)の馬場の中35.7 – 60.3 – 33.8の後傾1.9で、前半をミドルペースで進めると、800-1400mを12.4 – 12.7 – 12.6と緩めた、ラストは残り4Fから0.8加速して11.8 – 11.2 – 11.3 – 11.3と伸びる展開
・外枠から出負け気味のスタートを切ると枠なりに控えて後方の外を追走した、向正面では序盤こそ馬の後ろで控えていたが、残り6F過ぎから進路を外へ切り替えられて進出し3角では中団の外を追走していた、3角過ぎでは少し外へモタれる所があり矯正するようにムチを入れられると、そのまま馬群の外をまわして促していき、途中ムチも入れて進出し前から1列目の外から直線へ、直線では本馬なりに脚を伸ばしてはいたが、勝負所をスムーズに進めた組には迫れず4着まで
・レース後鞍上は「乗りやすい馬と思っていたけど、今日は耳を絞ったり、モタれたりと安定していなかった。でも、スタミナがあっていい馬です」とコメントしていた
【5】札幌2600m2勝クラス(稍重):2着:2ヶ月半:ルメール
・陣営は「調教の感触は良かった。距離は長くてもいい馬だと思うし、期待している」とコメントしていた、追い切りは函館のWのみでの調整で、栗東にいる時と比較して時計は出されていた、初の古馬との対戦、2ヶ月半間隔をあけたが馬体は-10kgしていた
・レースは開催4日目(Aコース4日目)で雨の影響があり稍重になった馬場の中36.2 – 60.6 – 36.5の前傾0.3で、前半をクラスと馬場を考慮すると少しハイペースで進めると、1000-1800mを13.1 – 13.0 – 12.6 – 12.7と緩めた、ラスト4Fは12.4 – 12.3 – 12.1 – 12.1と11秒台が入らない上がりを要する展開ながら加速するラップで、上位の上がりを使った2頭でのワンツー決着
・中枠から出負け気味のスタートを切ると出て行って中団後方のインを追走した、道中はラップが緩んだ区間も活用して促されてポジションを上げると、向正面入口では中団の馬群の位置取りとなっていた、勝負所では馬群の位置取りのまま残り3F手前から少しずつ促されると中団の馬群の外目になって直線へ、直線では外をまわって抜け出した勝ち馬の作った進路を通って追われると脚を伸ばして前に迫ったが、ラストは脚を余すような形で2着まで
・4角から直線で外から勝ち馬に締め切られてしまったのが痛かった
【6】中京2200m2勝クラス(稍重):1着:1ヶ月半:ルメール
・陣営は「競馬に行くとテンションが上がるところがある。平常心で臨めれば楽しみ」とコメントしていた、追い切りは併用で、1週前にはWで自己ベスト80.3 – 65.8 – 11.4が一杯で出され併せ先着していた、当週は坂路単走、ハンデ55kg
・レースは開催12日目(Bコース2日目)で明け方の雨の影響で稍重になった馬場の中37.1 – 62.3 – 34.8の後傾2.3で、前半をスローペースで進めると、後半は残り6Fから0.5加速して11.9 – 11.7 – 11.7 – 11.8 – 11.4 – 11.6と伸びる高速6F戦で、上位の上がりを使った3頭で圏内を独占する末脚決着
・内枠から五分のスタートを切ると出て行って中団前目の馬群を追走した、道中は折り合って追走できていた、勝負所では残り4Fから少しずつ促されると中団前目の内から2頭目になって直線へ、直線では開いた内目の進路を追われると鋭い脚を使ってゴールまで伸び切ると、ラストは上がり最速34.3の脚で2馬身抜け出して優勝
・差しの入りやすいコースではあるものの、前半がスローで後半6Fが11秒台のロングスパート戦で鋭く脚を使った所から、長く脚を求められる末脚決着への適性が高い
【7】菊花賞:3着:1ヶ月:武豊
・陣営は「前走の勝ちっぷりが良かったですね。切れるというよりは長く脚を使う。競馬に行って引っ掛かるタイプでもないので距離が延びるのは問題ないと思います。京都コースもいい」とコメントしていた、追い切りはW主体週末坂路での調整から最終追いは芝で行われ、1週前にはジョッキー騎乗の一杯で時計が出されていた
・レースは開催6日目(Aコース6日目)の馬場の中37.0 – 62.0 – 123.7 – 35.9の後傾1.1で、道中は800-1200mで12.0 – 11.7と加速が入ったことを除けばややスローペースの展開で、ラストは残り4Fから0.7加速すると11.9 – 12.0 – 11.8 – 12.1と伸ばす4F戦で、途中で加速も入って前がごちゃついた影響か、2周目の2角時点で8番手以下だった馬が6着までを独占した
・外枠からスタートすると促さずに控えて最後方を追走した、1周目ホームストレッチでは外目から少しだけ進出して1角では後方の外の位置取りになっていた、その後は2角手前から促していき向正面で進出することで3角では好位の大外のポジション、勝負所では外目をまわりながらもそのまま進出していくと内の馬と並ぶような形から馬場の外へ出されるようにして先頭で直線へ、直線では良く脚を伸ばしていたが、追い出しをワンテンポ遅らせた上、本馬よりも内目を通していた勝ち馬には及ばず、ラストは翌年の天皇賞春の勝ち馬にも差されて3着まで
・レース後鞍上は「やりたい競馬はできました。4コーナーは理想の形。決め手の差が出た感じはしたけど、十分に力は示してくれました」とコメントしていた
・ラストの差は勝負所で外をまわして早めに進出した分の感じはあったものの、この距離で外枠という難しさを考えれば鞍上のコメント通りできることはやった形
4歳
【8】大阪-ハンブルクC(阪神2600m)(OP)(稍重):1着:6ヶ月:武豊
・陣営は「成長して帰ってきた。格上相手になるが実績を考えればハンデは仕方ない」とコメントしていた、追い切りは併用で2週前1週前とWでの併せ馬には遅れていたが、1週前にはWで6F自己ベストタイ、5F自己ベストの81.4 – 66.0 – 11.4が出されていた、当週は坂路単走で軽めでの調整、半年の休み明けで馬体は+12kgしていた、ハンデ56kg
・レースは開催14日目(Bコース4日目)で雨が降って稍重になった馬場の中37.0 – 62.9 – 35.2の後傾1.8で、道中をスローペースで進めると、ラスト5Fは12.2 – 12.2 – 11.7 – 11.5 – 12.0と伸びる展開で、上位の上がりを使った馬が4着までを独占する末脚決着
・最内枠からスタートすると出て行って好位のインを追走した、道中は前に逃げ馬を見る位置でしっかりと折り合って追走できていた、勝負所ではほとんど馬なりのままポジションも変えずにスムーズに進めると好位のインになって直線へ、直線では逃げ馬の1つ外の進路を目掛けて追われると近走と比較するとやや物足りなさはあったものの、しっかりと伸びて抜け出して優勝
・直線での伸びの様子からは少し休み明けの影響があった感じ
【9】目黒記念:1着:1ヶ月半:武豊
・陣営は「前走はゴール板で物見をする余裕がありました。中京でいい勝ち方をしているように、左回りは乗りやすく、スムーズさがある」とコメントしていた、追い切りはWW坂路のパターンで、時計は全体的に控え目だった、ハンデ57.5kg
・レースは開催12日目(Cコース2日目)で雨の影響があって稍重から良に回復した馬場の中31.4 – 64.1 – 34.8の展開で、前半をスローペースで進めると、ラストは残り5Fから0.3加速して11.9 – 11.6 – 11.4 – 11.5 – 11.9と11秒台で伸びる展開
・中枠からスタートすると出て行って好位の馬群を追走した、道中は少し集中していない感じこそあったがそれを除けばスムーズに追走できていた、勝負所では馬群の位置取りのまま加速に付き合うと前から2列目の内から2頭目になって直線へ、直線では序盤進路がなかったが、残り400mで2着馬が作った進路が開いて追われるとラストまで持続的に脚を伸ばして差し切って優勝
・レース後に鞍上は「スタートが良くていいポジションを取れたことが大きかった。折り合いもバッチリで一戦一戦良くなっている。切れる脚はないけどバテない感じで、雨も降ってくれてよかった」とコメントしていた
・中京2200mの2勝クラス勝ちに続いて、スローペースから後半5F程度が速い展開で好走
【10】京都大賞典(稍重):4着:4ヶ月:川田
・陣営は「体が伸びて中長距離馬らしくなってきた。いい成長曲線を描けている。馬場も気にしない馬だし、いい結果でGIに向かいたい」とコメントしていた、追い切りはWからの最終は坂路のパターンで時計は控えめだった、斤量は別定で+1kgの58kg
・レースは開催2日目(Aコース2日目)で稍重になった馬場の中35.3 – 60.1 – 34.9の後傾0.4で、道中をミドルペースで進めると、ラストは残り5Fから0.3加速して12.1 – 11.9 – 11.9 – 11.3 – 11.7と伸びる展開で、逃げた馬と上位の上がりを使った2頭で圏内を独占した
・内枠からスタートすると馬なりで中団前目の馬群を追走した、道中は馬群の外目をまわりながら落ち着いて追走できていた、勝負所では残り4F手前から少しずつ促されると進出して好位の外目の位置取りになって直線へ、直線ではしっかりと脚を使って前に迫ったが勝ち馬から0.3秒差の4着まで、勝負所で外をまわった分が最後の差に影響した感
・レース後鞍上は「とても成長を感じる返し馬でした。先頭に立つまでは行けたのですが、今となっては乾いた馬場のほうが良くなっているのかもしれません」とコメントしていた
【11】ジャパンC:競走中止:2ヶ月:川田
・陣営は「今回は目黒記念を勝った東京コース。右回りも問題ないけれど、左回りの方が走りはいいみたいですね。前走を使って気持ちも入ってきている。これがレースでいい方に出れば」とコメントしていた、追い切りはWから最終は坂路のいつものパターンも、最終追いの坂路は初めて併せ馬で行われ、時計も自己ベスト52.8 – 12.7が出されていた
・レースは開催19日目(Cコース4日目)の馬場の中34.5 – 57.6 – 34.6の前傾0.1で、道中を逃げ馬が後続を離す形のハイペースで進めると、ラストは残り3Fから0.5加速して11.8 – 11.5 – 11.3とゴールへ加速する展開で、6着までのうち5頭が4角で9番手以下の差し決着
・スタート直後に躓いて落馬競走中止し、カラ馬のままゴールまで入線した
・その後陣営は次戦に向けて「前走は大きなダメージもなく、普通にレースを使った感じ。上積みはあると思う」とコメントしており、幸い大事には至らなかった
結論(再掲)
■折り合いが良好で、末もキレるというよりは持続的に伸ばすような脚を使う点から明確に長距離への適性が高いタイプで、オープンクラスに入ってからはいずれも2400m以上のレースを使われている
■3歳の夏頃まではスタートがワンテンポ遅く、出負け気味のスタートになることが多かったが、2勝クラスを勝利して以降はやや改善され、二の脚こそ早くはないものの、スタート自体は出られるようになっている
■3歳秋以降に勝利した中京2200m2勝クラス、大阪-ハンブルクC(OP)(阪神2600m)、目黒記念はいずれも前半をスローペースで進め、後半の5-6Fからラップが加速する展開で持続的に脚を伸ばす競馬で勝利しており明確に好走パターンである、反対に、レース全体としてはペースが流れ気味で差しの入る決着になった札幌2600m2勝クラス、菊花賞、京都大賞典では好走しながらもあと1歩前に迫れないレースになっており、菊花賞のレース後に鞍上から「やりたい競馬はできました。4コーナーは理想の形。決め手の差が出た感じはしたけど、十分に力は示してくれました」とコメントがあったように決め手比べになると分が悪い
■これまで目標となるようなレースには一叩きされてから向かっていることが多く、パフォーマンスもその通り叩いた後に上昇している、休み明けがテンでダメなタイプではないものの、どちらかと言うと一叩きされた後のタイミングで狙いたい
■有馬記念ではレース全体のペースが流れて上がりを要する末脚比べになると分が悪いものの、前半がスローペースになって後半5F程度の脚が求められる展開になれば向く舞台である、ここでも止まらない先行馬を差し切るというよりはある程度ポジションを取ったところから脚を伸ばしたく、内枠からポジションを取りたい、相手関係からして過剰に人気になる所は想像しづらく、想定する展開と枠次第では評価を上げる方向で
Gregory
